whiskey1

image credit:Pixabay

 今夜はちょっと奮発してレストランでディナー、でもおしゃれな店内で美食にありつく前にちょっとした関門がある。

 そう、ワインのテイスティングだ。ワインの味なんてほとんど分からない・・・という人も多いはずだが、テイスティングの瞬間、自分の一挙手一投足に周囲の注目が集まる。

 そんなとき全身は緊張し、嫌な汗が噴き出し、もはや落ち着いて味を確かめるどころではなくなってしまうのだ。

 結局、「結構なお味で・・・?」と語尾を疑問系にしてあいまいに微笑むことしかできず、敗北感に打ちのめされることになる。

 しかし、もう少ししたら頼もしい味方が登場するかもしれない。このほどウィスキーの微妙な味わいの違いを見分ける人工舌が開発されたようだ。

 そして嬉しいことに、開発者いわく、事実上どんな液体でもテイスティング可能なのだそうだ。


―あわせて読みたい―

最先端の3Dモデリング技術で作られた繊細なる氷の芸術をウイスキーに浮かべてみた。
うまいウイスキーは猫の手を借りて作られていた。ウイスキーキャットと呼ばれる猫たちの物語
図解:ビールとコーヒーは脳にどんな影響を与えるのか?比較しながら見ていこう
人はなぜお酒を飲むとお腹を壊すのか?下痢を起こしやすいお酒の種類とその対処法とは?
コカ・コーラがお酒を割るための特別なコーラ「シグネチャー・ミキサー」を販売開始(イギリス)

99%の的中率を誇る金とアルミの人工舌が開発される

 『Nanoscale』に掲載されているのは、金とアルミの光学特性を利用してお酒のテイスティングを行う人工舌の作り方だ。

 それによると、チェック柄に配置されたふたつの金属の超顕微鏡的な極小スライスが、舌の上にある味蕾として機能するらしい。

whiskey2

image credit:University of Glasgow

 人工舌は人間の500分の1以下の小ささだが、ここにウィスキーを注ぐと、金とアルミによる光の吸収の仕方(プラズモン共鳴)が統計的に解析される。

 その微妙な差異によって、ウィスキーの種類を特定してくれるのだという。

 実験では、グレンフィディックグレンマーノック、ラフロイグの3種の銘柄をサンプルとして使用したが、人工舌は99%以上の精度でそれぞれを区別することができた。

 それどころか、同じ銘柄であっても、熟成年数(12、15、18年物)による繊細な違いまで区別できたという。

whiskey3

image credit:Pixabay

偽造アルコールの特定や食品の安全性テストなどにも活用可能


 研究著者の英グラスゴー大学のアラスデア・クラーク博士は、

 

人間の舌と似たような働きをすることから、人工舌と呼んでいる。

 コーヒーの味をリンゴジュースの味とは違うものにしている個々の化学物質を特定することはできないが、それでも複雑な化学物質の組み合わせが作り出す違いを簡単に当てることができる


と説明する。

whiskey5

image credit:Pixabay

 また、

 

この実験ではウィスキーを取り上げたが、液体なら事実上どんな味でもテイスティングできるので幅広い応用が可能。

 偽造アルコールの特定、食品の安全性テスト、品質管理、セキュリティといった用途もあるだろう。

 携帯可能で使い回しができるテイスティング手段が必要な分野なら、どこでも便利に使えるはずだ。


とコメントしている。

whiskey4

image credit:Pixabay

 これは世界初の人工舌ではないが、2種類のナノスケール金属味蕾を利用する単一の人工舌としてならば世界初なのだとか。

 各サンプルの”味”についてより多くの情報をもたらし早く正確な反応ができるとのことなので、今後さまざまな場面で人工舌の活躍を見られるのかもしれない。

References:Phys.orgなど / written by hiroching / edited by usagi

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52278368.html
 

こちらもオススメ!

サイエンステクノロジーについての記事―

[フョードル、行きまーす!」ロシアのヒューマノイドロボットが宇宙へ発進!
AI音声アシスタントで一番賢いのはどれ?GoogleとSiri、Alexaを比較してみた結果、一番賢いのはダントツで...
母性本能の手がかりが発見され、産後うつなどの精神疾患が緩和できるかもしれない(米研究)
火船戦術の極み。史上最大の大量破壊兵器と称される浮遊爆弾「ヘルバーナー」の歴史(ヨーロッパ)
おすわりも伏せもできる!人命救助用犬型ロボット「アストロ(Astro)」の犬化がすごい!(アメリカ)

―知るの紹介記事―

1950年にアメリカで発売された世界一危険なおもちゃ。A.Cギルバート社の「子供用原子力研究セット」
ゾウやサルも地球温暖化と戦っている。人間には真似できない方法で森林を保護(中央アフリカ・南米)
プラグ充電不要。世界最大の電動ダンプカーは重さは45トン、高さ4.2メートル(スイス)
アメリカのデラウェア州、動物保護施設内での犬猫の殺処分が全国で最も少ない州に
老化した脳細胞に「自分はまだ若く柔らかい脳の中にいる」と勘違いさせると実際に若返る効果が検証される(英研究)
ウイスキーなら99%以上の的中率。どんな液体でもテイスティング可能な人工舌が開発される(英研究)