世界でもっとも危険な植物の1つである「sandbox tree(スナバコノキ)」。
「スナバコノキ?気になる木…」と好奇心へ駆られたあなたへ向けて、スナバコノキの不思議な生態をご紹介します。
スナバコノキとは?
トウダイグサ科に属すスナバコノキは、自生環境でおよそ27〜40メートルの高さまで成長する植物です。灰色の樹皮が円錐形の棘で覆われていることから、すぐにそれと認識することができます。まったく異なる見た目の雄花と雌花をつけるこの植物は、受粉に成功すると雌花から種を覆う鞘が作られます。
スナバコノキの実は小さなカボチャに似ていますが、乾燥して種子鞘になった時の見た目はまるで時限爆弾のよう。十分に熟した種子鞘は大きな音を立てて爆発し、固くて平らな種を時速約240キロのスピードで半径18メートル以上のエリアへ飛ばします。
もしその瞬間に人や動物が近くを通りかかったとしたら、この「榴散弾」の狙撃によってひどい怪我を負ってしまうことでしょう。でも、スナバコノキが危害をもたらす方法はこれだけではありません。
スナバコノキはどこで育つの?
スナバコノキは主に南米の熱帯地域やアマゾンの熱帯雨林に自生していますが、北米の熱帯地域で観察されることもあります。また、東アフリカのタンザニアにも侵入してきたと考えられています。
スナバコノキは、アメリカ農水省が定めるHardiness Zone(北米とメキシコにおいて植物がどの地域まで越冬可能かを示す機構分類マップ)のゾーン10と11に相当する霜の降りない地域でのみ生育することができます。この植物は、日光の当たる湿ったローム質の砂地を必要とします。
スナバコノキが秘めた毒の数々
スナバコノキの実は有毒で、万一体内に取り込んだ場合、吐き気や下痢、痙攣を引き起こします。
樹液は皮膚に触れると赤い発疹を引き起こし、目に入った場合は失明を招く恐れも…。その猛毒は、昔から毒矢に用いられてきたほどでした。
こうした強い毒性にもかかわらず、スナバコノキの一部は医療目的でも用いられてきました。種から抽出した油が下剤として、葉が湿疹の手当てに活用されてきただけでなく、抽出液は適切に用いられる限りリウマチや腸内寄生虫の治療にも効果があるとされてきたのです。
ただし、これらの治療法を独断で行うことは決してしないでください。安全かつ有効な結果を得るためには、プロの医療専門家による適切な処置が不可欠です。
スナバコノキにまつわるその他のトリビア
中南米に住むネイティブアメリカンは、種子鞘・種子、樹皮に生えた棘の乾燥した部分を使って、宝飾品を作ります。鞘の部分はコンマ(❜)の形をしていて、小さなイルカの形を彫るのにもってこいなのです。
「スナバコノキ」という名前は、その実から作られた小さなボウルが、かつて細かくて乾いた砂を入れるのに用いられていたことに由来しています。この砂は、インクが紙に滲む前に余分なインクを吸い取るために使われていました。他にも、「猿のディナーベル」や「猿の拳銃」といった別名で呼ばれています。
しかし、決してスナバコノキを植えようなどと考えてはいけません。人や動物の周囲にこの植物があることはとても危険ですし、孤立したエリアに植えると拡散する確率が高いとのこと。
ゴルゴじゃないですが、この木の後ろには立ちたくないものです。
reference: gardeningknowhow / written by まりえってぃ
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