頻繁に飛行機を利用する方であれば、飛行機の窓が四角形ではなく、必ず楕円形であることに気付かれたはずです。些細な点だと思われるかもしれませんが、実は深い理由からこの形状が選ばれているのです。

その昔、飛行機の窓は一般的に四角形でした。しかし1950年代に入ってから、民間ジェット旅客機が導入され、最先端の移動手段として人気を呼びます。それに伴い飛行機の設計の見直しが要求されるようになりますが、窓にだけは手が加えられないままでした。

その矢先に、1954年に英国海外航空の旅客機空中分解し、その原因が飛行機の四角形の窓にあることが判明しました。調査団体は、四角形の窓が機体構造の強度を低下させていたという点を発見しました。

民間機は一般的に約30,000フィートで飛行しています。なぜかというと、低い高度において、空気の密度は低くなるため、機体と乗員は乱気流の影響を受けにくくなるからです。
そのため、乗員が機内で呼吸する上で、客室内の圧力は高く維持される必要があります。でも機体外の圧力が下降する一方で機体内の圧力が上昇すると、圧力差が生じる結果になります。

ここで1950年代の飛行機に見られた四角形の窓について考えてみましょう。四角形の窓には4つの角部がありますが、実はここに弱点が潜んでいたのです。この部分に圧力がかかると亀裂が生じ、窓が割れやすくなります。これが先ほど取り上げた事故の原因でした。

その代わりとして、楕円形の窓が登場します。この手の窓には角部が無いために、圧力を均一に分配することができるのです。それに加え、乗員に大きな視野を提供できるという理由から、設計者は楕円形の窓を好みます。楕円形の最も細い部分は、周りの部材に危険な圧力がかからないようにしっかりと設計されているので、安全性の面から見ても問題はありません。
近年四角形の窓を採用する設計者が現れているということですが、それらの窓は安全性を確保するために、常に角部が丸みを帯びています。
悲惨な事故により、専門家は四角形の窓に潜む危険を発見できました。そのお陰で、現在に至るまで機体の強度を保つために全ての窓は楕円形という設計になったのです。

興味深い点ですが、同じ原理が潜水艦や宇宙船の扉や窓にも当てはまります。そのため、もし何かの機会にこれらの乗り物に乗る機会があれば、是非チェックしてみましょう。
 

大紀元日本ウェブ編集部)