常磐自動車道で起きた「あおり運転殴打事件」の影響でドライブレコーダーが昨年比で2.3倍のペースで売れに売れている。8月12日に一部テレビ局で報道され始めてしばらくは特に影響がなかったが、8月15日以降に売れ始めた。

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 全国の家電量販店ネットショップからPOSデータを集計した「BCNランキング」によると、18日の容疑者逮捕を経て8月20日は販売台数が昨年同日(曜日調整済み)の228.6%にも上った。加害者が高速道路上で蛇行運転を繰り返したあげく進路をふさぎ、停車させられてしまう様子、さらに、被害者が激しく殴られるというショッキングな映像も拡散したことで「自己防衛策」として激しく需要が刺激されている。

 過去、ドライブレコーダーの販売が急増したのは2017年10月東名高速夫婦死亡事故の容疑者が逮捕された時だった。痛ましい事故だったが、映像が容疑者逮捕のきっかけになっただけに、当時の販売台数は前年比で10月236.9%、11月223.0%と急激に伸びた。大幅な販売増は18年9月まで丸1年継続した。

 もともと2桁成長の市場だったところへ事件が起き、市場を押し上げた。その後、需要は一巡、今年の春以降はほぼ前年並みの販売台数を維持していた。そこへ今回の事件だ。

 市場環境を見ると、17年と今回ではやや構造が異なっている。市場規模はほぼ横ばいだが、平均単価(税抜き、以下同)が、およそ1万6000円と3割ほど上昇しているからだ。

 要因の一つが、リアカメラモデルの増加だ。昨年7月時点では、リアカメラ搭載率がわずか7%だった。事件の影響を考慮し、20日までで8月の途中経過データを算出したところ、構成比は40.0%と急増している。前方の映像だけでなく、後ろからのあおり運転の状況を記録するためにもリアカメラつきモデルの需要が高まっている。

 メーカーシェアでは、これまで安定的にトップシェアを維持してきたコムテックに、春以降、JVCケンウッドが肉薄している状況。5月と7月にはシェアが逆転する場面もあった。20日までの途中経過では8月はコムテックが首位を奪還しているものの、上位2社の激しいシェア争いは当面続きそうだ。

 一方、昨年にコムテックとトップを争っていたユピテルは、大きくシェアを落として3位、ナガオカトレーディングとパイオニアが4位・5位で争っている。売れ筋は、2万~3万円前後のリアカメラ付きモデルと、1万円台の低価各モデルだ。

 8月1~20日で集計した機種別販売台数ランキングでは、トップのコムテックの「ZDR-015」を筆頭に、3位のJVCケンウッド「DRV-MR740」、4位のコムテック「ZDR026」が、いずれもリアカメラ付きのモデル。全体の平均単価は1万5200円だが、リアカメラ付きモデルは2万円前後から3万円程度と比較的高価だ。

 一方、2位のJVCケンウッド「DRV-340」はリアカメラがないが、1万円台前半と手ごろな価格で選ばれている。「あおり運転」を筆頭にした危険な運転を記録した映像は依然として繰り返し報道されており、ドライブレコーダー市場への追い風はしばらく続きそうだ。(BCN・道越一郎)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計しているPOSデータベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。

常磐自動車道で起きた「あおり運転殴打事件」の影響で売り上げ急増するドライブレコーダー