グッディング・ペブルビーチ・オークションを解説
8月に北米で開催される自動車イベント「モントレーカーウィーク」には、世界のトップ・オークションハウスが威信をかけた品揃えで前宣伝を繰り広げ、世界中からエンスージァストを呼び込む。
その中にあって1年に3回だけしかオークションを開かないのがアメリカを本拠にするグッディング&カンパニーだ。じっくりと時間をかけて準備するため、大手オークションハウス以上のレアで上質な車両を用意するのが特徴だ。
イベント期間中に開催されたペブルビーチ・オークションには、グッディング&カンパニーの伝統通りコレクターなら目をそらせない珠玉のモデルが140台用意。あくまでも希少性とコンディションを中心に選りすぐられただけに、事前に発表された予想落札額で100万ドル(約1億円)を超える車両が32台も集まった。このことからも、オークションの方向性が分かろう。
先に開かれたボナムスのオークションとは真逆の展開で来場者を出迎えたのだ。
1億円超えが18台 トップ10は?
高額車が多数並んだペブルビーチ・オークションであるが、用意されたクルマが来場したコレクターの好みにマッチしたようだ。超高額車が多かったにもかかわらず、落札率は79.2%と好調だった。注目のトップ10は以下のとおり。
1958年フェラーリ250GT LWBカリフォルニア・スパイダー(10億5489万円)
1958年フェラーリ250GTシリーズIカブリオレ(7億2420万円)
1975年フェラーリ312T(6億3900万円)
1958年フェラーリ250GT TdF(5億4315万円)
1961年アストン マーティンDB4 GT(3億8340万円)
1939年アルファ・ロメオ・ティーポ256クーペ(2億9341万円)
1913年イソッタ・フラスキーニ・ティーポIM(2億8170万円)
1988年ポルシェ959シュポルト(2億2898万円)
1967年フェラーリ330GTS(1億8798万円)
1993年ポルシェ964カレラRS 3.8(1億8212万円)
ペブルビーチらしく愛好家にとって憧れといえるモデルが上位を占めた。この中でフェラーリ250GTシリーズIカブリオレが相場を越える7億2420万円で落札されている。40台のみが作られた中でサイドにアウトレットが備わるのは5台だけという希少さとコンディションの良さからこの額になったもの。
全体的には昨今の世界的な先行きの不透明感から、数年前に見られた数10億円といったバブリーな落札額は影を潜め、バブル前の額に戻りつつあることが見て取れる。
この中で高額で落札されているクルマにはわけがある。例えばポルシェ959シュポルトは3オーナーで走行8000kmが評価されて2億2898万円まで値を上げている。またフェラーリのF1マシンの312Tは、先ごろ亡くなったニキ・ラウダがドライブしたヒストリーを持ち、近年のヒストリックF1レースの盛り上がりの影響もあり6億3900万円で落札されている。
希少な高額車が中心のオークションだが、1000万円以下で落札されたお値ごろ車は18台あった。オースチン・ヒーレー3000 Mk-III BJ8やベントレーMk-VIクーペ、BMWイセッタ300、シトロエンBX 4TC、スチュードベーカー・プレジデント・エイト・ロードスターとお宝も潜んでいた。
グループBカーも登場
また、究極のロードカーとしてエンスーからの人気が高い「グループBラリーカー」のホモロゲート用に製作されたロード・バージョンが姿を見せた。
一番人気のランチア・デルタS4は6台のみが作られたシルバーのボディカラーを持つ個体で、予想落札額が6390~7455万円と高かったため流れてしまった。
このほかパーパスビルド・モンスターのプジョー205 T16(1730万円)、MGメトロ6R4(1491万円)はバブル期より落ち着いた額で落札されている。
超レアなグループBカーといえるシトロエンBX 4TCは657万円で落札されたが、希少性を考えればお買い得といえた。
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