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 犬と飼い主がとても深い絆を育んでいればこそ、このような偶然が起こるのだろうか。

 英国スコットランドで、飼い主が息を引き取ったわずか15分ほど後に、愛犬が別の場所で急な病にかかり亡くなった。

 飼い主はがんで長年闘病生活を続けていたが、ついに危篤状態に陥ったその日、特にかわいがっていた愛犬のフレンチブルドッグが急に苦しみだした。すぐに動物病院に連れて行ったが手遅れだったという。

 飼い主は25歳、愛犬は2歳だった。

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8年間病と闘ってきた飼い主とそれを支えた愛犬

 スコットランドのアロアに住んでいたスチュアート・ハッチントンさんは、8月11日、25歳という若さでその生涯を閉じた。

 スチュアートさんは2011年に脳腫瘍と診断されて以来、手術や化学療法を繰り返すも、2014年と2018年にがんが再発し、一度も寛解になることはなかった。

 そんなスチュアートさんを傍で支え続けて来たのが、フレンチブルドッグのネロ(2歳)だった。

 スチュアートさんは、6年前に出会ったダニエルさんと2017年に婚約し、今年1月に結婚。2人はネロとナーラ、2匹の間に生まれた子犬、アメリアの3匹の犬を飼っていた。

 特にネロはスチュアートさんに大変なついており、いつも彼のそばを離れることなく、両者は強い絆で結ばれていたという。

最期の願いを叶えるべく、男性は実家へ

 スチュアートさんは、2018年に化学療法を始めるために入院し、その後は3か月ごとにスキャン検査をした。今年3月の検査では、治療に効果があったとのことだった。

 しかし、5月に夫婦でスペイン旅行をした際、スチュアートさんは手に痛みを感じた。すぐに検査をすると何も異常が見られなかったが、6月になる頃には腕全体が痛みに襲われた。

 検査の結果、スチュアートさんのがんは骨盤と脳全体、そしてあらゆる骨にまで転移しており、治療のなす術はないということだった。

 人生最期の時間を、生まれ育った実家で過ごしたいというスチュアートさんの願いを受け入れた妻のダニエルさんは、スチュアートさんの母フィオナさん(52歳)が住む実家へと一緒に向かい、献身的な介護をした。スチュアートさんが亡くなる4週間前のことだった。

後を追うようにネロも息を引き取る

 8月11日のその日、スチュアートさんの実家にいたダニエルさんに不思議な出来事が起こった。

 なぜか、ダニエルさんの眼鏡が突然壊れたのだ。ダニエルさんが父親に連絡すると、父親は娘が少しでもスチュアートさんとの最期を一緒に過ごせるようにと配慮を見せ、自分が娘夫婦の暮らした家にスペアの眼鏡を取りに行こうと申し出た。

 そして父親が娘夫婦の家に着くと、ネロが具合悪そうにしていることに気付いた。

 今まで変わりなく元気にしていたネロの急変に驚いたダニエルさんの父は、すぐにネロを獣医院へ連れて行った。すると、ネロの脊椎に異常が見られることがわかった。

 しかし治療の間もなく、ネロは息を引き取ってしまった。実はこの15分ほど前に、スチュアートさんが息を引き取っていた。

スチュアートさんとネロは特別な絆で結ばれていた

 スチュアートさんが実家に戻って以来、24時間つきっきりで息子を看病していた母親フィオナさんは、後にメディアの取材で次のように語った。

スチュアートは、11日の午後1時15分に帰らぬ人となりました。そして、スチュアートの愛犬ネロも同日、わずか15分ほど後にこの世を去りました。息子は、3匹の犬を飼っていましたが、特にネロとはとても強い絆で結ばれていました。いつもネロは、息子の傍を離れなかったのです。

いつか、息子が逝ってしまう時が来ると覚悟はしていましたが、やっぱり辛くやりきれない気持ちです。

ダニエルにとっても、愛する伴侶を失っただけでなく、愛犬ネロも失うこととなり、悲しみは大きく、今でもショックを受けています。



 犬が、亡くなった飼い主に深い悲しみを示すことは珍しいことではない。絆が強いばかりに、亡くなった飼い主が生前使っていたベッドの傍を片時も離れない犬や、飼い主が亡くなった現場から動こうとしない犬もいる。

 スチュアートさんとネロに起こった出来事は、遺族にとっては2重の悲劇以外の何ものでもない。しかし少なくとも今、苦しみから放たれたスチュアートさんは、愛犬ネロときっと天国で一緒に楽しく過ごしていることだろう。

References:The Scotish Sunなど / written by Scarlet / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52278539.html
 

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