エルトン・ジョンの半生を描いた映画『ロケットマン』が遂に日本で公開を迎え、その公開を前に、全世界で最も売れたソロ・アーティストを演じたタロン・エガートンが初来日した。

 『SING/シング』(2016)や『キングスマンシリーズ2014、2017)で知られるタロン・エガートンは1989年11月10日まれのウェールズ育ち。『キングスマンシリーズで魅せたアクションからシリアスな演技まで幅広く演じられる次世代を担う注目俳優だ。本作では、本家のエルトンも太鼓判を押す美声を劇中で披露している。

 既に発売されているサウンドトラックを聞いている方であれば、劇中でどの曲が使われているかご存知だろうが、「ユア・ソング(僕の歌は君の歌)」「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」「アイム・スティル・スタンディング」「可愛いダンサー(マキシンに捧ぐ)」……と、数多あるエルトンの名曲があれもこれも登場する。タロンのみならず他キャストも実際に歌っているのだが、「ユア・ソング」のシーンは撮影時の音源がそのまま使われている。タロンはその点について「ストーリーに沿った歌詞が観客に伝わるように演じることを心がけたよ。撮影時の音源を使ったほうがよりリアルだから、できるところはなるべく撮影時の音源を使いたかった。逆に「土曜の夜は僕の生きがい」はダンスや乱闘、曲に合わせた動きがあって、雑音が入っちゃうから、スタジオ音源の方がいいと判断してスタジオで撮り直してるんだ」と話してくれた。

 本作のハイライトのひとつと言えるのが「アイム・スティル・スタンディング」のシーン1983年に発表されたこの曲のミュージックビデオを観たことがある人には、アッと驚く場面でもある。このシーンについて尋ねると、タロンは「あれは合成、コンピューターマジックだよ。緑の壁紙をバックに一人で撮影したんだ。でもカンヌに行った時、MVを撮影した場所から15 mくらいのとこでエルトンと一緒に歌ったんだよ。これまで3回、エルトンと歌ったことがあるんだけど、最初はめっちゃ緊張して怖かった。でも回を重ねるごとに肩の力が抜けて、エルトンのUKツアーで15,000人の前で歌ったときは本当に楽しかった」と、ちょっとしたエピソードが聞けた。

 世界中で愛されるエルトンを演じるため、タロンはエルトンの家に居候。クセやパフォーマンスの仕草はもちろんのこと、複雑な家庭環境や、瞬時に手にした名声、酒やドラッグに溺れる日々など、エルトンの壮絶な人生を表情や演技で表現するには、何よりも本人から話を聞き、吸収するのが一番の良案だ。エルトンを演じたことで、自身の教訓となるものがあったのではないだろうか。「ん~、まず僕は家族と素晴らしい関係を築いている。いたって普通の家族なんだけどね。何か相談ごとがあればすぐ母親に電話しちゃうし、もし僕がエルトンと同じ境遇になってしまったとしても全力でサポートしてくれる気がする。僕がこの映画から学んだことは、自分が思った以上に上手に、それも力強く歌えるってこと。これが一番の収穫。それに演じていて楽しかったし、この機会を与えてくれたことに感謝してるよ。」

 昔から歌うことが好きだったタロン。演劇学校のオーディションで「ユア・ソング」を歌ったことで合格し、その後『SING/シング』では「アイム・スティル・スタンディング」を歌うという、エルトンとは見えない糸で繋がっていたかのようなエピソードを持っている。エルトンの家に居候して彼と濃い時間を一緒に過ごしたタロンに、エルトンは一体、どんな家に住んでいるのか訊いてみたところ、「どの家のことが聞きたい?」と訊くので「では、一番大きいのを!」とリクエスト。「すごいんだよ、45年くらい住んでいる家で、広いんだけど、とても家庭的な雰囲気なんだ。広大な敷地内にはアート作品がたくさんあった。ピアノが置いてあるんだけど、エルトンは家で絶対に弾かなくて、ピアノの上はいっぱいの写真で覆ってあった。子供と暮らすには最高の場所だよ」と、貴重な話を教えてくれた。タロンの歌声と演技が光る、至高のミュージックエンターテイメントをぜひ劇場で。


Text & Photo by Mariko Ikitake

◎公開情報
ロケットマン
2019年8月23日(金)より、全国公開
監督:デクスターフレッチャー
製作総指揮:エルトン・ジョン
出演:タロン・エガートン、ジェイミー・ベル、ブライス・ダラス・ハワードリチャード・マッデンほか
配給:東和ピクチャーズ
(C)2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

『ロケットマン』タロン・エガートン初来日インタビュー 「思った以上に上手に、それも力強く歌える。これが一番の収穫」