「東京2020パラリンピック」のメダルデザイナーを務めた松本早紀子さんが25日、都内で行われた「東京2020パラリンピックメダルデザイン記者会見」に、文化庁長官で金工作家の宮田亮平氏、東京2020組織委員会副事務総長の古宮正章氏と共に出席。デザイン採用の知らせに、驚きのあまり他人事のように対応してしまったことを明かした。

【写真】扇をモチーフにデザインされた金・銀・銅のメダル

 デザイン採用の知らせを仕事中に受けたという松本さんは「頭が真っ白というか、自分のことじゃないんじゃないかなという風に思って『あぁそうですか、すごいですね』と他人事のような感じで受け取った記憶があります」と、当時の心境を吐露。メダルのデザインは「扇」をモチーフとしたデザインであると説明し、コンセプトワードとして「世界に吹き込むあらたな風」「人々の心を束ねる要」「生命力」の3つがあると話した。

 松本さんは、アスリートが世界に与える影響力を「新たな風」という言葉で表現。そこから発想を展開させて、日本らしさのある扇をモチーフとして構想したという。扇の骨を支える部品である「要(かなめ)」をアスリートに例え、メダルには要をイメージした丸い突起を配置。ほかの面よりも突出した形状にすることで、アスリートの放つ大きな存在感を表している。

 コンセプトワードの「生命力」は「世界で応援する人々の心」を表すとのこと。応援したい気持ちやエネルギーを生命力という言葉に置き換え、日本に生きる自然である岩、花、木、葉、水を配置。松本さんは「受け取るアスリートの皆さんは、さまざまな障害をお持ちの方がいらっしゃると思ったので、見た目で美しいというだけでなくて、触ったときにわかるように、あえて写実的なグラフィックと違うテクスチャをデザインさせていただいております」とパラリンピックならではの工夫を明かし、さらに「ユニバーサルデザインという観点で、サイドにある丸い凹みによって金銀銅がわかるような仕組みにもなっています」と、これまで視覚でしか判断できなかったという金・銀銅メダルの違いを触感で判別できるようにしたデザインも紹介した。

東京2020 パラリンピックメダルデザイン記者会見にて クランクイン!