連載「骨格筋評論家バズーカ岡田の『最強の筋肉ゼミ』21限目」

「THE ANSWER」の連載「骨格筋評論家バズーカ岡田の『最強の筋肉ゼミ』」。現役ボディビルダーであり、「バズーカ岡田」の異名でメディアでも活躍する岡田隆氏(日体大准教授)が日本の男女の“ボディメイクの悩み”に熱くお応えする。21限目のお題は「気分が上がらない時のトレーニング」について。

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 Q.夏の疲れが出ているのか、ジムに行っても、気分が上がりません。疲れていても決めたサイクルトレーニングをするべきですか?

 気分が上がらないということはつまり、リフレッシュがうまくいっていない証拠です。そんな時にジムに行っても、あまりいいことはありません。

 そんな時は、カフェインなどが入ったサプリメントで、無理矢理、気持ちを上げていくという人もいます。しかし、やはり反動が返ってきますから、後になって気分が落ちてしまうこともあるので、まずは「トレーニングがしたい!」と自然と思える心のリズムを作るのが先に来るべきだと思います。

 こういう方は、恐らく体の回復、特に自律神経の回復が追い付いていないのでしょう。特に夏は自律神経が失調しやすい。なぜなら、常に発汗して体の熱を放散したり、冷房の効いた室内と暑い外気温との強烈な温度差を受けながら体温をコントロールしたりと、常に自律神経が酷使されているからです。

 自律神経の交感神経は興奮を司ります。したがって、興奮状態が続いている状態になっている可能性があります。結果、最も興奮してほしいトレーニングの時に興奮レベルが上がらない、ということに。つまり、興奮させる交感神経が頑張りすぎて疲れているので、ジムにいってもテンションが上がらないのだと思います。

 こんな時は、無理やりトレーニングに行くよりも先に、睡眠と食事がしっかりできているかを見直しましょう。

「心を整えるには体から整えていくこと」が重要

 第一に睡眠。暑さは深い睡眠を妨げます。室温のコントロールがうまくいかず、寝ている時も汗をかいていれば、発汗するために自律神経が休みなく働いているということ。つまり、休んでいるようで肝心の自律神経は休めていない状態です。まだしばらく寝苦しい夜は続くと思うので、躊躇なくクーラーを使ってその温度設定を見直しましょう。一方、クーラーをつけっぱなしだと、空気が乾燥し、喉や鼻の粘膜から風邪などの原因となるウィルスが侵入しやすくなります。また、体脂肪が少ない関節部分が冷えて痛くなる人もいるでしょう。加湿する、長そで長ズボンを着て寝るなど、環境を整えてください。

 次に食事です。あまりに暑いと、そばやそうめんなど、のど越しの良い物ばかり食べがちです。食べる気が起きない、これは暑さによって自律神経が疲弊し、食べる準備が整っていない状態になっている可能性があります。そして、タンパク質不足は体力を奪ったり、熱中症の原因になったりします。ゴツイ肉など食べる気が起きないかもしれませんが、ヨーグルトや牛乳、プロテインでもいいので、摂りやすい食品から、何とかタンパク質をとってほしい。また、発汗によって失われやすい、ビタミンミネラルも、野菜や海藻、そして玄米、大麦などの穀物からしっかり摂りましょう。

 結局、心を整えるには体から整えていくことが大事です。心と体はつながっています、というか一体です。栄養状態が良く、適切な睡眠で自律神経がしっかり休めてリフレッシュされていれば、体力も気持ちも上がります。睡眠時間が短く、飯も食べていなければ、思考は回らず、テンションも上がらない、そして力も出ないでしょう? それと同じことです。

 私たち競技ボディビルの選手も、減量期に入るとバーベルが重たく感じ、「トレーニングに行きたくない」という日が訪れます。なぜなら、激しい減量をすると、体が飢餓状態で興奮し、夜の眠りが浅くなるためです。すると、同じ睡眠時間をとっていても、翌日、バーベルが重く感じたり、心拍数が上がりやすかったりと、神経系の疲労が抜けていないサインが表れます。睡眠は、時間の確保はもちろん、質をいかに高められるかがとても重要です。まあそれは、全てにおいて同じですが……。

 この苦しい状態を整えていくことは、トレーニーとしてだけでなく、社会人として成長するチャンスでもあります。私自身も眠りが浅く、トレーニングの気分が上がらないという状態を通して、心身を整える大切さを意識し始めましたし、自分なりの整え方がわかってきました。睡眠や食事を見直し、普段からいいリズムを作るように心がければ、次の夏は元気に、快適に、トレーニングできる日々を送れると思います。これはトレーニングだけでなく、活力ある仕事や私生活を送る基礎、生きる力の基礎になると考えています。(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

長島 恭子
編集・ライターサッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビューや健康・ダイエットトレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌などで編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(共に中野ジェームズ修一著、サンマーク出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(岡田隆著、サンマーク出版)、『カチコチ体が10秒でみるみるやわらかくなるストレッチ』(永井峻著、高橋書店)など。

岡田 隆
1980年愛知県生まれ。日体大准教授、柔道全日本男子チーム体力強化部門長、理学療法士。16年リオデジャネイロ五輪では、柔道7階級のメダル制覇に貢献。大学で教鞭を執りつつ、骨格筋評論家として「バズーカ岡田」の異名でテレビ、雑誌などメディアでも活躍。トレーニング科学からボディメーク、健康、ダイエットなど幅広いテーマで情報を発信する。また、現役ボディビルダーでもあり、2016年に日本社会人ボディビル選手権大会で優勝。「つけたいところに最速で筋肉をつける技術」「HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング」(ともにサンマーク出版)他、著書多数。「バズーカ岡田」公式サイトメディア情報他、日々の活動を掲載している。

気分が上がらない時のトレーニングは?