虐待許せない(takasuu/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

全国的な虐待事案が発覚する中、下関市の認可保育所で、複数の保育士による虐待が判明。しらべぇ取材班は、関係者からの情報提供を受け、下関市、保育所、そして虐待を受けた児童の保護者を直撃した。

■市に報告書を提出

山口県下関市の私立認可保育所「新生保育園」は26日、職員34人のうち12人が園児の手や尻をたたく不適切な保育をしていたことを明らかにした。

園を運営する社会福祉法人「新生園」は同日、不適切な保育があった場合は園長が速やかに指導することなどを盛り込んだ改善報告書を市に提出。

報告書には、保護者から相談があった際は不適切な保育があった前提で園長が事実確認をし、職員を指導するなど再発防止策を記している。

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■保護者の申し出を受けて…

保護者が7月10日に市の幼児保育課に虐待を受けているのではないかという申し出を行った。同月24日には、保護者が市の担当者2名に対して、3時間半の説明を行った。

この時に、市の担当者に対して証拠として、虐待の様子の音声データを提出。しかし、市職員は、この音声データをすべて聞いていなかったという。

その後、市は同月30日に保育園に立ち入り調査に入った。そこで、園長などから園児に対して叩くなどの行為を確認し、その後8月4日には職員への聞き取りを行い、この事実を確認。

■隠蔽工作が行われていた

立ち入り調査を受け、園側では職員による隠蔽工作や口裏合わせが行われた。その様子の音声データも残されており、市側もこの事実を認識しているという。

また、虐待が行われた児童には、あざが残っており、園側はこれを保護者の責任にして、児相に通報しようという工作も行っていたことが取材で分かった。

これを知った保護者が、弁護士や警察に相談し、児相による強制的な保護を免れた。また、この保育園では、過去に牛乳アレルギーの児童に牛乳を飲ませてアレルギーを発症させたなどという事案も多数発生していたことが判明。

また、この虐待事案が発生以降、一部の保護者が園側にクレームを入れたことで、その保護者のみに保育料の一部が免除されていたことも分かった。

■園長や副園長も…

しらべぇ編集部の取材に対して、園長自ら、そして副園長も叩いていた事実を認めたうえで「アンケートや聞き取りでこの件に関わっていたのは、12名と判明した。このようなことが、二度と起こらないように、職員研修等に力を入れていく」と述べた。

市は、新生保育園が児童を叩くということに対する認識が甘すぎるとみており、今後定期監査で改善報告が守られているか、チェックしていくという。

虐待を受けた保護者は、「虐待を受けた心の傷に、園も市も全く向き合ってくれていない。他にも虐待を受けた児童がいるかも知れない。この傷は一生残る」と憤っている。

市の管理体制、そして園の経営姿勢が「児童に全く寄り添っていない」と言わざるを得ない。

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(文/しらべぇ編集部・おのっち

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