連日報じられている、NHKから国民を守る党(以下、N国)党首の立花孝志参院議員(51)による、TOKYO MXへの“突撃”。
 8月12日、19日、26日と3回にわたってTOKYO MXスタジオ前に大勢で突撃し、「マツコ・デラックスをぶっ壊す!」「N国に投票してくれた有権者をバカにした発言は許しがたい」などと宣言した。



 コトの発端はご存知のとおり。7月29日、『5時に夢中!』(TOKYO MX)でタレントマツコ・デラックスが、N国に関して「これから何をしてくれるか判断しないと。今のままじゃ、ただ気持ち悪い人たち」「NHKをぶっ壊す教」「ふざけて(票を)入れた人も相当数いるんだろうなと思う」などと痛烈に批判した。これに、立花党首が激怒したのだ。

◆立花氏の行動は、法的にOK?営業妨害?

 この一連の騒動には多くの人が注目。爆笑問題太田光は、8月20日深夜放送の『JUNK爆笑問題カーボーイ』(TBSラジオ)にて「あいつのやってることヤクザだからね」とバッサリ、高須クリニックの高須克弥院長はツイッターで「営業妨害」と批判した。

 実際のところ、営業妨害(業務妨害)などの法的な問題には当たらないのだろうか? アディーレ法律事務所の正木裕美弁護士に話を聞いた。

「適切か、賛成かどうかは別にして、抗議行動、抗議活動をすること自体は違法とは言えません。ただし、刑法上、偽計又は威力を用いて人の業務を妨害した場合、偽計業務妨害罪(刑法233条)、威力業務妨害罪(刑法234条)が成立する、とされています。

 偽計業務妨害が成立するのは、風説の流布という、真実とは異なる内容の噂などを伝播する行為、または偽計という、騙す・誘惑するなどを用いた場合です。威力業務妨害罪が成立するのは、人の意思を制圧するような勢力である『威力』を用いた場合とされ、大声で騒ぐことも含まれますが、単に相手先を訪問しただけでは成立しないですね」(正木弁護士、以下同じ)

 それぞれの刑法は、立花氏の行動・言動には当てはまるのだろうか。



「立花氏のケースでは、事前に警察に相談したり、警備の関係で支持者にTOKYO MXスタジオ前に来ないよう働きかけるなどしています。そのため、スタジオへの影響が出ないように配慮をしている、業務妨害の故意がないようにも見受けられます。

 しかし、8月19日に立花氏がスタジオ前を訪れた際は、報道陣を含め100人以上が集まり、警察官も30人以上動員されている厳戒態勢でした。立花氏の行動により、『5時に夢中!』の放送自体には影響がなかったとしても、たとえば大声での抗議を続けるなどして、業務に支障が出た場合は、威力業務妨害罪とされる可能性もあります」

 そんな立花氏は8月26日、3週連続でMXのスタジオ前に突撃。マツコやTOKYO MXを批判する演説を行い、集まった人々とは冷静に質疑応答したが、MXに対する訴訟も視野に入れる、と発言した。MX側からも訴えられる可能性がないとは言い切れないだろう。

◆「ネットに晒すぞ」はどんな罪に該当する?

 我々一般人が派手な抗議活動を行うことは少ないと思うが、身近にあるのが「クレーム」。今回の立花氏の行為もそれに当てはまるだろう。
 中にはクレーム電話等をした経験のある人もいるかと思うが、やり方によってはこれも罪に問われる危険性があるという。

クレームの適法・違法のはっきりした線引きはありませんが、一般的にいうと『社会通念上相当』といえるかどうか、というところになります。例えばクレームの内容や方法が、『過剰な要求・攻撃的な要求・執拗な要求・相手の意思に反する要求』は、違法になる可能性が高いですね。クレームの電話を連日入れるなど、度重なると問題になることはあります。

 また、通話時間や通話内容も問題です。異常に長時間の通話、大声で暴言を吐くなどといった行為をした場合、回数が多くなくても、威力業務妨害罪等が成立する可能性もありますね」

 クレーム電話などで、これをしたら罪に問われる、という基準は明確ではないが、回数が少なくとも威力業務妨害罪等が成立することもあるのだ。

 反対に、これをやったら確実に法的にアウトというクレーム行為についても聞いてみた。

「暴行罪は、直接殴るといっただけでなく、胸ぐらを掴むといった場合も適用されます。叩く・蹴るなどして物を壊せば、器物損壊罪ですね。
 『殺すぞ』は脅迫罪に当たりますが、『ネットに晒すぞ』も同様です。実際にSNSなどに誹謗中傷を書き込んだ場合は、名誉毀損罪・侮辱罪となります。飲食店などの虚偽のクレームを書き込むと、偽計業務妨害罪にもなりますね」

 そういった罪はイメージしやすいが、少しイメージしにくい罪に関しても解説してもらった。

「『土下座しないとどうなるかわかってるか』など、生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を与えることを告げ、土下座を強要する、取り囲んで謝罪文を書かせるなどは、強要罪です。
 『誠意を見せろ』などと、弁償や慰謝料の名目で法外な金銭を要求したら恐喝罪です。それが、そもそも事実ではない言いがかりをつけて金品を要求しているのであれば、詐欺罪にも該当します。
 また、例えば、退店を求めても居座って帰らないときに成立する不退去罪という罪もあります」
 
 実際、ここ数年で起きた、コンビニなどで店員を土下座させた事件で、土下座させた客が強要罪や恐喝罪の容疑で逮捕されたケースが複数ある。

 今回はクレームについて話を聞いたが、「SNSで個人を誹謗中傷する行為」などは、今ではよく見るものだ。だが、これは罪に問われる行為なのだという認識を持っておいたほうがいいだろう。<取材・文/日刊SPA!取材班>

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