[記事提供:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム(https://re-departure.com/index.aspx)]

写真/GettyImages

 あらゆる競技で世界No.1がいます。

皆さんは、世界No.1と聞いたら誰を想像しますか?

世界を見渡せば、数多くの世界No.1がいます。

サッカーではクリスアーノロナウドメッシモドリッチなどがいますよね。

野球ではイチローさんやジーター、バリーボンズなどもいます。(ちょっと古いね・・・)

ゴルフでは、タイガーウッズもとても有名ですよね。

マスターズの復活劇は誰もが感動したと思います。

オリンピック競技を見渡せば、スキージャンプ高梨沙羅ちゃんや柔道の阿部一二三くんも世界No.1だと思います。

さらに卓球では日本の平野美宇ちゃんや張本くんも世界No.1に相応しい結果を残していると思います。

どんな競技にも、必ず世界No.1がいるのですが必ず世界No.1に至る過程があった訳です。

彼らはどんな過程があって、世界一になったのか?

どんな練習をしてきたのか?

どんな人に出会ってきたのか?

そういった過程から世界一になるためのヒントが隠れているものです。

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スポーツにおける「ゾーン」に入るためには?(https://cocokara-next.com/motivation/to-enter-the-zone/)

なぜ世界No.1の選手は世界No.1になれたのか?

世界No.1になるには、世界一の努力も大事です。


これが一般的な考え方ですが、なぜ世界No.1は世界No.1になれたのでしょうか?

これを考えるのが何よりも重要なことだと私は思っています。

というのも、

学ぶは、「まねぶ(学ぶ)」と同源で、「まねる(真似る)」とも同じ語源でもあるからです。
【引用・語源由来辞典さま】

だからこそ、何か新しいことを作り出すことよりも、先人の知恵や経験を知ることの方が成長は早いのです。

そこで参考にしたいのが、心理学モデリングという考え方です。

これは、心理学で非常に有名なアルバートバンデュラー氏によって提唱した用語になります。

他者の行動やその結果をモデル(手本)として観察することにより、観察者の行動に変化が生じる現象のことを言います。
【参照・心理学辞典】

このモデリングを観察学習とも言います。

日本では昔から「上手な選手のプレーを盗め!」という言葉がありますよね。

私もずっと野球をしていたのですが、このことを既に小学生からコーチに言い聞かされてきました。

こういった諺がありました。

それは、「人を以て鑑と為す」

→他人のことば、あるいは行動に自分を当てはめて考え、間違った生き方をしないように慎むこと。

真似ることは、何も良いことだけでなく、悪いことだと思うことも含まれます。

反面教師なんて言いますが、人の失敗から学ぶことこそ成功の近道でもあります。

このことから、世界一になれる選手とは人の成功や失敗を過程から学べる人だと思えてきます。

人の成功と失敗から学ぶために必要な心構えがある

私も年間で何人もの選手にお会いしています。

その中で、世界一になった選手にもお会いしています。

私の主観になるかもしれませんが、世界一になる選手はある心構えがあるのです。

それが、「素直さ」です。

一般的に、「素直さ」と聞くとこんなイメージを持っていませんか?

それが、「言われた通りに行動すること」

確かに、言われた通りに行動してくれる選手はとても伸びるのが早いと思います。

しかし、ある素直さも必要だと思っています。

それが、「正直に話す素直さ」です。

これができない選手がとても多いと思うのです。

例えば、教えてもらったことが感覚的に出来ない・・・

けど、素直に聞き出せない選手・・・

意外と多いと思います。

自分の意見を言えない。

これは素直ではないと言えます。

このことから、素直さが大事なのですが円滑なコミュニケーション能力がとても大事なのです。

選手にお会いすると、このコミュニケーション能力の差が世界一との差であると感じることが多々あります。

会話が成り立たない選手が圧倒的に多いのです。

その中でも、質問が長すぎて相手に伝わらない。

意見だけを伝えていて相手の気持ちを汲み取れない。

ある意味、ワガママと言えばワガママなんです。

けど、ワガママというよりは自分を客観的に見れてないことが相応しいと思います。

そういう選手は、自分自身が話している言葉の一つ一つに対して非常に無関心です。

例えば、「難しい」という言葉使わないでください。

と伝えても必ず何回か使ってしまうものです。

コーチング中にボイスレコーダーで密かに会話を録音して終わった後に聞かせると殆どの選手が自分の単語の使い方に驚かれます。

そんなもんです。

それくらい無意識に支配されているわけですから言葉の質を高めたくても相当な意識が大事です。

だからこそ、「素直さ」って大事なんです。

その中でも、正直に話す勇気が世界一に近づくために相応しいメンタルの一つだと思っています。

大坂なおみさんはなぜ世界一になれたのか?

この質問をあらゆる選手にするとこんな回答が多いです。

「サービスが上手だから」
「フィジカルが強靭だから」
「ショットの正確性が高いから」

などなど、どちからというと能力や技術的な話しをされるケースが多いです。

メンタルの話をする人もいるのですがその多くがこう答えがちです。

「強靭なメンタルがあるから」

に留まります。

けど、メンタルの専門家からすると具体的にどう強いの?????って思うわけです。

そこで、私はあるテレビでの一コマで彼女の強さの秘密を知ります。

その頃、サーシャコーチから離れることを選択した大坂なおみさん。

多くのメディアが世界一になったにも関わらずなぜなのか!?とその答えを求めました。

そこでよく言われていたのが不仲説でした。

実際にどうかわかりませんが、練習中のお互いの不機嫌そうな場面も放送するテレビ。

その場面に、強さの秘密があると思ったのです。

そのシーンとは、大坂なおみさんがサーシャコーチにある難しいショットをお願いしたシーンでした。

そのショットに対して、サーシャコーチは出来ないと答えるシーンでした。

打って欲しいショットを打てないと言われたらそりゃ不機嫌になりますよね・・・笑

それよりも、お互いがプロ意識を持って取り組んでいる姿勢に私はとても素晴らしいなと思ったのです。

その後、サーシャコーチとの関係を解消します。

それもそのはず。

自分が求めていることが出来ないコーチにお願いしても大坂なおみさんにとっては衰退を意味します。

ある意味では、当然の流れだったのかなという解釈も出来ます。
(実際は本当にわかりませんが・・・)

けど、このプロ意識にはお互いのある気持ちがあるからこそだと思うのです。

それが、「当事者意識」になります。

自分が結果を出せないのも出せるのも、全ては自分の責任です。

極論言えば、世界一になれたのは世界一に相応しいメンタルがあるからです。

そのメンタルこそが、「素直さ」であり「正直に話す」行動になります。

余談・世界一の選手に聞いたら同じことを話してくれた

大坂なおみさんがなぜ世界一になれたのか?

その答えは無限ですので、私の答えはあくまでも参考程度にしてください。

しかし、同じ質問をある選手にしたところ、私と同じ答えをしてくれた選手がいました。

それが、空手の植草歩さんでした。

全日本では4連覇中で、2年連続で年間の世界チャンピオンに輝き、世界選手権でも優勝経験があります。

これには流石にビックリしましたが、世界一なれる選手は「当事者意識」を常に意識できる証拠になります。

どんな競技も、自分との戦いに勝てなければ他人に勝つことはできません。

そういった面では、結果に相応しいメンタルを常に意識し続けることは特に大事になります。

オリンピックを目指している選手、プロ野球、プロサッカー選手を目指す選手、ワールドカップや日本代表を目指す選手は今回お伝えしたことを大事にして欲しいなと思います。

[記事提供:スポーツメンタルコーチ鈴木颯人のメンタルコラム(https://re-departure.com/index.aspx)]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

鈴木 颯人(すずき・はやと)

プロ野球選手、オリンピック選手などのトップアスリートだけでなく、アマチュア競技のアスリートのメンタル面もサポート。全日本優勝、世界大会優勝など圧倒的な結果を生み出すメンタルコーチングを提供中。

大坂なおみさんはなぜ世界No.1になれたのか?