乳がん全摘出手術時の乳房再建に用いられる乳房インプラントによって悪性のリンパ腫が生じる可能性があり、メーカーはインプラントを自主回収したため、現在(2019年8月)インプラントを用いた乳房再建ができなくなっている。これに対して医療法人ナグモ会ナグモクリニック(理事長 南雲吉則)は適切なインプラントの供給されるまでの間、乳房再建用インプラントの無償提供を開始する。

●保険適用「再建用インプラント」はなぜ自主回収されたのか
インプラント挿入時には周囲にリンパ液が溜まることがあり、これを長年放置するとリンパ腫という病気が生じる可能性があると報告されている。米国・アラガン社のインプラントであるナトレル410シリーズは、Biocell(バイオセル)というざらざらの表面構造を持ち、このリンパ腫の発生リスクと関係すると考えられている。この製品は世界中で広く使われており、日本でも唯一健康保険で認可されている製品で、多くの場合、リンパ液が溜まらないよう処置と経過観察を行うことによって予防できる。またリンパ腫を早期発見しそれを切除することにより治癒するといわれている。しかし死亡例の報告を受け、米国時間2019年7月24日、米国の厚生労働省にあたるFDAの指導のもと、アラガン社は全世界での当該製品の自主回収を決定。これにより日本でも自主回収が始まり、現在、保険適用の再建用インプラントが手に入らないという事態に陥っている。

●ナグモクリニックで無償提供する製品について
乳房再建は、手術によって失われた乳房を形成外科の技術によって再建する方法で、自分のからだの一部を用いた自家組織法と人工乳房で行うインプラント法がある。また乳がんの切除術と同時に行う一次再建、または切除術後期間をおいて行う二次再建がある。ナグモクリニックで乳がん切除と同時に再建する一次再建対象者には、再建用インプラントを無償で提供することにした。このインプラントはFDAが使用禁止していないマイクロテクスチャード(微細にザラザラした表面を持ち)アナトミカル(しずく型をした)インプラントである。

●乳腺専門医・南雲吉則(ナグモクリニック総院長)の思い
我が国では毎年9万人の女性が乳がんとなり、うち4万人が全摘手術を受けています。この手術は女性の胸と心に大きな傷を残します。そこで私は小さな傷から乳腺を全摘し同時にインプラントで再建する「皮下乳腺全摘・同時再建」を25年前から実施し、保険適用になるよう活動してきました。また乳房再建の学会である乳房オンコプラスティックサージャリー学会の設立にたずさわってきました。メーカーの一方的な自主回収を受け、おそらく多くの医療機関で、自家組織再建の推奨、スムースインプラントによる再建などが行われていることでしょう。しかしこれらはインプラントが保険適用となってからほとんど使われなくなった方法です。乳腺専門医として何十年もかけて築き上げてきた「安全で美しいインプラントによる乳房再建」を後退させてはならないと考え、この度の無償提供を決めました。全摘出術が決定して一次再建を検討されている患者様、現在すでに全摘出手術を受け二次再建を考えられている患者様にとって、安全で美しい胸を再建するための選択肢となりうることを願っています。
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  • 住所:〒102-0075 東京都千代田区三番町3-10 乳房再建センタービル
  • ナグモクリニック 東京院https://www.nagumo.or.jp/tokyo 

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