まわりの人と自分の間に温度差や価値観のズレを感じたことがある人はたくさんいるのではないでしょうか。職場で親しい人ができなくて疎外感を抱いている人もいると思います。
この疎外感、実は抱きやすい人には共通点があります。では、どういった人が疎外感を抱きやすいのでしょうか。
今回は、疎外感を抱きやすい人の特徴や、そんな感情の克服方法について解説していきます。
■疎外感とは「必要とされていない感覚」
疎外感とは、大人数の中にいるときに「自分が排除されている」と感じることをさします。
一般的には、自分が必要とされていない、いてもいなくても一緒だと感じる、評価されていない、ひとりぼっちだと感じるようなときに使われます。
たとえば職場で仲良しグループができていて、その中に自分だけ入っていけないときや、自分の知らない話題で周囲が盛り上がっているとき、誰しもが一度はこの“疎外感”を抱いたことがあるのではないでしょうか。
また、考え方が合わない・共感できないと思うと、人は疎外感を覚えます。
疎外感を抱きやすい人の特徴
とはいえ、この疎外感を抱く場面や閾値は、人によってそれぞれ異なります。具体的にどんなタイプが疎外感を抱きやすいのでしょうか。
◇(1)自己肯定感が低い
自分の性格や大切にしている価値観などに「これでいいんだ」とOKを出せていないタイプの人は疎外感を抱きやすい傾向があります。
人の輪に入れなかったり、まわりの人との価値観にズレを感じたりし、「私がおかしいのかな」と思うだけでなく、終いには「みんなと仲良くなれない私がダメなんだ」と自分を責めてしまうことも……。
自分を責めると、「みんなも私とは合わないと思っているんじゃないか」とネガティブな発想に拍車がかかり、ますます疎外感を抱きやすくなります。
◇(2)評価されたい願望が強い
人からの評価を求めている人は、自分が思うような評価を得られなかったときに傷つきやすいもの。認めてもらいたい、必要とされたい、よく見られたいという思いが強いと、人からの評価を得るために、集団に自分を合わせようとします。
しかし、実際にはうまく合わせられなかったり、合わせること自体がしんどくなったりすることも……。そんなとき“「自分は仲間に入れていない」と感じる→落ち込む”というループに入りやすいのです。
◇(3)警戒心が強い
まわりの人のことを「みんな大好き!」と思っていて、いい人扱いしているときは、疎外感など抱かないものです。
一方で、警戒心が強く、人からの評価を気にしがちな人は要注意。
心理的には「私を傷つける人たちかもしれない」と感じ、自分を守るために壁を作っている状態です。自己肯定感が低かったり、過去に人間関係で傷ついたりしたことがあると警戒心は強くなり、自ら疎外感を生み出してしまうのです。
◇(4)大人数が苦手
「1対1で話すのは平気だけど、大人数になると、どう振る舞っていいかわからなくなる」という人も、疎外感を抱きやすい傾向があります。
「みんなと仲良くしなければならない」という思い込みを持っている人ほど大人数は苦手。結果、輪に溶け込めず、自らひとりを選択して疎外感を抱くようになります。
◇(5)遠慮がち
「相手に不快な思いをさせたくない」とか「迷惑をかけたくない」「傷つけたくない」という理由で気を遣いすぎて、自分の言いたいことを伝えられない人も疎外感を抱きやすいでしょう。
たとえば仕事を頼まれたとき、手持ちがいっぱいだから「今は無理です」と断ることができなかったり、相手に悪気はないけれど嫌なことを言われたときに、「そういうことを言われると悲しい」と言えなかったりする人がこのタイプ。次第に親しくなれないことにストレスを感じるようになり、孤独になってしまいます。
■疎外感を克服する方法
寂しさや孤独をまとう疎外感。「これ以上マイナスな感情に支配されたくない!」と、それを克服したいと考える人も多いはずです。
上記のように疎外感を抱きやすい人は、この感情とどのよう向き合っていけばよいのでしょうか。最後に克服するためのコツを5つ紹介します。
◇(1)「合わない人がいてもいい」と気づく
「みんなと仲良くしなければならない」と思っていると苦しくなります。
人間なので合わない人がいるのは普通のこと。みんなと仲良くすることよりも、たったひとりでも話しやすい人を見つけることのほうが大切です。そんな存在がひとりいるだけで、感覚は随分変わるはずなのです。
たとえ職場でほとんどの人と合わなかったとしても、自分がおかしいと思う必要はありません。実際、自分がいるべき場所が違うことはあるので、「ここは合わないな」と素直に認め、受け入れてしまったほうが気持ちは楽になります。
◇(2)人からの評価<自分からの評価
人からの評価で自分の価値を決めていると、相手に期待した反応をもらえなかったとき、自身の価値が大きく目減りしてしまいます。
すると、ますます疎外感を抱きやすくなるので、自己肯定感を上げていくことが大切です。
「最近私ががんばったことベスト3」を紙に書いてみて、声に出しながら「本当によくがんばったね、すごいね」と自分を労ってあげましょう。自分で自分を認めてあげると、多少うまくいかないことがあっても回復が早くなりますよ。
自分の評価は、自分自身の基準で行っていいのです。
◇(3)情熱を注げるものをつくる
情熱を注げるような自分の世界をほかに持っていると、ひとつの場所で疎外感を抱いたとしても、「ほかに自分の居場所がある」「ほかにやるべきことがある」と思えます。
趣味でも仕事でもなんでもOKです。
興味のあるものがあれば、まずは軽い気持ちで取り組んでみましょう。打ち込めるものを持つことは、自然な自分でいられる場所を得ることです。
◇(4)他者を「いい人」として扱う
自分がまわりの人を警戒して、壁を作っているのが疎外感の要因のひとつかもしれません。それなら、まわりの人を「いい人」として扱ってみましょう。
たとえば「やさしいですね」と言われたら、その人にはやさしい面を見せ、「信頼しています」と言われたら、その信頼に応えようと思いますよね。このように、私たちには「扱われたような人になりきろうとする性質」があります。
「相手のいいところを見つけてみよう」という意欲をもって接してみると、どこかひとつはいいところが見つかるはずです。それをぜひ本人に伝えてあげましょう。繰り返していくと、まわりの人があなたを見る目が少しずつ変わってくるでしょう。
次第に、相手から距離を縮めてきてくれるかもしれません。
◇(5)人と積極的に話す
疎外感を抱いているときは、気持ちが滅入ってしまうものです。
元気のない状態になると、ますます自信がなくなり、声が小さくなって表情も暗くなり、対人関係に悪い影響を及ぼします。特に女性は、お喋りをしていないとエネルギーが落ちてしまうので、話せる人にいろんな話をしてエネルギーを充電しましょう。
元気になって自然体な自分を取り戻せたら、人への接し方や話し方も柔らかくなり印象が変わります。
人の目が気にならない自分になろう
まわりとの温度差を感じたり、自分が必要とされていないように感じたりすると、とてもつらいものです。疎外感はなるべくなら抱きたくないですよね。
本当にまわりの人と合わないこともありますし、人からどう思われているかを気にするあまりに疎外感を抱きやすくなっていることもあります。
人目が気にならなくなるためには、コツコツと自己肯定感を上げていくことが近道です。相手をいい人として扱うことも、効果的な方法のひとつ。自分に合った対処法で、疎外感と向き合ってみてくださいね。
(高見綾)
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