ロックバンド・the pillowsの30周年アニバーサリーイヤープロジェクトの一つとして製作された映画「王様になれ」(9月13日[金]公開)の完成披露試写会が、8月27日に都内で行われ、主演の岡山天音をはじめ、後東ようこ、岡田義徳、山中さわお(the pillows)、オクイシュージ監督が登壇した。

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本作は、the pillowsのボーカル・山中の原案を映画化。the pillowsはもちろん、GLAYストレイテナーのメンバーなど豪華ミュージシャン陣が本人役で出演する。

自分を貫こうとするときにぶち当たる孤独、葛藤、その先に微かにみえる光を描き、誰もが自分の「王様になれ」というメッセージがつまった青春物語で、挿入歌&主題歌で流れるthe pillowsによる数々の名曲のみならず、劇伴も山中が担当し物語を鮮やかに彩る。

カメラマンを夢見る主人公・祐介役の岡山は、本作で単独映画初主演。しかも撮影初日がクライマックスのライブシーンというスケジュールだったという。

岡山は、「まさかのラストシーンを初日に撮影するというこれまで経験したことのないスケジュール」と思い出し笑いをしながら、「作りではなくて、本当のライブの後にお客さんに残っていただいたので、リアルな熱気の中で撮影できました」と感慨深げに語る。

撮影前には約2500人の観客が見つめるステージ上で挨拶したそうで、「そんな場所に立ったことないし、バスターズ(the pillowsファン)の皆さんに殴られないか、もしくは何か硬いものを投げつけられないか…と不安だった。でも皆さん歓声と拍手で迎え入れてくれて。バスターズの皆さんは温かいなぁと。貴重な経験をさせていただきました」と感謝を述べた。

■ 岡田「あれは怖かった!」

そして、祐介が思いを寄せるユカリ役の後東は、役作りについて聞かれると「the pillowsの曲を聴き、DVDを見て、毎日the pillowsの楽曲と過ごすことを意識しました。劇中のユカリ同様に宛先のない手紙を書きながらthe pillowsの曲を聴くと、体の中に楽曲が入ってくる感覚がありました。自分自身も知らぬ間に、さわおさんの作った曲に救われていました」と振り返った。

祐介が弟子入りを志願するカメラマン・虻川役の岡田は、山中が演技で怒鳴る芝居を間近に見て、「あれは怖かった!」とニヤリとすると、当の山中は「普段の僕はあんなに怒りません! 映画のフックにしたいと監督から指示されたので怒る演技をしただけ!」と大慌てで否定し、場内は爆笑。

続けてライブシーンについて岡田が「実際のカメラマンのように僕はステージとお客さんの間にいてウロウロしたり、撮影の始まる前にバスターズの方々と会話を交わして楽しかった」と演技上の工夫を回想すると、オクイ監督は「実際にカメラで撮影してもらった写真にもいいものが多かったね」と岡田カメラマンの腕の良さを賞嘆していた。

長編映画監督デビューとなるオクイ監督と山中は20年来の仲。オクイ監督は「3年ぶりくらいの再会の場でいきなり『監督をやって』と。バカじゃないの!?と思った。しかも俺が断ったら企画自体がなくなるとも言われて、逃げ道はなかった」と、オファーの状況を笑いを交えて紹介。

それに山中は「オクイ監督一択でした!」といたずらっぽく報告しつつ「オクイさんに丸投げする安心感があったからこそ、完成までこぎつけることができました」と全幅の信頼を寄せていた。

■ 山中「想像を遥かに超える映画が完成」

the pillowsの30周年アニバーサリーイヤープロジェクトとして劇映画を製作したことについて山中は、「これまでのどのロックバンドもやっていないことにチャレンジしたいという欲があり、俳優さんがお芝居する映画を作ろうというアイデアに至った。50年生きていれば、自分にも1つくらいの物語はできるのではないか?と思った」と狙いを説明。

無事に完成し、公開を間近に控える現在の心境については「30年間バンドをやって来て、自分の想像を上回るうれしいことがあった」と“15周年のトリビュートアルバム制作”“全箇所ソールドアウトのアメリカツアー”“20周年での武道館ライブ”を挙げて、「そして今回の映画という4つ目のうれしいことがやってきた。まさか自分が映画を製作する側に回るとは思わなかったし、想像を遥かに超える映画が完成してうれしい。この経験したことのない感動を胸に、10月17日に行われる横浜アリーナのステージに立ちたい」と気持ちを新たにしていた。

最後に主演の岡山は、「バスターズの皆さんにも、そうでない方にも、何かにつまずきそうになった時に立ち上がる助力になるような作品になっていればうれしい。世代性別問わず、見る人を選ばない作品になったと思います。公開初日に向けて、どんどん広がっていけばうれしい」と期待を込めた。(ザテレビジョン

映画「王様になれ」完成披露試写会に出席した後東ようこ、岡田義徳、岡山天音、山中さわお、オクイシュージ監督(写真左から)