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 高まる健康志向を受け、大手ファストフードチェーンのケンタッキー・フライド・チキンKFC)は、昨年、植物由来の人工肉「ベジミート」を使ったフライドチキンの開発を行っていることを発表したが(関連記事)、ついにそれが完成したようだ。

 今年8月27日、アメリカ・ジョージアアトランタの1店舗で、1日限定で植物由来の「鶏肉」が試験的に無料提供された。

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代替肉メーカー「ビヨンド・ミート」と共同開発

 8月27日ジョージアアトランタにあるKFCの1店舗のみで試験提供されたのは、代替肉メーカー「ビヨンド・ミート(Beyond Meat)」と共同開発した「ビヨンド・フライドチキン」だ。


 無料サンプルとして配布された植物由来の“鶏肉”は、普通のチキンと同じフライヤー(揚げ物器)で調理されるという。

 それについては、厳格なベジタリアンヴィーガンダイエットに準拠していない可能性があるとされているが、今回チェーン側は、肉の摂取量を削減しようとしているフレキシタリアン(柔軟な菜食主義者)の顧客を対象にしていると明かしている。

次のステップは顧客のフィードバック次第

 アメリカKFCの取締役を務めるケヴィン・ホックマン社長は、昨年に続き今年5月の時点でも「ベジミートを使った試作品提供の予定はない」と断言していた。

 しかし、複数の主要サプライヤーとのミーティングを重ねたことで、予定変更となったようだ。

 今後は、顧客からのフィードバック次第で、より広範囲に試験的提供をしていくか、最終的な全国展開となるかを決めることになるという。

米国内市場の激しい競争を強いられるKFC

 この四半世紀、アメリカのKFCはChick-fil-Aなど数多く存在するファストフードチェーン店との間で、激しい市場競争を行ってきた。

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 例えば、中国のKFCは売り上げが27%を占めるが、アメリカ国内では17%に留まっており、KFCの成長は今やほとんどアメリカ国外からもたらされていると言っていいだろう。

 それでも過去5年の転換期を経て、2014年以来初めて、アメリカ国内のファストフード店での年間純利益が期待されるまでになったようだ。

 しかし2018年の末の時点では、アメリカ国内には4000店舗余りのチェーンが展開されているのみで、80年代全盛期と比較してはやりビジネスは下降気味であることは否めない。

“ビヨンド・フライドチキン”はKFCの救世主となるか

 利益を上げ、更なるビジネス拡大を図るには、KFCのビヨンド・フライドチキンの試作販売は、確かにいい戦略となるかもしれないが、やはり他社との競争は激しいものになるだろう。

 ベジタリアニズムやヴィーガニズムのブームに乗って、肉代替品を使ったメニューによるビジネス戦略は、他の大手ファストフード店でも同様に目を付けているからだ。

 メキシコ料理チェーン「デル・タコ(Del Taco)」では、ビヨンド・ミートを使ったベジタリアンメニュー「ビヨンド・タコ」を販売した後、売り上げを再び増加させることに成功している。


 また、バーガーキングでも、看板商品となる牛肉ハンバーガーの代替肉版として「インポッシブル・ワッパー(Impossible Whopper)」の販売を、今年から開始した。

 なおマクドナルドにおいては、2017年より肉抜きのビーガンハンバーガー(McVegan)を発売しており、スウェーデンフィンランドでは定番メニューになっているという。

References:CNBCなど / written by Scarlet / edited by parumo

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52278661.html
 

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