駅なのに、ホームにたどり着くまでがアドベンチャー!下り方面のホームまで、合計486段の階段を下らないと辿り着けない駅があります。逆にいうと、この駅で降りたら486段の階段を上る必要があります。人呼んで「日本一のモグラ駅」、土合(どあい)駅を訪れてみました。その、驚きの事実を現地ルポ!


日本一のモグラ駅「JR土合駅」って?
普通鉄道駅としては群馬最北端になるJR土合駅。群馬と新潟の間を走る上越線にあります。谷川岳の玄関口にあり、登山客の利用も多いこちらの駅舎は、谷川岳をイメージした三角屋根です。しかし「関東の駅百選」に選ばれているのは、地底ともいえる、地下ホームへの通路の特殊性でしょう。

下りホームへ

土合駅では、下り(長岡・新潟方面)が1日に5本、上り(高崎方面)が1日に5本、電車が停まります。乗車しない場合、入場券も不要で、観光スポット化したホームを訪れることができます。8月の夏休みとあって、見学者がちらほら。

無人駅や地下という要素から、もっとおどろおどろしい雰囲気かと思っていましたが、入ってみると意外と近代的で普通です


噂の地下ホームは、下り方面のもの。






まずは、連絡通路を通ります。外には湯檜曽川が見え、爽やかささえ感じますが・・・。


下り階段が見えると、一気に無機質な雰囲気に。


階段は5段降りると踊り場の繰り返し。長い道のりなので、ベンチもあります。なぜか、階段は濡れているのですが、木製のベンチは湿りすぎていなくて、座ることができます。


壁からは謎の水が。地下に下っていくので、空気がどんどん冷え込んでいきます。




急にあたりに霧が出てきて、異世界に紛れ込んだような気分に!火星あたりに来てしまったのではという雰囲気になるのです。

その後、電車が停車する音が響いてきました。


やってきた電車をホームで見ることができたという観光客とすれ違う頃には、霧が晴れていました。霧は、電車が持ち込んだものだったのでしょうか。




ついにホームに到着です。


待合室もあって、思いのほか怖い雰囲気ではありません。


地上に向かう

地上へ戻ることに。看板には、これから上らないといけない階段の段数が表示され、階段には、数字が振られています。


階段は、5段上がった踊り場が3歩で進めるので、リズミカルに歩き続けることができるのですが、さすがに段数が多く、しばらくすると息が切れます。


温泉が湧くエリアなので、硫黄らしきものが、階段脇に流れているのが見えます。

階段を上がっている間、避難口はありません。もし何かあったら逃げ場がないと思うと、ちょっとした恐怖を感じますが、なかなか急げないのが現実。当初はエスカレーターが建設される予定だったそうですが、結局階段のみです。まあ、もしエスカレーターがあったら、観光スポットにはなっていなかったと思われるので、どちらが良かったのか分かりません。




外の光が見え、ようやく階段が終わりかと喜びますが。






このように残りの階段があります。


ところどころ、出口までの距離が目安で出ていて、励まされます。

上りホームは?
下りホームはSFのようでしたが、上りホームはどんな雰囲気かというと。




少年時代」の歌を思い出すような、古きよき田舎といった感じです。ちょうど電車もやってきました。


入口の伝言板も、味があっていいですよね。


ちなみにこちらが駅前です。砂利道で、ところどころ石が大きいのですが、自由に車を停められるようになっています。

地底へと下っていくトンネル内は、テレビなどで見ていたのと違って薄暗く、かなりインパクトの強い旅の思い出となりました。

JR土合駅
所在地:群馬県利根郡みなかみ町湯桧曽


[All photos by Shio Narumi]

土合駅