自分に驚いています。「めっちゃ試合をしたな!」って(笑)

 ガンバ大阪のMF遠藤保仁8月2日のJ1リーグ第21節ヴィッセル神戸戦(2-2)で途中出場し、公式戦1000試合出場の偉業を達成した。J1、J2、カップ戦、天皇杯AFCチャンピオンズリーグ日本代表戦など、すべての公式戦を含めて日本人初となる金字塔を打ち立てた本人を直撃。稀代のプレーメーカーが、全6回で1000試合出場の舞台裏を語る。第1回は「凄いと思った日本人選手」について訊いた。

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 1000試合も戦っていれば、対戦した日本人選手も星の数ほどいるので悩むところだけど、パッと思い浮かぶのは……自分かな(笑)

 プロサッカー選手になった時は、まさかこんなにも試合を戦えるとは思っていなかったし、世界的に見ても各国のトップリーグを中心に1000試合以上を数えた選手は(ユベントス/元イタリア代表GK/ジャンルイジ・)ブッフォン、(元スペイン代表MF)シャビ、(ポルト/元スペイン代表GK/イケル・)カシージャスら6〜7選手だと聞いているから、そういう意味でも自分に驚いています。「めっちゃ試合をしたな!」って(笑)

 でも裏を返せば、ずっと試合を戦ってこれたから1000試合に到達できたはずで……。なぜなら、いつの時代も、選手が一番成長できる場所は「試合」で、評価を受けるのも「試合」だから。

 もちろん、これは練習が大事じゃない、と言っているわけではない。実際、練習でしか得られないものもたくさんあって、そこに真摯に向き合えなかったり、練習で自分の課題を克服するためのチャレンジをできない選手は、試合で起用される可能性は低くなってしまうはずだしね。

大きな怪我もせずに戦えたのも、これに起因するところが大きい

 ただ単純な話、練習を1000日やるのと、試合を1000回戦うのでは得られる中身も、成長の度合いも格段に違う。そもそも、プロサッカー選手の評価って試合で結果を残せるかどうかで、それがなければプロとしてのキャリアも、日本代表などへのステップもない。事実、僕もたくさんの試合を戦ってきたから今もこうしてプロサッカー選手を続けていられるんだと思う。

 ただ言うまでもなく、これは僕1人の力じゃなくて、支えてくれてきた家族や友だち、応援してくれてきた人、一緒にプレーしてきた仲間やコーチングスタッフの存在があってこそ実現できたこと。

 例えば、日本代表戦を並行して戦っていた時期は、ガンバ日本代表を行き来する毎日で、ともすればコンディションを崩してもおかしくなかったはずだけど、そういった僕の状況に西野朗監督(現タイ代表監督)やブローロフィジカルコーチ(現横浜FCフィジカルコーチ)が理解を示してくれたというか。

 海外から帰国した直後は、必ず僕に「コンディションはどうだ?」と意見を求めてくれるようになり、たとえ試合が2日後に迫っていたとしても「今日はプールだけにしたいです」「ジョグでとどめておきます」って考えを受け入れてもらえるようになって、かなり気持ちも体も楽になった。長いプロ生活を、大きな怪我もせずに戦えたのも、これに起因するところが大きい。

 もっとも、選手は常に評価される側の立場にあると考えても、これらはすべて監督やコーチとの信頼関係があってこそで、それを感じていなければ、僕もそんなふうには言えなかったはずだけど。

そのことに対して手を抜いたことは一度もない

 当時はそのことを揶揄されて“遠藤調整”みたいに言われたりもしたけど(笑)、正直、シーズン中であれば、2日くらい練習をしなくてもコンディションが絶対に落ちない自信もあったしね。今になって振り返っても、そうして常に試合で100%の力を発揮するための自分なりの調整を貫けたことも、今のキャリアを支える大きな理由の一つだと思う。

 といっても、自分のペースで調整させてもらう分、試合ではより頑張ったという感覚は特にない(笑)。どの試合を目の前にしても……これは今もそうだけど、いつも考えるのは「チームが勝つために全力で戦う」ということのみ。

 昔も今も僕はサッカープレーするのが大好きで、ピッチに立てば、その大好きなサッカーを目一杯、楽しみながら、目の前の敵を倒すために自分のすべてを出し切る。1000試合すべてで、そのことに対して手を抜いたことは一度もない。

(第2回「衝撃を受けたJリーグ海外助っ人選手」に続く)

遠藤保仁「公式戦1000試合」内訳(G大阪調べ)
公式戦1000試合・148得点

J1リーグ:621試合(歴代2位)・103得点
J2リーグ:33試合・5得点
Jリーグチャンピオンシップ:3試合・0得点
リーグカップ:72試合・5得点
天皇杯:48試合・10得点
富士ゼロックススーパーカップ:6試合・0得点
クラブワールドカップ:3試合・0得点
AFCチャンピオンズリーグ:58試合・10得点
スルガ銀行チャンピオンシップ:1試合・0得点
A3チャンピオンズカップ:3試合・0得点
日本代表戦:152試合(歴代1位)・15得点(高村美砂 / Misa Takamura

ガンバ大阪の元日本代表MF遠藤保仁【写真:Noriko NAGANO】