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 普通の人よりも短い睡眠で問題なく過ごしている人たちがいる。彼らはショートスリーパーと呼ばれており、日本語だと短眠者と言うそうだ。

 そういった人は4~6時間も寝れば十分なのだそうで、真偽のほどは定かでないが、かのナポレオンやエジソンもショートスリーパーで、4時間しか眠らなかったと言われている。

 寝ても寝ても寝足りないロングスリーパーにとっては羨ましい限りだ。

 『Neuron』(8月28日付)に掲載された研究によれば、そうしたあまり眠らなくてもフル稼働できてしまう人たちは、「ADRB1」という遺伝子に突然変異があることが判明したのだそうだ。

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ショートスリーパーを対象にしたDNA解析

 2009年のこと、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の神経科学者、傅嫈恵教授らによって、生まれつき睡眠が短くてすむ人の家系には、体内時計と関係している「DEC2」という遺伝子に特徴的な突然変異があることが発見された。

 これを発表してから、彼女のもとにはショートスリーパーたちからたくさんの問い合わせがあり、それが今回の研究につながったとのこと。

 こうした縁があって今回の研究に参加してくれたショートスリーパーたちのDNAを解析したところ、ある家族にADRB1の突然変異が見つかった。

 この突然変異がない場合、ADRB1にコードされたタンパク質は、脳の「橋背側」という領域のニューロンを抑制している。じつはここは睡眠と覚醒の制御に関係する領域だ。

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突然変異型のADRB1遺伝子と短睡眠の関係性が認められる


 この突然変異が睡眠が短くてもすむ原因なのかどうかを確かめるために、試験官の中で通常のADRB1タンパク質と突然変異のそれを比較してみたところ、後者はずっと不安定であることが明らかになった。

 つまり、問題のニューロンに対して正常に作用できないと推測されるということだ。

 これを踏まえて、突然変異型のADRB1遺伝子を持つマウスで実験してみたところ、普通のマウスよりも55分睡眠が短いことが確認された。

 また、そのマウスの脳の橋背側では、研究チームが推測していた通り、ADRB1遺伝子が強く発現していることもわかった。しかも覚醒時だけでなく、レム睡眠の間も活発であるとのことだ。

 橋背側は覚醒およびレム睡眠と関係している。そして、そこにあるニューロンの活動レベルの高さは遺伝子の突然変異と関係がある。ならば、ショートスリーパーの秘密は、遺伝子の突然変異にあると考えられるのだそうだ。

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ショートスリーパー遺伝子は他にもある


 ADRB1遺伝子の突然変異が短い睡眠の背後にあるだろう一方、これに関係する遺伝子はひとつだけではないだろうとも研究では述べられている。

 夜に睡魔を呼び、朝に目覚めさせるよう体を調整している知られていない遺伝子や脳領域はもっとあるだろうとのことだ。

 傅教授によると、こうした研究の究極の目的は、睡眠が制御されているメカニズムを解き明かすことだとのこと。それが解明されれば、良い睡眠とは何かはっきりと答えを出せるようになるのだそうだ。

 睡眠が短くても悪影響が出ないですむ遺伝子や突然変異の特定は、睡眠のホメオスタシス(恒常性)と効率性の分子・神経レベルでの制御メカニズムに関する研究の基礎となる。

 それがいずれは、睡眠障害で悩む人を救う方法や、効率的に眠り健康的に歳をとる方法につながると期待されるとのことだ。 

References:neurosciencenews / inverse/ written by hiroching / edited by parumo

 ショートスリーパーの話なのに、なぜか頭の中にデイドリームビリーバーの曲が流れてきて、忌野清志郎さんと黒木佑樹さんバージョンと高畑充希さんバージョンを一気にYOUTUBEで再生してしまった私はショートスリーパーというより、やっぱデイドリームビリーバーなのかもしれない。

全文をカラパイアで読む:
http://karapaia.com/archives/52278876.html
 

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