レディアコフだけは、いつまでたっても自分の間合いでプレーさせてもらえず…

 ガンバ大阪のMF遠藤保仁8月2日J1リーグ第21節ヴィッセル神戸戦(2-2)で途中出場し、公式戦1000試合出場の偉業を達成した。J1、J2、カップ戦、天皇杯AFCチャンピオンズリーグ、日本代表戦など、すべての公式戦を含めて日本人初となる金字塔を打ち立てた本人を直撃。稀代のプレーメーカーが、全6回で1000試合出場の舞台裏を語る。第2回は「衝撃を受けたJリーグ海外助っ人選手」について訊いた。

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 Jリーグプレーした外国籍選手に限るなら……プロ1年目の横浜フリューゲルスのチームメートだった、FWイゴール・レディアコフ(1998年/横浜F在籍)っていうロシア人。一緒にプレーした期間は6〜7カ月と短かったけど、彼にはかなり衝撃を受けた。

 高校生からプロになったばかりというのもあったかもしれないけど、まあ、懐が深い。手を替え品を替えて挑んでも、相手の間合いでしかプレーできなかったし、一度も勝てると思えなかった唯一の選手だった。

 昔も今も、対戦相手の選手に対してファーストインプレッションで「凄いな!」と感じたり、一つのプレーに対して「上手いな」って思うことはあっても、どこかのタイミングではだんだんとその選手の特徴に慣れてきたり、癖を理解して上回れるようになるものだけど、レディアコフだけは、いつまでたっても自分の間合いでプレーさせてもらえず、一向に彼からボールを奪える気がしなかった。

 あとは……清水エスパルスの元アルゼンチン代表FWフェルナンド・ニコラス・オリバ(1996~1998年、2000~2001年/清水在籍)。彼は確か2回、清水に在籍していたと思うけど、僕が対戦したのはフリューゲルス時代だけで……だから、これもプロになりたての時期だったから、余計に衝撃が大きかったのかもしれないけど、とにかく上手かったし、何をしてくるか、何が得意なのか、全く読めない選手だった。

今の自分が対峙しても果たして同じことを感じるのか……ちょっと体感してみたいな

 寄せなければあっさり前を向かれてやられるけど、寄せたら寄せたではたかれて、かわされるし、っていう一番だるいパターン(笑)。でも、おそらく本人はそれを意図的にやっているわけではなく……生まれ育った過程で自然と相手が嫌がること、自分が生きる方法を備えているような気がしたね。しかも、いろんな意味でとにかく万能だった。フィジカル、技術はもちろんのこと、常にたくさんのプレーの選択肢を持っていた。

 普通、選手って自然と自分が得意なプレーで勝負しようとするでしょ? 例えばドリブルが得意なら、ボールをトラップした瞬間からドリブルで仕掛けることを考えるし、裏を返せばパスが得意な選手が、最初からドリブルという選択を選ぶことはない。

 でもオリバって本当に万能で、何が特徴なのかをつかめないくらい、いろんなプレーがハイレベルでできたから。おまけに一口にドリブルと言ってもいろんなアイデア、選択肢を持っていて、対峙しようとすると常にいろんな可能性を考えなければいけなかったし、こちらが予想して動いたところで、意識しているのか、無意識なのかは分からないけど、予想とは違う選択をされてかわされた。

 今の自分が対峙しても果たして同じことを感じるのか……過去のことにはあまり興味がないけど、それはちょっと体感してみたいな。

(第3回「後悔と慣れ」に続く)

遠藤保仁「公式戦1000試合」内訳(G大阪調べ)
公式戦1000試合・148得点

J1リーグ:621試合(歴代2位)・103ゴール
J2リーグ:33試合・5ゴール
Jリーグチャンピオンシップ:3試合・0ゴール
リーグカップ:72試合・5ゴール
天皇杯:48試合・10ゴール
富士ゼロックススーパーカップ:6試合・0ゴール
クラブワールドカップ:3試合・0ゴール
AFCチャンピオンズリーグ:58試合・10ゴール
スルガ銀行チャンピオンシップ:1試合・0ゴール
A3チャンピオンズカップ:3試合・0ゴール
日本代表戦:152試合(歴代1位)・15ゴール(高村美砂 / Misa Takamura

ガンバ大阪のMF遠藤保仁が衝撃を受けた海外助っ人選手とは?【写真:Noriko NAGANO】