やってみたい!」と思っても、少し敷居が高く感じてしまいがちなボランティア活動。でも実は、思っているよりも身近に、その支援の手を求めている場所があるのです。 2019年7月29日(月)・30日(火)にパシフィコ横浜・展示ホールで開催された「高校生ボランティア・アワード2019」。このイベントでは、さまざまなボランティア活動に取り組む高校生が全国から集結し、日頃のボランティア活動について発表しました。本記事では、有識者によるシンポジウムが実施されたイベント2日目の様子をレポートします!

命とは?自分たちにできることとは?…さまざまな意見が生まれたシンポジウム

2日目は有識者が登壇し、意見交換と質疑応答を行うシンポジウムが開催されました。シンポジウムのテーマは、「さまざまな命の現場で考えること」。国境なき医師団日本会長・加藤寛幸さんや、認定NPO法人ロシナンテス理事長・川原尚行さん、イベント全体のMCを務めた小林麻耶さんなど5名のパネリストが、ご自身の経験をもとにテーマについて意見を語りました。

シンポジウムの後半に設けられた質疑応答の時間では、事前に集められた高校生からの質問に、有識者の人々が答えていきます。国境なき医師団日本会長の加藤さんは、「世界で避難生活を続ける人に、私たち高校生だからこそできることは何でしょうか?」という質問に、「一番聞いて欲しかった質問です」と言い、「自分から探して情報を得るということが、皆さんでもできることだし、大事なことです」「まずはたくさんのニュースを見て、一つの出来事をいろいろな角度から考えること。そしてどれが正しいか自分で判断すること。そうすると自然と次の一歩に進んでいけるんじゃないか」と答えました。

加藤さんのおっしゃる通り、近くの問題も遠い海外の問題も、まずは知ることから始まります。そして次の一歩を踏み出すときに役立つのが、今回のボランティア・アワードなどで生まれる横のつながり。主催のさだまさしさんは、「ボランティアという一本の糸でみんなが結ばれていくと、何か起きてもその連絡網で『私たちにはこれができる』『今までやったことはないけど、これならできるかも』と動くことができる」と話しました。

最前線で活動する人々の話に、高校生も真剣に耳を傾けたシンポジウム。今後の活動のヒントになったことは間違いないでしょう。

1日目に続き、活気に満ちた2日目のブース発表!

宮城県 宮城県農業高等学校 科学部復興プロジェクトチーム
宮城県 宮城県農業高等学校 科学部復興プロジェクトチーム

シンポジウムの後ということもあり、より気が引き締まった状態でスタートしたブース発表。1日目のレポートに続き、3校をご紹介します。

宮城県 宮城県農業高等学校 科学部復興プロジェクトチーム
このチームは、東日本大震災で津波被害を受けた人々の心の復興と地域緑化を目指し、桜を植林。その桜を使って「復興桜塩」を生産する活動をしています。津波被害を受けた沿岸部は緑が減少しただけでなく、土壌の栄養分も少なくなっているそうです。その対策のため必要となる堆肥の購入資金を「復興桜塩」を生産・販売することで捻出。活動8年目となる現在、活動は地域全体に広がり、生産した桜塩は定期市や各施設でも販売されています。

プロジェクトに参加する生徒は、「地域の人々も一緒に活動しているので、励ましの言葉をかけてもらえることもある。もっと産業として大きくして、地域に貢献したい」と意気込みを語りました。

神奈川県 神奈川県立中央農業高等学校 養鶏部
神奈川県 神奈川県立中央農業高等学校 養鶏部

神奈川県 神奈川県立中央農業高等学校 養鶏部
中央農業高等学校・養鶏部は、地域資源を利用した農法や、飼養管理方法を研究しています。「環境だけではなく、人にとっても持続可能であること」を目指し、実現性の高さを考慮しているのが特徴的です。中でも注目されるのが、輸入に頼っている鶏の飼料を、地元の名産物で賄うための研究。地元の名産である「湘南ゴールド」というオレンジを粉末化し、飼料にする試みについて発表していました。まだ栄養面などで改良の余地があるそうですが、今後の研究に期待が高まります。

部員の方は、「学校で学ぶことや部活で取り組む活動を通して、“食べる”という身近な行為から、いろいろなことに通じていくのだと感じた」と話しました。

福岡県 福岡常葉高等学校学校 ボランティア部
福岡県 福岡常葉高等学校学校 ボランティア

福岡県 福岡常葉高等学校学校 ボランティア
福岡常葉高等学校ボランティア部では、筑紫野市、太宰府市を拠点に、地域交流会を中心とした活動を行っています。募金活動や地域のお祭り成人式ボランティアスタッフなど、さまざまな場で活躍中。「国際ソロプチミスト」という女性の世界的な奉仕団体に加盟しており、年に一度、活動報告も行っています。地域交流を大切にしている団体なだけに、ブースには、地元にある太宰府天満宮イメージしたおみくじコーナーも! 部員の方は、「地元はもちろん、県を越えて活動を広めていきたい」と今後の抱負を語っていました。

学校や県を越えたつながりが生まれたボランティア・アワード

金光学園高校 渡辺 陽(わたなべよう)さん
金光学園高校 渡辺 陽(わたなべよう)さん

多くの高校生と来場者でにぎわったボランティア・アワードもいよいよ閉幕。閉会式では、各協賛企業と応援団の方々、来場者が選出した受賞団体が表彰されました。

数々の賞のうち、今回「マイナビ賞」を受賞したのは、岡山県の金光学園高等学校/岡山龍谷高等学校/鹿島朝日高等学校ら計7校による「白石踊800年の伝統を受け継ぐ会」。岡山県・白石島の伝統舞踊である「白石踊」ですが、現在人口の減少などを受け、後継者が不足しています。白石踊800年の伝統を受け継ぐ会は、このような問題解決のため、広報活動や白石踊をレクチャーする講習会へ参加。もともとは白石踊に魅せられた一人の男子生徒が始めた活動とのことですが、現在は岡山県内7校さまざまな高校の生徒が集まり、19人で活動しています。

マイナビ賞受賞の「白石踊800年の伝統を受け継ぐ会」にインタビュー

写真手前、左から、総社高校 大池 星空(おおいけせいら)さん/倉敷古城池高校 宮田 陽南子(みやたひなこ)さん/金光学園高校 吉實 沙希(よしざねさき)さん/ 写真奥、左から金光学園高校 渡辺 陽(わたなべよう)さん/金光学園高校 岡本 涼顕(おかもとりょうけん)さん
写真手前、左から、総社高校 大池 星空(おおいけせいら)さん/倉敷古城池高校 宮田 陽南子(みやたひなこ)さん/金光学園高校 吉實 沙希(よしざねさき)さん/ 写真奥、左から金光学園高校 渡辺 陽(わたなべよう)さん/金光学園高校 岡本 涼顕(おかもとりょうけん)さん

他校の生徒や地域の人々も巻き込み、活動の場を広げている皆さん。マイナビ賞受賞の感想を伺いました!

「白石踊について楽しく活動していたのですが、まさか賞が取れるとは思っておらず、とてもうれしいです。もともと白石踊は、亡くなった人々を供養するために始まった踊り。災害なども多い今、白石島だけでなくほかの地域にも広めて、いろいろな方々にこの白石踊を踊って欲しいと思います。今後も継承のために、こうした機会を大切にして活動を続けていきたいです。いつか大きい輪で白石踊を踊りたい!」

実際にブースでは白石踊を実演してくださり、楽しそうな皆さんの顔が印象的でした。今後の活動にも注目です!

最後に主催のさだまさしさんから高校生へのメッセージ

閉会式の最後を飾ったのは、主催のさだまさしさんからのメッセージ。風に立つライオン基金の目標は“ボランティア後方支援をする”ということであると話し、「この運動のバトン高校生の皆さんに受け取って欲しいと思っています。この先もこのイベントが続いていき、それを支援する人が増えていく。それによって、この国が10年後に少し形を変えるかもしれないということを期待しています」と、今後のボランティア・アワードについての思いを語りました。

今回のレポートを読んでボランティア活動に興味を持った方は、まずは自分の学校や地域でどんな活動が行われているのか、調べてみてはいかがでしょうか。どんなに小さなことでも、課題について考えて行動することが、ボランティア活動へつながっていきます。

2020年も「高校生ボランティア・アワード」は開催予定です!(場所、日程未定)
興味を持った高校生の皆さんは、ぜひ、挑戦してみてください!
最新情報は公益財団法人 風に立つライオン基金のwebサイトをご確認ください!


☆「高校生ボランティア・アワード2019」はこちらから☆
http://xn--cckab3lsa3izd6b5a7fn.jp/



【取材協力】 公益財団法人 風に立つライオン基金
http://lion.or.jp/