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Point

■小学生の頃から、ジャンクフードだけを食べ続けた少年が失明状態になる

■極端な栄養失調により、視神経に障害が起こり、さらに難聴まで発症している

■少年の視力は現在、矯正した状態で「0.1」ほどしかなく、今後の回復も不可能なところまで悪化している

イギリス在住の少年が、長期間にわたるジャンクフード食が原因で失明状態に陥るという事例が報告されました。

その少年は、小学生の頃からずっとプリングルスや揚げ物しか食べていなかったとのこと。その後、疲労・倦怠感を覚え医師の診察を受診しました。その際に、貧血症とビタミンB12の欠乏と診断されましたが、少年は医師のアドバイスを聞かず、同じ食生活を続けたそうです。

その結果、17歳になる頃には、視力矯正した状態で0.1にも満たず、さらに難聴の症状も併発していました。ちなみにアメリカでは、視力矯正した状態で0.1に達していなければ、法律的に「盲目」とされます。

現在、少年の視力は治療で回復できないところまで悪化しており、失明状態は一生涯続くと診断されています。

報告の詳細は、9月2日付けで「journal Annals of Internal Medicine」に掲載されました。

偏食で生涯失明の危険性

診察を担当したブリストル眼科病院のドゥニーズ・アタン医師によると、少年の症状は「栄養視神経障害(nutritional optic neuropathy)」と呼ばれる病気とのことです。

これは極端に偏った食生活を続けることで栄養失調にかかり、その影響で眼球の視神経に障害が起こる症例を言います。アメリカ・アイオワ大学の調査では、28歳の男性が1.9リットルウォッカを毎日飲み続けて視力障害に陥っているというケースも確認されています。

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早期発見することができれば回復も可能ですが、少年のように発見が遅れ、正しい治療をせずに放置しておくと生涯目が見えない状態が続きます。少年の食生活は、小学生当時からプリングルスや揚げ物白パン、スライスハム、ソーセージだけとなっていました。

アタン医師は「発展途上国ならまだしも先進国で、純粋に栄養失調だけで視力障害が起こるケースは極めて珍しい」と話します。

二度と戻らない光

少年が初めて眼科を受診したのは14歳のとき。その時点で、食生活の改善と治療を行なっていれば、現在のように手遅れの状態をなることはなかったでしょう。

症状が悪化するのを放置した少年は、17歳の時点でビタミンB12ビタミンDの大幅な欠乏、貧血症、骨密度の低下、視神経障害、さらに難聴まで患う事態となってしまったのです。

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栄養失調は、意外と見た目で判断できない病気でもあり、少年のボディマス指数(BMI)・身長・体重は、他の10代の少年とまったく変わりませんでした。そのため、体調の悪化を防ぐには自己管理と自らの意思で病院に行くことが必要となります。

現在、少年は視野の中心部をほとんど失い、周囲だけがかすかに見える状態です。ビタミン治療でかろうじて色の識別能力だけ回復しましたが、全体的な視力の回復はすでに不可能だと言います。

日頃の食生活に思い当たる節のある方は注意したいところです。

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reference: ctvnewslivescience / written by くらのすけ
小学生の頃からジャンクフードだけを食べ続けた少年が「失明状態」に陥る