屈辱の大差負け、1次リーグ無念の3連敗…元日本代表の名手に聞く

 バスケットボールワールドカップ(W杯・DAZNで生配信)で1次リーグ敗退が決定している世界ランク48位の日本は5日、同1位・米国との1次リーグ最終戦(上海・東方体育中心)を行い、45-98で完敗。3戦全敗で順位決定戦に回ることになった。エースの八村塁(ウィザーズ)が代表自己最少の4得点に封じられ、力の差をまざまざと見せつけられた日本。現実を突きつけられた格好となったが、この試合で日本が得たものはあったのだろうか。「THE ANSWER」は元日本代表・渡邉拓馬氏に聞いた。

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 この点差が、今の実力の差だと思います。全てにおいて差がありました。走る事にしても、ドリブルにしても、ディフェンスにしても、シュートの確率にしてもそう。米国のディフェンスも、ただプレッシャーをかけるのではなくて、オフェンスの嫌なところに手を出してくる。オフェンスからしたらどうしたら良いかわからないような、プレッシャーのかけかたがありました。

 それをチームとして、当たり前のようにできるのが世界のレベルトルコチェコの2チームとは全然違いました。日本は個々のプレーで打開するしかなく、試合を通してリズムが良くなる気配がなかった。自分たちのプレーにもっていけるような時間はほとんどなかったかもしれません。試合が終わった後の八村選手や、渡邊選手の表情やコメントを聞いても、屈辱感はあったと思います。

 Bリーグプレーしている選手にとっては、欧州の選手とは違う圧力、経験したことのない圧力を感じたのではないでしょうか。それを今後、どう伝えていくか、難しいと思います……。実際にコートに立った人にしかわからない。それを多くの人が体験しなくてはいけない。バスケにおける課題です。

 八村選手に対しては当然マークも厳しくやりづらさはあったと思います。NBA選手が1on1に強いということを改めて感じたでしょう。これまでの試合では相手とのマッチアップでは彼の強さが上でしたが、今回は抜けなかった。接触で優位に立てなかったシーンが多かった。1対1で彼がリズムを作って、オープンになることがほとんどありませんでした。ジャンプシュートにしてもタフショットばかり。力みもあったと思います。

大敗の中で光は馬場「自分の力を出せば、NBAの目にも留まる」

 だからと言って彼がNBAで通用しないというわけではありません。チームとしてどう機能するかを考えながらプレーする選手。もっと個人で勝負にいっていれば、また中身は違ったと思います。見ている人からすると心配になったかもしれませんが、実際にサマーリーグであれだけ結果を出せているわけですから。

 大きな収穫という部分では馬場選手です。自分の力を出せば、NBAの目にも留まるのかなと。彼のスピードは通用するんだと、確信に変わりました。向かっていく気持ちがすごく強い。裏を返せば、あれが最低ラインだと思います。相手がNBA選手でも動じず、果敢に向かっていくタフさが必要です。彼もサマーリーグに行って、改めて感じたのかもしれません。あの経験が根底にあります。だからBリーグの選手もそういうメンタルが必要です。

 ほかの選手に関しては、シュートを打たされていたようなイメージです。切り込んでいくようないいプレーもあったのですが、感じたことのないプレッシャーがあって、どうしても打たされてしまう。見ている人以上に、コート上では相手が大きく見える。パスやシュートコースが見えないのです。いい経験ができたと思いますが、これで終わらせてはいけません。

 この試合を今後にどう生かしていくのか。実際にプレーした選手は感じたものを忘れずに続けていくことですが、見ている方、特に指導者が感じることも大きかったと思います。小さいことから、米国戦のコートで感じたものに慣れさせるような状況を作る必要があります。日本のミニバスから、アンダー世代から、高校から――。どう変えていくのか。「全然だめじゃないか」と思うのではなくて、なぜBリーグや欧州のチーム相手には普通にパス、ドリブルが出来て、米国には出来ないのか、それを考える必要があります。(THE ANSWER編集部)

米国との1次リーグ最終戦に出場した八村塁【写真:Getty Images】