トロント映画祭初日、シャイア・ラブーフの自伝的映画『Honey Boy』が、メディアと業界関係者に向けて上映された。今作はラブーフが12歳だった頃に焦点を当てたもの。ラブーフは、自ら脚本を書き下ろしたほか、父親役で出演もしている。タイトルの“honey boy”は、父が彼に向かって時々使った呼び名だ。

映画は、20代の俳優オーティスが、カウンセラーの指導で過去を見つめ直す形で展開する。彼の問題行動の根本にあるのは、子供時代に受けた父親からの虐待だ。両親が破局した後、オーティスは父親に引き取られ、安モーテルで生活をしていた。生活費を稼ぐのは子役として活躍するオーティス。父は、彼にタバコマリファナを教えることはするが、どこかに連れて行ってくれることもなく、まともな愛情表現すらしてくれない。父もまた、不幸な子供時代を送り、それを引きずっているのである。

大人になってからのオーティスを演じるのは、今最も注目の若手俳優ルーカス・ヘッジズ。子供時代を演じるのは、『クワイエット・プレイス』『ワンダー 君は太陽』のノア・ジュプだ。

子役としてキャリアを積み、スピルバーグに見出されて『トランスフォーマー』などに主演したラブーフは、その頃から、自分がこの道に入ったのは「家が本当に貧しく、家計を支えるためだった」と語っていた。その後もオリバー・ストーンなど大物監督から演技力を評価されるものの、近年はプライベートでのトラブルが続出。警察沙汰になった中には、アルコール依存症と思われる事件もあった。

そんな彼がすべてを吐き出したと思える今作は、見る人の心に直球で投げかけてくる。演技面ではもちろん、脚本家としても、彼のキャリアが新たなステップへと向かったことを確信させるものだ。この映画祭における今作の公式上映は10日(火)。アメリカでの劇場公開は11月で、日本公開も決まっている。

取材・文=猿渡由紀

『Honey Boy』