ベテランのモータースポーツファンなら「パリダカ」という言葉を耳にしたことがあるだろう。かつてはフランス・パリをスタートし、アフリカサハラ砂漠を走破しながらセネガルの首都ダカールを目指した冒険型のラリーイベントのことだ。日本人では1997年に篠塚建次郎、2002、03年の増岡浩がいずれも三菱自動車チームで総合優勝を果たした。

ダカールラリーに挑戦するアロンソ(右)(トヨタガズーレーシング提供)

もはやアフリカが舞台ではない「パリダカ」、今はどこで?


 この大会は今も続けられている。が、アフリカを舞台にしていない。では、どこで開催されているか。2009年から今年1月の大会まで10年間は、南米大陸で行われ、来年の次回大会から中東のサウジアラビアに移る。もはたパリダカではないのだ。

アフリカを離れた理由は治安が悪化したためだった。現地の武装集団から何度もテロ予告を受け、1998年には銃弾を受けた競技車両もあった。選手やチームスタッフらの生命をこれ以上、保証できないとして引っ越しを余儀なくされた。南米ではアルゼンチンを中心にチリ、ペルーボリビアパラグアイなどが競技ルートとして選ばれ、活況を呈したが、支援してきた国々が徐々に手を引き、今年の大会はペルー1カ国での開催に。尻つぼみになっていた。

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F1チャンピオン経験者が初挑戦

アロンソは9月上旬、ポーランドトヨタ・ハイラックスに乗って猛特訓した(トヨタガズーレーシング提供)

 そんなダカールラリーが注目だ。F1元王者のフェルナンド・アロンソ(38)=スペイン=がトヨタ系チームから出場することが内定した。8月から実走トレーニングを積んでおり、9月中旬には南アフリカの大会に賞典外でエントリーする。

元F1ドライバーのダカールラリー参戦はジャッキー・イクス(ベルギー)、ジャン―ルイ・シュレッサーフランス)、片山右京らの例はある。が、F1チャンピオン経験者の挑戦は初だ。

トヨタとの結び付きは、仏ルマン24時間レースを中心とする世界耐久選手権(WEC)にトヨタのワークスチーム「トヨタガズーレーシング」の一員として請われたことが始まり。6月のルマンでは見事に連覇を決め、シリーズタイトルを獲得したことで、WECチームからひとまず離れることになったが、オフロードの世界にスイッチしてトヨタでの活動を継続していた。

トヨタガズーレーシングのファミリーの一員として、これまでとは全く違うモータースポーツに身を投じることができて本当に幸せだ。ハイラックスは運転していて本当に楽しいし、これまで行ってきたテストを満喫しているよ」。所属先となる「トヨタガズーレーシング南アフリカ」は南米最後の大会となった前回大会を制し、トヨタ車に初の総合優勝をもたらした有力チーム。

アロンソはF1モナコGP、ルマンで優勝しており、米インディ500で勝てば、グラハム・ヒル(英国)の次ぐ2人目の世界3大レース制覇となる。お先にダカールで勝利すれば、ヒルもなし得なかった「世界4大モータースポーツ競技を制した男」になる可能性が出てくる。さらに箔(はく)が付くというわけだが、その実力やいかに。

[文/東京中日スポーツ・鶴田真也]

トーチュウF1エクスプレス(http://f1express.cnc.ne.jp/)

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アロンソがパリダカ参戦へ、F1王者経験者の挑戦は初