このほどイギリスの航空会社「イージージェット」のフライトが、パイロット不在によりキャンセルになりそうだったため、同便の男性乗客が操縦の資格があると名乗り出て、代わりに操縦桿を握ることとなった。『New York Post』『Metro』『Manchester Evening News』などが伝えている。

今月2日、英マンチェスター空港からスペインアリカンテ=エルチェ空港に向かうイージージェット旅客機の出発が2時間ほど遅れていた。この便に乗務する予定のパイロットがフランスでの航空管制システムの障害により、同空港への到着が遅れていたことが原因だった。

このままパイロットの到着が遅れた場合、その便は欠航される可能性もあった。当然のことながら乗客の誰もが欠航を望んでいない。その中で乗客達の救世主になったのが、旅行でスペインに向かうため家族と一緒に同便を利用するマイケルブラッドリーさん(Michael Bradley)だった。

ブラッドリーさんはイージージェットに電話をかけ、このように告げた。

「便の出発が遅れているので空港で立ち往生しているんだけど、もしかしてと思って念のためにライセンスカードを持ってきたんだ。それでこの飛行機だが、私が操縦して構わないだろうか? 私は家族と一緒にどうしてもバケーションに行きたい。もしOKなら、私のほうはいつでも準備ができている。」

実はブラッドリーさん、イージージェットの現役パイロットで休暇を使って家族旅行に向かう最中だった。自宅を出る際にフライトの遅れを既に知っていた彼は、念のためライセンスカードとパイロット用の靴を履いてきていた。

そして乗務予定のパイロットの代わりに、自分が操縦することを申し出たのだった。ブラッドリーさんが電話すると「確認するので待って欲しい」とのことで一度電話が切られたが、その38秒後に折り返しかかってきて「お願いです! 本当にお願いです! コックピットに入ってアリカンテまで飛行機を飛ばしてもらえますか」と懇願された。

これにより同便の乗客は無事、アリカンテへ向かうことができた。機内では乗務員からパイロットとしてブラッドリーさんのことが案内され、乗客からは拍手が沸き起こった。この時の機内アナウンスをある乗客が動画撮影しFacebookに投稿したところ、多くの人がブラッドリーさんを称賛し、中にはヒーローと呼ぶ人もいた。

なおイージージェットのスポークスマンから、休暇中にもかかわらず飛行機を無事アリカンテまで運航してくれたブラッドリーさんへ感謝を述べるとともに「彼はライセンスIDカードを所持していたため、規則に則った状態で飛行機を操縦しています。安全は私達にとっても常に最優先事項です」と声明があり、法的に許可されていた運航だったことを強調している。

画像は『Manchester Evening News 2019年9月4日付「Family’s easyJet holiday flight is delayed – so dad flies the plane to Spain himself」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

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