犬(Tapsiful/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

かわいいからと犬を飼っておきながら、「拾うのも大変」とウンチを放置して去る不心得な飼い主がたまにいる。そこで世界各地で導入が進められているのが、犬を飼う者に課税される「犬税」だ。

■犬を飼うなら税負担を

マドリードの北西に位置し、ポルトガルとの国境にも近いスペインのカスティーリャ・イ・レオン州サモラ県。ここのサモラという町では、もうすぐ犬を飼うこと自体が課税の対象となるそうだ。

税額は一匹につき年間9ユーロ(日本円にして1,000円強)。サモラではその税収入について、1年につき日本円にして約590~1,060万円になると見込んでおり、犬が散歩する歩道の清掃や排泄物の浄化処理の費用などに充てたいとしている。

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■「ウンチ袋無料」の特典も

子供の数より飼い犬の数のほうが多いと皮肉られるほど、町を歩けば犬だらけというサモラ。それだけに「犬の飼い主は犬の排泄物の浄化処理にかかわる費用を負担するべき」といった意見が以前から出ていた。

「税額は安く抑えた」としているサモラだが、それでも少数の市民からは不満の声が出ている。犬の散歩道のエリア拡大を図り、飼い主が自由に使えるウンチ袋を随所に配備するなど、市も飼い主たちの理解を得る努力を続けていくもようだ。

■犬税の導入が進む欧州

多くの人が犬を愛し、飼うことを楽しんでいるヨーロッパでは、ドイツオーストリアスイスチェコフィンランドなどで「犬税」がすでに導入されている。

最も税金が高いのはオランダのハーグ(デン・ハーグ)市。ここでは飼い主が1匹につき年間1万5,000円近い犬税を収めているそうだ。

また「犬税」にはもう一つ大きな狙いがある。それは飼い主に求められる責任感をあらためて自覚させること。「かわいいから」と衝動的かつ短絡的に犬を飼おうという者が、「でも税金がかかるなら」と思いとどまることが期待されているという。

■アジアでもその勢いが…

アジアでこうした動きを見せているのが中国だ。犬を飼い始めた時とその後1年ごとに「登録料」を納めるもので、たとえば北京市は初年度登録料を日本円にして約1万5,000円と定めており、2年目以降も7,500円ほどを支払って更新。

さらに驚くのが広東省広州市だ。ここでは犬を飼うと初年度登録料として約15万円を、2年目以降の更新時には約9万円を支払うという。かつては日本にもあった「犬税」。ひょっとしたら再導入ということもあるのだろうか。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

進む「犬税」の導入 歩道の清掃や排泄物の浄化処理費用に充当