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災害時、クルマへの避難は政府公認

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

台風15号首都圏を直撃して2日以上が経っているが、いまだに千葉県の一部では停電が続いている場所も少なくない。成田空港も「陸の孤島」状態が続いている。

地震や大雨、洪水、台風などによる自然災害が発生した際には、市町村があらかじめ指定した避難所に滞在することが原則。

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災害時、クルマへの避難は政府公認。

避難所で、水や食料、寝具など必要なサービスを受けることができる。

しかし、2016年熊本地震ではプライバシー確保などの理由でクルマに避難したひとも多かった。

今回も連日30℃以上の残暑厳しい中、暑さから避難するためクルマで過ごしているひとも少なくない。

車中泊避難」は、熊本地震以前は災害対策基本法においても「想定外」とされていたよう。

しかし、2016年6月の国会答弁以降は「やむを得ない理由により避難所に滞在することができない被災者」として車中泊避難も認められている。(災害用語では「車中避難者」)

指定の避難所に避難した場合と同じく、「必要な生活関連物資の配布、保健医サービスの提供、情報の提供その他、車中避難者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと」とされている。

クルマへの避難はプライバシーを確保できて、エアコンによって暑さをしのぐこともでき、携帯電話スマホタブレットなどの充電も可能。

最低限のライフラインは確保できていると言えるが、もちろん注意すべき点はある。

クルマへの避難でできること:充電編

筆者も東日本大震災の時は地震発生後から、横浜市内の自宅で8時間近い停電を経験した。

携帯電話は時々しか通じなかったが、照明と暖房が確保できてパソコンや携帯を充電できただけでも非常にありがたかった。

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車内で電子機器を充電することもできる。

クルマで充電するために必要なものをまとめてみた。

シガーソケットを使う

シガーソケットを経由してパソコンなどを使う場合にはDC12V→AC100Vに変換するインバータ機器が必要となる。

通販サイトでは5000円以下で入手可能で120300Wの使用が可能だ。USBポートが付属しているタイプなら、スマホタブレットの充電もそれ1つで可能となる。

また、シガーソケットに差して使うUSB単体の充電器もある。充電スピードを考えるなら2A以上のチャージャーを選ぶこと。

クルマに装備されたAC電源を使う

現在ではハイブリッド車以外にもAC電源を装備するクルマが増えている。

マツダCX8ではAC電源ソケット2か所が全車標準装備で120Wまでの家電製品を使うことができる。

アルファードなどのハイブリッドモデルでは電子レンジドライヤーなども使用できる1500WまでOK。

クルマに装備されたUSBポートを使う

近年のクルマにはほぼ全車にUSBポートが装備されている。

ただし、古いものだと出力が0.5A程度しかなく(本来の目的はUSBメモリからの音楽転送用)バッテリーが切れることはないがスマホを使いながらの充電はむずかしい。

ここ2〜3年に出た新車の中には、充電を想定して1.0A以上のポートが装備されることが多い模様。

クルマへの避難でできること:暑さ対策編

暑い時期の停電は家庭のエアコンが使用できなくなり、涼を求めて車内に避難するひとも多いだろう。

外気温が35℃近い環境下でエアコンがないと命の危険もある。

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エアコンを効率よく効かせるコツは、日の当たらないところにクルマをおくこと。

エンジンをかけてエアコンをつけっぱなしにして車内で過ごす場合の注意点をまとめてみた。

ガソリンを入れておくことが大前提

車内エアコンはエンジンをかけて使うことが前提となるが、長時間の使用ではガソリンが意外と早くなくなるので注意が必要だ。

台風で2日間停電していた横須賀市在住一家は大型犬3頭と共にキャンピングカーに避難した。

グランドハイエース(3.4Lガソリンエンジン)がベースのキャンピングカーですが、エアコンを使うためエンジンをかけっぱなしにしておくと、1日で60Lのタンクが空っぽになりました」とのこと。

走行しなくても猛暑で1日中エアコンを使うとガソリンは予想以上に減ってしまうのだ。

エアコンの効きを良くするためには?

クルマは走行していないとエアコンの効きが悪くなる。

カーエアコンの冷却システムは走行風を利用しているためで、渋滞などで効きが悪くなるのも同様の理由となる。

効率よく冷やすためには日が当たらない場所にクルマを移動させるか、窓をアルミロールシートなどで極力すき間なく覆って日射をシャットアウトするのが効果的。

フロントガラスに使うサンシェードを前と後ろの窓に使うのも良い。手持ちのモノがなくすぐには買えない場合は、家にある大き目の布やバスタオルやシーツを使うのも一案だ。

車中避難 命にかかわる注意点はある?

千葉県在住のHさん宅はいまだ停電中だが、車内避難はしていないという。

「いざという場合に都内の親戚宅へ移動するため3分の1残っているガソリンセーブしています」

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室内でのアイドリングは注意が必要。

「自宅周辺のガソリンスタンドは給油するのに4時間待ち。半ばパニック状態のようです……」

ガソリンの給油自体はまだ困難な場所が千葉県内にはある。Hさんの選択は賢明と言えるだろう。

そして注意すべきは、クルマがガレージなどの室内にある場合だ。

ガレージのクルマの中でエンジンをかけっぱなしにする場合は定期的に換気をすることが最重要だ。

実際、2005年に札幌で悲惨な事故が起こった。ガレージ内でエンジンをかけたまま車内にいて、ガレージに充満した一酸化炭素が車内に侵入……車内にいた2名が亡くなり、さらにガレージの上の住人も死亡という痛ましい事故である。

この時は「暖を取るため」エンジンをかけていたようだが、「冷房を使うため」にエンジンをかける場合も同様。

閉ざされた空間でエンジンを掛けることは危険な行為ゆえ、換気を絶対に忘れないようにしてほしい。

また、長時間車内にいて発生する恐れがあるのが「エコノミークラス症候群」(静脈血栓塞栓症)である。

2016年4月熊本地震の時には震災関連死約200名のうち60名が車中泊をしていたことがわかっている。

血栓を予防するためには3〜4時間に一度は外に出て体を動かすか、足首を回すだけでも良い。また、水分補給も重要だ。

熊本地震では「トイレに行くのが大変」と、水分を控えていた車中避難の高齢者がエコノミークラス症候群で亡くなるケースが多かった。


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