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 カスペルスキー2019年9月11日パートナーエコシステム強化を目的とした新たなパートナープログラムKaspersky United」を発表した。10月より専用ポータルサイトを開設してパートナー企業の登録受付を開始し、来年(2020年)1月からプログラムの本格運用をスタートする。

 同日開催された記者説明会では、APAC地域担当幹部のステファン・ノーマイヤ氏や日本法人社長の藤岡健氏らが出席し、同プログラムの内容紹介とあわせて、グローバルでの方向性の変化、今年度上半期の業績振り返りと下半期のビジネス戦略などを語った。

特定ソリューションの販売強化、日本独自のプロモーションも含むパートナー支援策

 新しいKaspersky Unitedパートナープログラムについては、日本法人 パートナー営業本部 本部長の佐藤輝幸氏が詳細な説明を行った。このプログラムはカスペルスキーがグローバルで展開するものだが、具体的な施策の中には日本独自で展開を計画するものもあるという。

 Kaspersky Unitedでは、ソフトウェア販売代理店からシステムインテグレーター(SIer)、マネージドセキュリティサービスプロバイダーMSSP)などのサービスプロバイダー(xSP)など多様なパートナーを対象とする。佐藤氏は、カスペルスキーでは法人市場向け営業体制を強化しているが、法人事業はすべてパートナー経由であるため、プログラムの刷新によってパートナーエコシステム強化を図ることにしたと背景を説明する。

 具体的なプログラムの内容は、カスペルスキー製品の取扱い金額や認定資格者数に応じた4段階のステータスレベルによる「基本プログラム」と、それぞれのパートナーが持つ強みを生かせるように4つの特定領域におけるソリューション/サービスサポートする「スペシャライゼーションプログラム」で構成される。

 まず基本プログラムにおいては、パートナーステータスレベルに応じてリベートやマーケティング支援、スペシャルプロジェクトライスパートナー社内向けライセンス提供といった施策を用意している。たとえばスペシャルプロジェクトライスでは、長期プロジェクトでカスペルスキー製品を段階的に導入していく場合でも、特例としてプロジェクトの完了まで一定価格で提供するという。

 基本プログラムとは独立して、パートナーステータスレベルを問わずに提供するのがスペシャライゼーションプログラムだ。4つのソリューション/サービスを対象としてパートナーを認定し、設定した目標と実績に応じたリベートを提供する。佐藤氏はその一例として、仮想環境の構築に強みを持つSIパートナーが「Hybrid Cloud Security」の認定を受け、「Kaspersky Hybrid Cloud Security(KHCS)」を組み込んだソリューション顧客に提供する、といったケースが想定されると説明した。

 なお藤岡氏によると、スペシャライゼーションプログラムの対象となるソリューション/サービススタート時点では4つだが、今後、グローバルでその対象を拡大していく可能性は高いという。

 このほかにも、技術者トレーニング提供やセールス資料の共有、Kaspersky Unitedポータルサイト上での情報提供、パートナー従業員の個人デバイス向けカスペルスキー製品の提供、といった幅広い支援策も用意している。

 また日本独自で展開するプロモーションキャンペーンの第一弾として、現在注力する法人向け製品の価格改定を発表している。「Kaspersky Endpoint Security for Business Advanced(KESB Advanced)」および「Kaspersky Vulnerability and Patch Management(KVPM)」について、最大で55%オフとなる価格改定を行っている。なお本来の新価格適用は来年1月からだが、キャンペーンとして10月から新価格を適用する。

 両製品に注力している理由について佐藤氏は、従来よりも短いサイクルでの実施が求められるWindows 10 Updateの管理、またサードパーティアプリケーション脆弱性管理を行うために、WSUSWindows Server Update Services)や資産管理ツールの導入を検討する企業が増えていることが背景にあると説明。こうしたツールを追加導入するのではなく、KESB SelectAdvancedにアップグレードしたり既存環境にKVPMを導入したりすることで、エンドポイントセキュリティと統合された単一コンソールでの管理が可能になると説明した。

 冒頭で触れたとおり、Kaspersky Unitedは今年10月から専用ポータルサイトを開設してパートナーの登録受付を開始する。藤岡氏は、現状の主要パートナーはおよそ450社あるが、Kaspersky Unitedの提供を通じて「1000社の純増、現状プラス1000社を目標とする」と述べている。

APAC初の“透明性センター”開設、日本では脅威インテリジェンス事業が大きな伸び

 記者説明会では、グローバルのカスペルスキーにおける直近の動きや方向性の変化、日本市場における上半期の業績、下半期以降の重点施策も紹介された。

 まずノーマイヤ氏は、今年6月に社名をKaspersky Labから「Kaspersky」にあらため、ブランドロゴも刷新したことを紹介した。これには20年以上続いてきたブランドを刷新するというだけでなく企業ミッションの変化、「よりデジタルビジネスへの軸足の移動」という意味あいも込められているという。特にコンシューマー市場においては、セキュリティ製品/サービスの提供形態が従来型のパッケージソフトウェアだけではなくなっており、それを指して「デジタルウェイデジタルなやり方)」を推進すると語る。

 また今年8月にはAPACで初めてとなる「Transparency Center」をマレーシアサイバージャヤに開設している。顧客によるソースコードレビューなどを受け入れ、セキュリティ製品の透明性担保を図るこの施設は2018年11月スイスチューリッヒからスタートし、今年5月にはスペイン・マドリッドにも開設されている。それに続く3拠点目がこのマレーシアだ。なお日本や中国など、自国内でのTransparency Center設置のニーズが強い市場があることも理解しており、将来的には検討していく方針を示した。

 ノーマイヤ氏は、カスペルスキーにおける日本市場の位置付けについて「現在APACにおいて最も速く成長しており、大きなビジネスとなりつつある市場」だと説明。グローバル収益の“トップ10内”という現在の位置付けから“トップ5内”に押し上げることを目標に掲げ、投資と事業変革を続けると述べた。

 また藤岡氏は、今年2月の就任会見で説明した「2021年度の売上高を、2018年比で2.5倍に成長させる」目標をあらためて示したうえで、今年度上半期(2019年1~6月期)のビジネス実績を紹介した。

 まずコンシューマー事業と法人事業を総合した全体の売上は、前年同期比で17%の伸びとなった。コンシューマー事業が23%、法人事業が14%、それぞれ成長している。

 そのうち法人事業では、特にエンタープライズ向けビジネスが48%の大きな伸びを示している。その内訳では、エンドポイントセキュリティ製品の31%増よりも、官公庁やSOCへの脅威インテリジェンスの提供サービストレーニングサービスといった非エンドポイント製品が101%増と、2倍の規模に拡大したという。

 すでにスタートしている下半期(2019年7~12月期)の重点施策については、顧客企業やパートナーの支援体制強化、脅威インテリジェンスサービスの拡販、そしてKaspersky Unitedプログラムの発表という3つを紹介した。

 「法人事業については、実は4月から組織体制を変更している。たとえば脅威インテリジェンスなどのサービス提供については、顧客と綿密に詰める必要があるので、ハイタッチセールス部隊やコンサルティングのできるエンジニアなどを人員増強している」(藤岡氏)

 今回のKaspersky Unitedについて藤岡氏は、「かなり細かく作られている」パートナープログラムであり、日本独自のプロモーションキャンペーンも積極的に展開することで、販売代理店などパートナービジネス拡大をサポートしていきたいと抱負を述べた。

カスペルスキーが新パートナープログラム「Kaspersky United」発表