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欧州では82%が企業による購入

translationKenji Nakajima(中嶋健治)

3代目スコダ・スパーブがフェイスリフトを受けた。スパーブは優れた実用性と快適性を備え、欧州では空港と都市を結ぶタクシー・ドライバーや営業部門の幹部などからの支持は高い。一般からの購入は少ないようにも思われるが実際は悪くないビジネスで、2018年の欧州での販売台数のうち、社用車など企業による購入の割合が82%にも及んでいるという。

モデル中期となる2019年に施されたフェイスリフトも、ビジネスユーザーをターゲットにしたものだといえそうだ。内容は一般的なもので、エクステリアデザインで小さな変更を受けている。フロントバンパーはリフレッシュされ、新しいフォグライトやデイライトを獲得。全長も8mm伸ばされている。

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スコダ・スパーブ2.0 TDIエボ

フロントグリルの形状も変更され、クロムメッキの割合が増えた。リアハッチ部分には、丸いスコダのエンブレムにかわって、SKODAとレタリングが並べられている。インテリアも同様にわずかに手直しされ、クロムメッキ・パーツが追加されたほかは、デジタル・インスツルメントを獲得したのが大きな変更点となる。

フェイスリフトに合わせてエンジンのラインナップも刷新されている。新しく150psの1.5Lガソリンターボと、150psの2.0ディーゼルターボが追加。2020年までにはスコダとしては初めて電化技術の導入となるプラグインハイブリッドモデルのスパーブiVも登場する予定だ。英国には入ってこないのだが、オフロード・クロスオーバーとなるスパーブ・スカウトも登場する。とてもスマートなスタイリングで、英国への導入がないのが残念。

上質で静かなディーゼルエンジン

モデル・グレードは6段階設定され、価格帯は2万4655ポンド(320万円)から4万695ポンド(529万円)。最もパワフルな2.0Lガソリンとディーゼルエンジンには、4輪駆動も用意される。スパーブを構成するのはフォルクスワーゲン・グループが開発したMQBプラットフォーム。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式で、リアがマルチリンク式となる。

今回試乗したのは2.0LディーゼルのTDI。まったく新しいパワーユニットで、英国では一番人気となると予想されている。フォルクスワーゲン・グループによる最新のディーゼルエンジン「エボ」がスコダに搭載されるのは初めて。最高出力は150psで、最大トルクは36.7kg-m。7速デュアルクラッチATを介して前輪を駆動する。

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スコダ・スパーブ2.0 TDIエボ

走りはスポーティとはいえず、エキサイティングさはない。だがスパーブの性格にピッタリの、穏やかなドライビングが味わえる。エンジンの洗練性は素晴らしく、スムーズで静かにクルマを進ませる。一定速度でのクルージング時には、車内にはほとんどエンジン音は届かず、フルスロットルで加速しているさなかでも、少し遠くで音が鳴っているように感じられるほど。ガソリンエンジンと間違えることはないにしろ、ディーゼルとしては最上位に入ってくる仕上がりだ。

パフォーマンスも不満はなく、2000rpmも回せばエンジンは力強くなるから、パワー不足を感じることはほとんどない。反面、DSGは急加速時にキックダウンを少し嫌う傾向がある。アクセルを深く踏み込んで、さらに力強い加速を得たい時でも、変速しない場面が何度か見られた。些細なこととはいえ、いざという時に欲しい加速度が得られないと、ヤキモキしてしまうかもしれない。経済性を最優先させたセッティングなのだろうか。

長距離出張でもスコダ・スパーブなら

エンジンと同様に、乗り心地やハンドリングも長距離をクルージングに最適化されている。波打った路面でもスムーズにいなし、紳士的にボディの動きをコントロールする仕立ては、間違いなく快適。必要以上にソフトな設定というわけでもなく、高速コーナーでも控えめなボディロールを保ち、滑らかに抜けていく。だがフロントタイヤへ掛かる荷重は小さくなく、コーナーでペースを上げていくと、盛大なスキール音を聞く羽目になるけれど。

ドライビングモードをスポーツに切り替え、アダプティダンパーが引き締まると、ボディの動きは若干だが引き締まる。それでも、運転に熱中するようなタイプのクルマではないことは、変化の度合いからしても明らか。

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スコダ・スパーブ2.0 TDIエボ

スコダとしては、社用車として高い人気を獲得していることに満足しているようだが、ファミリーカーとしての支持もある。SE-Lと呼ばれるグレードでは、インテリアは上質で装備も充実。後部座席の空間も広く、子供が長時間座っていても、具合が悪くなったりはしないだろう。身重の高い大人でも問題なく座れる。ラゲッジスペースも大きく、リフトバックで625L、エステートで660Lの容量がある。

エンスージャストが喜ぶたぐいのクルマではないにしろ、その優れた機能性は充分に評価できる。快適で洗練され、実用性も高く長距離移動も難なくこなせる、良質なクルマだ。仕事で600kmの距離を運転すると聞いて、あてがわれたクルマがスコダ・スパーブなら、落ち込むことなく引き受けられるだろう。

スコダ・スパーブ2.0 TDIエボ SE-L DSG

価格:3万ポンド(390万円・予想)
全長:4856mm
全幅:1864mm
全高:1477mm
最高速度:212km/h
0-100km/h加速:9.2秒
燃費:−
CO2排出量:−
乾燥重量:1505kg(予想)
パワートレイン:直列4気筒1968ccターボ
使用燃料:軽油
最高出力:150ps
最大トルク:36.7kg-m
ギアボックス:7速ツインクラッチ・オートマティック


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