スズメバチ(miksov/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

出雲市の中学校の校外学習で、生徒がふざけた結果多数が救急搬送される事態に陥った。しらべぇ取材班は、原因を探るべく出雲市消防本部と出雲市立南中学校を直撃。

■1名がアナフィラキシーの疑い

出雲市消防本部によると、午前10時59分頃、出雲市立南中学校の教師から「12歳の女子生徒がハチに刺されて呼吸困難になっている」という119番通報が入った。消防車両7台(うち救急車5台)が、現場である出雲市にある渓谷「立久恵峡」に駆けつけた。

生徒33名のうち、11名が市内の病院に搬送され、1名が重症、10名が軽症だった。このうち女子生徒1名がハチに刺されたことで急激なアレルギー反応を起こす「アナフィラキシーショック」とみられる症状を呈していたという。

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■吊り橋を生徒が揺らしたところ…

しらべぇ編集部が、南中学校教頭を取材したところ、この日は総合学習の一環で、午前8時50分にバス1台で1年生33人が学校から車で10分ほどのところにある立久恵峡に向けて出発したという。

遊歩道に渡る吊り橋を、全員の生徒が渡り切る前に、生徒がふざけて揺らしたところ、スズメバチが突然出て来たという。

生徒たちが走って逃げたが、次々にハチに刺された。そして教師3名が同伴していたが、吊り橋を揺らさないように指導は行っていなかったという。重症だった生徒は、病院で点滴を受けた後、自宅に帰宅したとのこと。

■アナフィラキシーショックの恐怖

アナフィラキシーとは、発症後、極めて短い時間のうちに全身性にアレルギー症状が出る反応のこと。そして、複数の臓器(皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、循環器など)に症状があらわれる。

原因は食べ物がもっとも多く、続いて蜂などの昆虫、薬物となっている。スズメバチアシナガバチなどの蜂に刺されによるアナフィラキシーショックで年間20人ほどが亡くなっている。

このアナフィラキシーによって、血圧の低下や意識障害などを引き起こし、場合によっては生命を脅かす危険な状態になることもある。この生命に危険な状態をアナフィラキシーショックという。

厚生労働省の人口動態統計の集計によると、日本におけるアナフィラキシーによる年間死亡者数は2017年に50名にのぼった。

■原因は、食べ物、蜂毒、薬物など

アナフィラキシーの対処法としては、食物の場合は、口の中に残っていれば、すぐに出して水でゆすぐ。原因となる食物が体に付着していたり、手でさわったりした場合は、水で洗い流す。

蜂に刺されて毒針が残っている場合には、あまり無理をして取り除いたり、毒を出すためにつまんだりすると逆に、毒そのものや毒針、および細菌を体内に押し込んでしまう危険性がある。

このような場合、直ちに最寄りの医療機関を受診し、医師による適切な処置・治療を受けるすることが大事。

今回の中学校の事故は、一歩間違えば大惨事になっていた可能性がある。吊り橋を渡る前の指導や校外に出たときの注意点について、出発する前に充分な指導を行っておくべきだったろう。

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(文/しらべぇ編集部・おのっち

校外学習でスズメバチに刺されて11名が救急搬送 「ふざけて吊り橋を揺らしたら…」