さまざまな健康食品のブームが巻き起こる中、安定して我々日本人が愛し続けている発酵食品「納豆」。皆さんはどのように食しているだろうか。以前「教えて!goo ウォッチ」で公開した「プロが伝授!『納豆』に入れておいしいもの、オススメトッピングを紹介!!」という記事では、納豆にあうさまざまトッピングを紹介したが、食べ方に地域差があることを発見した。そこで今回は、日本各地で納豆がどのような食べ方をされているのか、納豆の専門家、石井泰二さんに話を聞いてみた。

■納豆の食べ方(東北編)

納豆の食べ方は、地域によってどんな特徴や違いがあるのだろうか。まずは、東北からだ。

「例えば山形県村上地方の『サバ缶、納豆、鰹節』で作るつけだれに、うどんを入れて食べる『ひっぱり』という食べ物があります。同じく山形県には、納豆とおみ漬けを混ぜて食べる『おみ漬け納豆』という食べ方もあります」(石井さん)

おみ漬けは、青菜を刻んで他の野菜と漬けたもの。同じ山形でも、地域によりさまざまな食べ方があるのだ。

「納豆王国で、餃子王国でもある福島では、『餃子』に入れる食べ方があります。また、『天ぷら』に入れる食べ方はよく見かけますが、秋田県にはそれに、しそ、ネギ、胡椒が効いた一品があり特徴的です」(石井さん)

餃子天ぷらなら、普段の食事にもあいそうだ。

「基本的に納豆は年の終わりに作られ、年越しに欠かせない行事食です。その面影は今なお各地に残っています。秋田県横手地方では、お正月はもちろんのこと、お盆や法事などでも納豆汁は欠かせません。そんな秋田の納豆汁の特徴は、山菜類に加えキノコや豆腐が入るところです。正月三が日は雑煮の代わりに納豆汁を食べ続けます。山形の納豆汁は芋がらが入るのが特徴で、初七日の七草の代わりに納豆汁を食べる伝統があるそうです」(石井さん)

納豆は今では年中食卓に並んでいるが、もともとは、うどんやお餅と共に食べて年越しを迎えるという縁起のよい食べ物でもあったのだ。

■納豆の食べ方(関西編)

次に関西での特徴ある食べ方を教えてもらった。

「京都は京北地方の『納豆餅』は、つきたての餅に大量の納豆を混ぜた巨大なロール状の餅です。こちらも正月の間食べ続ける風習があります。また、滋賀県坂本は、古くから延暦寺のお坊様に納豆ふるまいをするなど、古くからの納豆生産地でした。その地で幼少時代をすごした魯山人が食通の味として後に広めたのが納豆茶漬けです。海苔やあられなどトッピングし、わさびなどを添えていただくと風味よくいただけます。このバリエーションで、ひきわり納豆、梅干しの刻みをご飯にのせ、冷たいお茶でお茶漬けにすると、夏の逸品として楽しめますよ」(石井さん)

冷たいお茶をかけて食べているとは、魯山人もびっくりするのではないか。

■納豆の食べ方(九州編)

最後に九州での食べ方の例を教えてもらった。

熊本県北部から福岡県南部にかけて見られるのは『納豆雑煮』です。雑煮に入った餅を一度取り出して納豆とあえて食べるなど、熊本人の納豆への思いが並々ならないことが分かります。なお、所によっては、餅を取り出すのではなく雑煮の中に納豆を入れて食べます」(石井さん)

熊本は、納豆を包んだ扇形の餅であったり、肥後の干し納豆が有名だったりと言わずと知れた納豆王国のようだ。

こうして見てみると、今回教わった例だけでも全国各地で特徴的な食べ方が多くあることが分かった。はじめて知った食べ方もあったのではないか。

もし気になったものがあったなら、試してみてはいかがだろう。その地方に思いをはせながら、いつもと違う納豆を味わうのも楽しいに違いない。

●専門家プロフィール:石井泰二
国内外の納豆情報総合サイト「納豆wiki」を運営し、日本の地納豆や近代納豆成立について紹介している。

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)

納豆のプロに聞いた!日本国内地域別「納豆」の食べ方