「どうせなら、MFも獲っておけば良かったのにね」そんな風に私が思っていたのは金曜日、夏の移籍市場最終日にPSGに移ったケイロル・ナバスと交代でレアル・マドリーに加入。フランス代表のユーロ予選2試合をベンチ観戦した後、水曜からベルデベバス(バラハス空港の近く)での練習に参加していたGKアレオラのプレゼンに出席中のことでした。いえ、夏の早い段階でマルコス・ジョレンテをお隣さんに売却、続いて7月末にセバージョスのアーセナルへのレンタル移籍が決まったすぐ後にアセンシオがまさにその、インターナショナルチャンピオンズ・カップ(夏の親善大会)のアトレティコ戦でヒザの靭帯を断裂、今季はほぼ絶望となってしまうという間の悪さもあったはあったんですけどね。

GKに関してもこの夏はリュカジダンをラシン・サンタンデール(2部)へ、ルニンをバジャドリーへレンタルに出した後、最後の最後にナバスの移籍が決まり、さすがにRMカスティージャ所属の19歳、アルトゥーベに第2GKは荷が重いだろうと、クラブも思ったんでしょうね。代表デビューの前にW杯優勝を果たすという、珍しい経歴を持つ控えGKのベテラン、アエロラをレンタルすることに。それで土曜午後1時(日本時間午後8時)からのレバンテ戦、サンティアゴ・ベルナベウのベンチデビュー前にお披露目となったんですが、スタジアムも改修工事の一環で隣のショッピングセンターが取り壊しの真っ最中だったり、その日は雨降りとあって、ピッチポーズを取るには天候が悪すぎた?

結局、アレオラは記者会見しただけで、ナバスから引き継いだ背番号1のユニフォームを掲げての写真も撮らせてもらえず、まあ、「レンタルの場合はそういう慣わしだから」と言っていたマドリー番記者もいたんですけどね。やけにあっさり終わったんですが、今になって悔やまれるのはジダン監督がポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)獲得にこだわって、積極的に他のMFを獲らなかったこと。というのも元々、少数精鋭になっていたMF陣ではイスコがまだ負傷中。ハメス・ロドリゲスこそ、この2週間のparon(パロン/リーガの停止期間)で回復したものの、各国代表から戻るなり、モドリッチとバルベルデがケガしていることが発覚したから。

そう、クロアチア代表でユーロ予選のスロバキア戦、アゼルバイジャン戦の両方にフル出場したモドリッチは右の太ももを、ウルグアイ代表で親善試合のコスタリカ戦で15分、アメリカ戦で90分プレーしたバルベルデは左の太ももを痛め、前者など、全治2、3週間となれば、事は重大。おまけにカセミロなど、ブラジルの親善試合、コロンビア戦、ペルー戦を済ませ、木曜にマドリッドに到着し、金曜1日だけしか、チームの練習に加われなかったんですよ。本来なら、来週水曜にはCLのPSG戦も控えているため、この週末はジダン監督も温存したいところでしょうが、だからと言って、クロースとハメス・ロドリゲスでボランチとかじゃ、あまりに怖すぎる?

もうそうなると、疲労蓄積で負傷の危険が高まることには目を瞑って、カセミロを使い倒すしかないかと思いますが、実はマドリーには出場停止選手の問題もあるんです。ええ、このレバンテ戦では前節のビジャレアル戦で退場したベイルが出られないんですが、まだこれは許容範囲。ようやく開幕直前に負傷したアザールが回復し、先発するかはわかりませんが、招集リストに入ったからで、セルビア代表2戦目をケガで免除されたヨビッチも軽傷だったようですしね。ベンゼマルーカスバスケス、ビニシウス、そしてこちらもケガの治ったロドリゴと選択肢は多いんですが、怖いのはCLの守備陣。

だってえ、金曜にアマゾンライムで配信開始、メトロのサンティアゴ・ベルナベウ駅の地下道壁面全てがプロモーション仕様と化していたセルヒオ・ラモスドキュメンタリーでは、昨季のCL16強対決アヤックス2ndレグで味方が逆転敗退していくのを、1stレグでわざと累積警告となるイエロカードを受けた当人がパルコ(貴賓席)で苦しみながら、観戦しているシーンもあるんですが、はい、あれは出場停止処分の1試合目。UEFAに課された2試合目を来週のPSG戦で済まさないといけない上、アヤックスとの2ndレグではナチョが退場してるんですよ。こちらも出られないとなると、パリのパルク・デ・プランスではバランとミリタオがCBコンビを組むんですが、え、それじゃ、もしもの時の控えがいなくない?

かといって、ここ2年、ベルナベウで1勝1分けと黒星を喫していない相手にフランス代表の2試合をピッチでプルに満喫してきたバランをローテーションするのも微妙ですしね。今季から、レンタル選手の出場を制限していた契約条項を廃止されたため、レバンテ2年目でマドリー戦初出場となるボルハ・マジョラルなどが張り切っているのは要注意。ちなみに開幕戦でアラベスに負けた後、ビジャレアル、バジャドリーに連勝したレバンテは現在、マドリーの1つ上を行く4位。スペイン各地を集中豪雨が襲った木曜には水浸しになったブニョルの練習場でダイブをして遊んでいたように(https://bit.ly/2lVijef)、土曜のマドリッドが大雨になってもきっと、パコ・ヘメス監督率いる選手たちが怯むことはないかと思います。

そして同じ土曜の午後6時30分(日本時間翌午前1時30分)から、アノエタ改め、レアル・アレナとしてリニューアルオープンしたレアルソシエダのホームプレーするアトレティコはどうしていたかというと。いやあ、木曜には私もマハダオンダ(マドリッド近郊)まで、練習を見学に行ったんですが、各国代表から帰還して、前日はジムで過ごしたジョアン・フェリックス(ポルトガル)、トリピアー(イングランド)、レマル(フランス)だけでなく、ヒメネス(ウルグアイ)、エレラ(メキシコ)、そして今週前半は別メニューリハビリをしていたサビッチ、トマスまで一緒にトレーニングしていたのは朗報だったんですが…。

マスコミに開放される15分間は何か所もあるポイントを2人ずつこなしていく、バランス、筋力強化のフィジカルサーキットだったとなれば、一体、どう報告していいものやら。座って、片足ごとに重りを持ち上げるエクササイズをしているジョアンをプロフェ・オルテガ(フィジカルコーチ)が、「Bien, Joao, muy bien!/ビエン、ジョアオ、ムイ・ビエン(いいよ、ジョアン、とってもいいよ)」と褒めていたって、とにかく私など、撃っても撃ってもゴールが入らない、あの暗黒のリトアニア戦を見たばかりですからね。できれば、ボールを使った練習でシュートを決めるところを見たかったというのが本音かと。

いえ、金曜の練習後、前日記者会見で話したシメオネ監督はFWが足りないのではないかと訊かれ、「ウチにはいい代え駒がある。コレアがいるし、モラタ、ジエゴ・コスタ、それにジョアンもCFでプレーする可能性がある」と言っていたんですけどね。いくらお隣のジダン監督がビニシウスに対し、「Tiene 19 años y es seguro que es el futuro del Madrid/ティエネ・ディエシヌエベ・イ・エス・セグロ・ケ・エス・エル・フトゥロ・デル・マドリッド(19歳でマドリーの未来なのは違いない)。それでも事となすには時間がかかるし、彼は上手くやるためのプロセスにある」と余裕を見せていたとしても、同じ年でも移籍金1憶2700ユーロ(約152億円)のジョアンにそんな言い訳は通じず。モラタは来週水曜のCLユベントス戦を目標にヒザのリハビリをしていますが、レアルソシエダ戦にはコスタがいるため、ポルトガル代表のように彼をあまり得意そうでないトップに置く必要がないのは良かったかと。

ちなみに金曜夜に移動したアトレティコトマスも用心のため、同行せず。相手は開幕4試合目で待ちに待ったホームデビューですし、前節ではアスレティックとのバスクダービー負けているため、地元のファンの前で面目躍如を誓っていますからね。その一方でイジャラメンディが腓骨骨折してしまったというハンデもありますが、折しも金曜には途中出場した久保建英選手がゲットしたPKをマジョルカはプラッツが外し、アスレティックも古巣帰還でソン・モイシュのファンからオベーションを受けたアドゥリスがPKを止められ、0-0で終わったため、アトレティコの首位は揺るがず。こうなったら、3連勝中の彼らにも気合を入れてもらって、できるだけ長く首位をキープしてほしいものです。

え、とはいったって、今のところ、お隣さんとは勝ち点差4、バルサとは5とアトレティコには余裕があるんだろうって?まあ、そうなんですけど、この土曜の最後の枠でカンプ・ノウに乗り込むバレンシアがこの水曜、唐突にマルセリーノ監督を更迭するという、呆気に取られる事件が発生。どうやら原因はオーナーシンガポール人事業家ピーター・リン氏と意見が合わなかったせいのようですが、これでは即座にセラデス監督が着任しても選手たちは戸惑うばかりかと。

救いはバルサの方ではプレシーズンからふくらはぎを負傷しているメッシの回復が間に合わず、今回もコスタが「Su sueño era jugar con Messi y con Suárez/ス・スエノ・エラ・フガール・コン・メッシ・イ・コン・スアレス(彼の夢はメッシスアレスプレーすることだった)」と言っていたグリーズマンが、先に治ったウルグアイ人FWとご一緒できるだけになってしまうことぐらいですが、果たしてどうなることやら。どちらも来週火曜はCLでバルサドルトムント戦、バレンシアチェルシー戦が控えているため、ローテーションもあるかもしれませんね。

そしてマドリッドの弟分たちはまず、土曜にレガネスがブタルケにビジャレアルを迎えるんですが、何せ彼らは開幕から3連敗でまだ勝ち点が1つもないため、とにかくこの4節は新たなシーズンスタートと割り切って、全力を尽くしてほしいところ。ただ、困ったのはプレシーズンにヒザの靭帯を断裂したシマノフスキに続き、アトレティコとの兄弟分ダービーでタリンも半月板を痛め、手術後、しばらく療養しないといけないことに。加えて、木曜にはGKクエジェルが肝膿瘍で緊急入院してしまったため、なかなかゴールが入らない前線だけでなく、守備にも不安が出てきてしまったんですが、相手のビジャレアルもまだ勝ち点2とまったく調子に乗っていないため、きっと勝機は見つかるかと。

一方、やはり勝ち点2とエンジンのかかっていないヘタフェは日曜にベニト・ビジャマリンでベティスに挑むんですが、前節はお隣さんのレガネスが2-1で惜敗してしまったリベンジを期待。いやあ、もう来週は木曜午後6時55分から、ヨーロッパリーグ初戦でトラブゾンンスポがコリセウム・アルフォンソ・ペレスにやって来るとあって、ついついそっちに頭がいっちゃうんですけどね。22日の日曜正午には久保選手のいるマジョルカも来るため、私の気も逸れがちですが、まずは目前のベティス戦で昨季のような強い弟分の姿を見せてもらいたいものです。


【マドリッド通信員】 原ゆみこ 南米旅行に行きたくてスペイン語を始めたが、語学留学以来スペインにはまって渡西を繰り返す。遊学4回目ながらサッカーに目覚めたのは2002年のW杯からという新米ファンワイン生ハムチーズが大好きで近所のタパス・バルの常連。今はスペイン人親父とバルでレアル・マドリーを応援している。
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