子どもの主体性が伸びない家庭の特徴

子育てでは「主体性を育む」ということがよくテーマになりますが、今まで個別指導塾経営に携わる中で1000人以上の親子と接してきた中で、「子どもの主体性が伸びない家庭」というものがあると気づきました。

主体性とは、子ども自身が「○○したい」という内発的な動機を元に発生するエネルギーのことです。これが育たないと、将来的に3つの弊害が出ると考えています。

まずは「長続きしなくなる」。両親の発言による不安や恐怖、義務などが動機だと、一時的な動力として有効なこともありますが、心身的に不健康です。長期間続けばどこかで心身がついていかなくなり壊れてしまうこともあります。

2つ目は「幸福度の減少」です。前述のようなことが続くと、その時に感じたことがトラウマになり、フラッシュバックしやすくなることもあります。人生という長いスパンで見た時に、幸福度が減少すると言えます。

最後は「取得できる情報が少なくなり、成長が遅くなる」。同じことをやるにせよ、「あれがしたい」と主体的に動いていれば、自らの意思で様々なことを感じとる力が向上します。逆に主体性が低ければ、意識も集中力もがそこに向かないため、取得できる情報が少なくなり、成長も遅くなります。

このように主体性を育むことは子どもの人生に大きく関わってきます。今回は主体性が伸びない家庭の特徴や、その対処法を紹介していきます。(文:個別指導塾「STORY取締役 妻鹿潤)

「親の考えに沿わないと何か言われる」と子どもに思わせてはダメ

子どもの主体性が伸びない家庭は4つのパターンがあり、親の接し方が大きな影響を与えています。

1.両親が質の高い計画や進捗管理を行い、子どもが萎縮するパターン

賢い両親に多く見られます。何か言っても、両親により妥当な意見を返されるため、子どもは常に「未熟な自分」を突きつけられる。そうなると何か言う気力だけでなく自分で考える気力を失っていきます。両親が提示した計画通りに行って成功経験を重ねると、この傾向はより拍車がかかります。

2.両親が答えを与えるパターン

子どもにできないことがあれば、つい先に答えを言ってしまいたくなる気持ちも分かります。ただ、そうすると子どもは「答えは与えてもらえるもの」「あれこれ自分で考えるより楽」と感じるようになってしまいます。

3.両親が子どもを心配するあまり"ハマりそうな落とし穴を先に埋める"パターン

2つ目同様、子どもは親や周りを無意識に頼るようになります。両親がうまくそう感じさせないようにしていても、子どもは困難に当たる機会を失うため、乗り越えるようとする気持ちが鍛えられません。また「そんなに頑張らなくてもうまくいく」と人生を舐めてしまうことも。

4.両親が考えていること以外のやり方を許容しないパターン

この場合、敏感な子どもほど「親の考えに沿わないと何か言われる」と感じます。そのため自分の意見や気持ちより、両親の顔色を伺うようになります。

この場合、実際に両親が「こうしなさい」などの発言がなくても、雰囲気や行動から感じ取り、影響を受けてしまいます。両親が実際に許容範囲を広げることが重要になります。

「思い切って失敗させる」ぐらいの気持ちが大切

では、これらを解消するにはどうすればいいのでしょうか。1つ目の「両親が進捗管理をする家庭」では、子どもの状態やレベルを見極め、管理する中でやり方を教えて、緩やかに手綱を子ども本人に渡すことが重要になります。

いきなり子どもに妥当な計画作成や進捗管理を求めても、できる子はほとんどいません。最初は親主導で計画作成などをした方が良いと思います。その際、少しずつ「この時間帯はこんな状態(眠たくなる、下の子がうるさくなるなど)になることが多いよね」「こういったことも考えないといけないよね」など、考えるポイントを教えて、子どもやらせてみてください。

そうしてうまくいった時、子どもに「効果があった」と実感させるように接すると、少しずつ「価値があることだから」と子ども自身が計画・管理を行えるようになります。

「両親が答えを与える」、「先回りして穴を埋める」については、「子どもが自分でやる中で学ばせる」「思い切って失敗させる」くらいの許容度を持って接することです。もちろん取り返しがつかないようになる失敗に陥りそうな時には、先回りや答えを与えることも重要なためケースバイケースです。

ただ、それほどのケースでもないなら、やはり本人の主体的な意志に任せてやらせてみたり、やらせてみる中で答えを言うより「一緒に考える」ようにしたり、「ヒントを与える」くらいの方が、長い目で見た時に学ぶことが多いと思います。

4つ目の「両親が考えていること以外のやり方を許容しない」に対しては、両親自身が「最適なやり方じゃなくても良い」「他のやり方もあるかもしれない」など考え方の許容範囲を広げることが大切です。

特に、愛情の深い両親は「自分のことなら許容範囲が広いが、愛する子どもに限っては許容範囲が低い」ことも多いです。ただ、長い目で見ると愛情の強さからくるこだわりが、子どもに偏りを与えてしまうリスクも大きいと感じます。

幼少期における家庭の影響力は絶大

上記以外でも、子どもが不安を抱えていると、主体性が伸びないことがあります。例えば、両親の不仲などの家庭問題や、部活動や習い事、友人関係、恋愛、勉強など、精神的に抱えているものが大きいと、そちらに意識が引っ張られてしまいます。

不安な気持ちをずっと抱えていると、脳が常に一定のキャパを取られ、主体的なエネルギーが小さくなるからです。

本来、"主体性"は内発的動機を元に発生するエネルギーだからこそ強く、無尽蔵に生まれるポテンシャルがあるものだと思います。そのため外発的な動機や精神的に引っ張られるものが多いほど、その内発的な動機のエネルギーを阻害されているのではないでしょうか。

主体性に影響を及ぼすのは家庭だけではありませんが、やはり幼少期における家庭の影響力は絶大です。子どもは家庭の世界観や価値観をそのまま受け取ってしまう可能性が高いので、接し方に気をつけることで主体性を育むことはできると考えています。

著者近影

【筆者プロフィール】妻鹿 潤(めがじゅん

株式会社STORY 取締役/SB学び事業部責任者・キャリアコンサルタント

関西学院大学法学部卒。大手学習塾で教室長として、生徒・保護者からの信頼を得る。

1000人近くの小・中・高生と、それ以上の保護者と関わり、培った知識と経験から、その生徒に完全オリジナルオーダーメイドカリキュラムを確立するに至る。地域で評判となり、10か月で100名以上の生徒が入塾するまでになる。

大手個別指導塾で生徒へ価値提供ことへの限界の痛感や、大学や社会でのミスマッチに絶望する現実を目の当たりにしたことから、理想の教育を形にしているSTORYに参画。現在、SB学び事業部責任者として、子供達に点数アップ・志望校合格に加え「社会で生き抜く力」を提供する。