ソフトドリンクは、国によって若干定義が異なるが、日本だと炭酸飲料やジュース、清涼飲料水などを意味する。アメリカだと一般に炭酸飲料を意味する。
ソフトドリンクには思いのほか糖分がたっぷりと入っており、ついつい飲みすぎてしまうと体に弊害が出てくる。
甘いソフトドリンクを大量にガバガバと飲む習慣があるアメリカでは、7つの都市で、ソフトドリンクの量に応じて税金をかけるという取り組みが行われている。
この課税制度では、あくまでソフトドリンクの量が対象であって、そこに含まれる糖分の量は一切考慮されていない。
だが『Science』(9月6日付)に掲載されたニューヨーク州立大学をはじめとする研究チームの分析によると、課税対象をソフトドリンクの量ではなく、糖分の量に変更すると健康にいいだけでなく、経済なメリットもある一石二鳥の効果が得られるのだそうだ。
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被害はソフトドリンクそのものではなく糖分にある
経済学の基本原理によるなら、そうした税金は被害に応じてかけられるべきなのだ。
ここで被害を起こしているものは、甘いソフトドリンクに含まれる糖分だ。しかもソフトドリンクに含まれる糖分の量は、製品によって大きなバラツキがある。
論文にはこうある。
この制度では、糖分が多いソフトドリンクからより健康的な糖分の少ないものに変えようというインセンティブが消費者に働かない。ソフトドリンクの量に基づいた税金は一般的なものであるが、健康効果は最大化されない。
従来のソフトドリンク従量課税も効果的ではある
誤解がないように述べておくと、ソフトドリンクの量に応じた税金であってもちゃんと効果はある。
研究チームの試算では、1リットル当たり34セント(約36円)の税金を課すだけで、アメリカ人成人の甘いソフトドリンクの消費量は1日当たり82グラム少なくなる。すると平均体重は1キロ落ちる。
また、これを全米で実施すれば、肥満率が年2パーセント(成人210万人)減少し、さらに2型糖尿病も2.3パーセント(3万6000件)減少するだろうと評価されている。
ついでながら、年間14億ドル(約1500億円)の経済効果も得られるだろうという。これは主に医療費が削減されることに起因する。
健康・経済効果をブースト
しかし、今回の研究は、ソフトドリンク自体の量ではなく、そこに含まれる糖分の量に応じて課税すれば、さらに大きな健康効果と経済効果が得られると述べている。
糖分従量課税方式に変えた場合、甘いソフトドリンクの消費量はさらに2.3グラム減り、体重は320グラム落ちる。
全米では、さらに63万人の成人の肥満が解消され、糖尿病患者は1万1000人減る。もちろん年間の経済効果は4億ドル(約430億円)分アップするだろうという。
こうした試算を元に、「甘いソフトドリンクへの課税に合意があるならば、糖分が含まれている液体の量ではなく、有害な糖分に課税するのが自然だと思われる」と論文では結論づけられている。
アメリカだとファストフードはもちろん、ファミリーレストランとかでもソフトドリンクはおかわり自由なところもあって、これまでずっと安い料金で大量に摂取できていたことによるツケが回ってきた感じだね。
かといってシュガーレスのものでも、飲みすぎるとあまり体に良くないとも言われているので、水分を取るなら水かカフェインの入っていないお茶にするとかにしたほうがいいのかな。
でもピザとかハンバーガーとかを食べるときって甘い炭酸飲料を無性に飲みたくなる罠が潜んでいるよね。あれは不思議だ。
References:Taxing Sweetened Drinks by the Amount of Sugar Could Cut Obesity & Boost Economic Gains/ written by hiroching / edited by parumo
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