待望の最新コメディ『記憶にございません!』が、いよいよ9月13日(金)から公開される三谷幸喜監督。今回は長編映画監督8本目となる本作の公開を前に、“喜劇の天才”三谷幸喜の映画作品を振り返ってみたい。

【写真を見る】三谷幸喜の記念すべき映画監督デビュー作!(『ラヂオの時間』)

■ 監督デビュー作が高評価で“三谷節”が開花!

演劇界で成功を収め、テレビドラマの世界でも人気脚本家として活躍。そんな三谷の記念すべき映画初監督作となったのが、自身の舞台作品を映画化した『ラヂオの時間』(97)だ。ラジオ・ドラマを生放送中のラジオ局を舞台に、このドラマで脚本が初採用された主婦(鈴木京香)、わがままな主演女優(戸田恵子)、様々なアクシデントに振り回されるディレクター(唐沢寿明)らが、ドタバタ劇を繰り広げるさまは爆笑必至。この作品で、日本アカデミー賞ほか多くの映画賞に輝き、高い評価を得た。その後、三谷がマイホームを建てた時のエピソードを基にした第二弾『みんなのいえ』(01)を作り上げ、スピーディーな展開と絶妙なボケが連続する、独自の“三谷節”を開花させていく。

■ 豪華キャスト×シットコムスタイルを確立

そして、役所広司を主演に迎えた第三弾『THE 有頂天ホテル』(06)では、“シチュエーションコメディ×オールスターキャスト”のスタイルを確立。都内の高級ホテルで、新年カウントダウンパーティを任された主人公の副支配人を中心に、客室係役の松たか子や、国会議員扮する佐藤浩市コールガールを演じる篠原涼子、大物演歌歌手役の西田敏行ら主役級俳優が集結する。曲者キャラクターが入り乱れる中、副支配人は無事に新年を迎えることができるのか…!?

■ ジャンルを超越?様々な舞台をコメディに昇華

4作目以降も多種多様なジャンルを三谷流にアレンジ。ギャングと、彼らを劇団員だと思い込み殺し屋を演じ続ける役者のチグハグな抗争劇『ザ・マジックアワー』(08)、落ち武者の幽霊を証人として呼ぼうとする、奇想天外な法廷劇『ステキな金縛り』(10)、織田信長の後継者争いをコミカルに描いた、監督作初の時代劇『清須会議』(13)、宇宙を舞台にしたハチャメチャなSFロマンティック・コメディギャラクシー街道』(15)と、コンスタントに発表している。

■ 最新作では日本の“政界”をまさかのパロディ化!

そして、およそ4年ぶり8作目となる『記憶にございません!』では、ついに“政治”をパロディ化!「記憶にない」と汚職を誤魔化してきた黒田総理大臣(中井貴一)が、本当に記憶喪失になってしまい、お人好しな政治の素人に一転する。記憶を失ったままアメリカ大統領の来日を迎えるほか、怪しい秘書官(ディーン・フジオカ)や仮面夫婦の妻(石田ゆり子)、政界を牛耳る官房長官(草刈正雄)ら、腹に一物抱えた内部の敵にも悪戦苦闘する姿が観る者の笑いを誘う。

どんなジャンルも操り喜劇へと昇華させる才能と、俳優たちの意外な魅力を引き出す技巧をあわせ持つ、奇才・三谷幸喜。この機会に、彼がこれまでに手掛けた作品もおさらいしてみては?(Movie Walker・文/トライワークス)

三谷幸喜の監督作品を振り返り!