「アメリカンドリームの象徴」として制作された18金のトイレが、イギリスオックスフォード近郊ウッドストックにあるブレナム宮殿から盗まれてしまった。『The Irish Times』『Mirror』などが伝えている。

ニューヨーク市のソロモン・R・グッゲンハイム美術館に18金のトイレが設置されたのは2016年秋。表面に18金を貼り付けたものではなく便器すべてが18金製という超豪華なトイレは、入場料を払えば誰でも使用できるとあって話題になった。

ウッドストックにあるウィンストン・チャーチル元英首相の生家でもあるブレナム宮殿で、海を渡ってやってきた18金のトイレの展示が始まったのは今月12日のことで、テムズバレー警察は14日午前4時50分頃にこのトイレが盗まれて出動したこと公表、犯人の1人とみられる66歳の男を拘束した。

このトイレは予約すれば3分間の使用が可能で、実際に配管でつながれていた。そのため盗難直後の館内は、汚水が溢れるなどかなりの損傷があったようだ。犯人は少なくとも2台の車を使っており、警察は市民に情報提供を呼びかけるとともに、監視カメラの映像をもとに調査を進めている。

この18金のトイレを手掛けたのは、イタリアを代表する現代美術アーティストのマウリツィオ・カテラン氏(Maurizio Cattelan)で、タイトルはずばり“アメリカ”だ。斬新で挑発的なアイデアの作品を発表し世界的に注目された同氏のニューヨーク市での展示では、警備員が立ち、便器は15分ごとに特別な布を使って清掃するなど厳重な警備が話題になっていた。カテラン氏が「これは来館者へのギフト。200ドルのランチを食べたとしても、2ドルのランチを食べたとしても行き着くところはトイレである」と語るなどして注目され、2016年から2017年の使用者は10万人以上を記録したという。

一方のブレナム宮殿では、ブレナムアート財団の設立者であるエドワードスペンサーチャーチル卿が「トイレを盗むのは簡単なことではない。配管でつながれ、誰が最後に使ったかも分からないトイレが盗まれることはないだろう」と述べていた。

展示会は事件があった14日は閉鎖されたものの、翌日には開館した。10月27日まで7週間の予定で開催され約6,000人の使用が見込まれていたが、カテラン氏は「動揺しており、非常にショックを受けている」と明かしており、同宮殿の最高責任者であるドミニック・ヘアー氏は警備の見直しが必要になるだろうと話している。

なお18金トイレの肝心の価格は当初、約1億3,500万円(100万ポンド)と推定されていたが、『Fox 8 News』では約5億4,000万円(500万ドル)以上、『express.co.uk』は6億4,800万円(480万ポンド)になるだろうと伝えている。果たしてこのトイレが金の塊となる前に探し出すことができるのか、注目が集まっているようだ。

画像は『Sonia Voskoboinikoff 2019年9月14日付Instagram「Maurizio Cattelan at Blenheim Palace.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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