サッカー(matimix/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

世界では女性たちがスタジアムで歓声を上げながら応援しているというのに、なぜ私はスタジアムに入ることが許されないの…? 女性は我が身を犠牲にして「女性だってサッカーが観たい!」と大声で叫んだ。

■警備員につまみ出され警察へ

このほどイランテヘランで、サハール・コダヤリ(Sahar Khodayari)さんという29歳のサッカーファンの女性が、試合のチケットを買ってアザディ・スタジアム(Azadi Stadium)の応援席に座った。

ところがサハールさんは途中で警備員につまみ出され、身柄は警察へ。イスラム教徒の女性のサッカー観戦はイランでは許されておらず、ロングコートで男装していたことから、彼女にもその認識はあったとみられている。

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■ガソリンを浴び我が身に…

大好きなチーム『エステグラル』をどうしても応援席から応援したかった。たったそれだけのことで、6ヶ月の禁錮刑となる可能性があると知らされたサハールさんは、「何がいけないか」と強く反発したという。

3日間の拘留の後、いったん保釈になった彼女はテヘランの裁判所の前でガソリンを自ら浴び、抗議の焼身自殺を決行。全身の90%に火傷を負い、搬送先の病院で9日に死亡した。 

■人権擁護団体も抗議

国際人権NGOアムネスティ・インターナショナル』で中東の問題を担当するフィリップ・ルター氏は、この件について次のように述べている。

「今どきサッカースタジアムに入った女性を処罰する国は世界でイランだけ」

「サハールさんは、神権政治の差別あふれる法や規制に立ち向かおうとした。その死を無駄にしないよう、抗議と各方面への働きかけを行なっていく」

1979年イスラム革命の前にはスポーツイベントの場に女性が参加することが許可されていたが、1981年からそれが変わったという。

■イラン代表選手も反応

イラン代表で『トラークトゥール 』に所属するマスード・ショジャエイ選手も、この件に反応した1人だ。40万人のフォロワーを持つインスタグラムに、この国に変わってほしいという思いを込め、こんなメッセージを投稿している。

「女性蔑視は過去の古臭い歪んだ考え方なのに、今なおこんな悲劇が起きてしまうことにショックを受けています」

「女性がスタジアムに入れなかった時代があると聞いて、皆が『理解できない』と言って驚く。イランの未来はそんな風であってほしい」

国際サッカー連盟FIFAも、あらゆる面で男女差別を禁じてきた。彼らからの抗議の声明にも期待が集まっている。

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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ

【調査概要】 方法:インターネットリサーチ「Qzoo」  

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