太陽系外のハビタブルゾーン(宇宙の中で 生命が誕生するのに適した環境と考えられている天文学上の領域)で発見された地球と同じくらいの大きさの惑星の大気には、どうやら水が存在するようだ。
地球から111光年先にあるその「K2-18b」と呼ばれる惑星は、今後データの確認がすみさえすれば、史上初めて発見された水蒸気の雲を持つ太陽系外惑星として知られることになるだろう。
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水蒸気の大気を持つ惑星
K2-18bは大きさ(地球の2倍)と、それが属する恒星のハビタブルゾーンにあるという点で地球に似ている。
ただし、それ以外の点ではかなり違う。気温はだいたいマイナス100度から47度の範囲で、質量は地球のおよそ8倍。水素を豊富に含むらしき大気が宇宙にまで広がっていると考えられている。
大気には水蒸気が含まれており、雨も降るかもしれないが、K2-18bの地表に海は存在しない可能性が高い。
米マサチューセッツ工科大学のサラ・シーガー教授(研究には不参加)は、「地球のような姿とは違うでしょう。私たちが知る岩石惑星とは明らかに違います」とコメントする。
ふたつの研究がK2-18bに水の存在を確認
K2-18bのような宇宙の彼方にある太陽系外惑星を研究する難しさについて、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの天体物理学者インゴ・ワルトマン氏は、次のようにたとえている。
ニューヨークからロンドンにある灯台を観測するところを想像してみてください。その灯台の周りに蚊が飛んでいるんです。で、その蚊の羽の色を当てようとするわけです
このような困難な作業は、親星を惑星が横切るときの光の微妙なかげりを観測することで行われる。
そうした光の変化の中でも、光が惑星の周囲を通過したときのフィルターを通したような変化には多くの情報が含まれており、惑星の大きさ、組成、大気の特徴といったことをうかがい知る手がかりとなる。
恒星が大きく明るければ、それを公転する惑星を検出・観測することは難しくなるのだが、幸いにも、K2-18bの親星は、比較的小さく暗いM型赤色矮星に属するものだ。
おかげで観測は容易で、ふたつの別個の研究チームからそれぞれ、ほぼ確実にそこに水蒸気があるだろうと発表された。
ひとつの研究は、『arXiv』(9月11日付)で閲覧できるモントリオール大学の研究チームによるもの。
ハッブル宇宙望遠鏡によって、K2-18bが親星の前を通過するところを8度観察し、そのとき惑星の大気を通過する光の変化を記録した。水は特定の波長の近赤外線を吸収するために、その事実から大気に水が含まれていることをほぼ間違いなく推定することができた。
もうひとつは『Nature Astronomy』(9月11日付)に掲載されたユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのチームによるもの。これによれば、観測結果が間違っている可能性は3000分の1しかないそうだ。
Hubblecast 124 Light: Exoplanet K2-18b
人類の生存を確保する新天地
現時点でK2-18bのような遠く離れた異世界に旅行することは夢物語でしかないが、それでもこうした発見は非常に重要だ。
もし人類が今後1000年以上生き延びることがあれば、やがて地球を捨てて新たに移住せねばならなくなるときがくるからだ。
もちろん、2019年現在においてこれが現実になることはおそらくないだろう。そして、そんな私たちにとっては、そこに生命が存在するかどうかの方が関心事かもしれない。
2021年に打ち上げが予定される次世代望遠鏡ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡ならさらに詳しくK2-18bを調べられるようになるだろう。さて、そのとき何が発見されるのか? 今から楽しみに待っていよう。
References:First water detected on potentially ‘habitable’ planet | UCL News - UCL - London's Global University/ written by hiroching / edited by parumo
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