漫画家・新井英樹が熱血営業マンの七転八倒を描いた人気コミック「宮本から君へ」。昨年4月にテレビ東京系列にて連続ドラマ化され、主役の宮本浩を池松壮亮が、ヒロインの中野靖子を蒼井優が演じ、大きな反響を呼んだ。この度キャストを同じくして実写映画化され、9月27日(金)より公開される。それに先掛け9月9日(月)大阪市北区にある「梅田ブルク7」にて試写会が開催され、上映前に主演の池松壮亮が舞台挨拶に登壇した。

作品への想いを言葉を選びながら語る池松壮亮

本作は通常の映画よりも時間を要したという池松。「その分すごく楽しみな半面、ドキドキする」と率直な心境を明かした。また、池松自身にとって平成最後に取り組んだ作品であり、令和元年に公開となることを受け、「20代の集大成のような作品になると思っていた。届けばいいなと思う」と述べた。

ドラマから約1年間空いての撮影となった本作。期間を空けて再度、主人公の宮本を演じたことについて「映画化することは決定していたので、精神的には繋がっていたようなところはある」とするも、「とは言え、例えば急に『明日やって下さい』と言わるとちょっと厳しいようなすごくハードな役ではあった」とし、そのための覚悟や心構えが必要であったと振り返った。

「宮本はどの歴史上の人物よりも、自分にとってはヒーローだ」とコメントしている池松。「僕はこんなにまっすぐに自我を持って目の前にある正しさみたいなものに向き合わずに来たし、もっと社会に順応しようとして処世術を身に付け、自分の心も殺してきたような感覚がある」と自らの人生を振り返り、「宮本は目の前に何があろうと、自分が一番リスクを取って清く、正しさ、美しさみたいなものを自分で捕まえに行く人。僕はこうなれなかったという意味では、自分の中のヒーロー像として掲げている部分がある」と理由を述べた。

蒼井優と再びの共演となった本作、蒼井優とはどんな女優なのかと尋ねられると、「ものすごく力のある女優さん」と即答。加えて、疲れたら疲れた顔をするし、物足りない時には物足りない顔をして、感情がストレートに出るタイプであり、「清々しい」と表現。更に「その辺の俳優よりも、よっぽど男らしい」と言い、共演者として仕事がしやすい、何度やっても新鮮だと絶賛した。

仕事で年に1回は大阪へ来ているという池松。関西に来て楽しみにしていることを問われると、「長くて1週間しかいたことがないので、逆に聞きたいくらい」と言い、「大阪にいる友達にこれから会うのだが、その人に『何食べたい?』と聞かれ、『大阪の美味いもの』と言ったら、『肉か粉もん』と言われた」と明かし、「その二択しかないというのが初めてで、迷って何も返していないんです…」と笑いながら述べた。MCが観客にオススメの食べ物を問うと「お寿司があります!」という声が上がるも池松は「寿司は東京にもあるよ…」と小声で遠慮がちに言い、笑いが起きた。続けて「串カツ!」との意見が挙がると「粉もんですよね?」と池松が問いかけ、再び笑いが巻き起こった。「串カツよく行ってます。大好きです!」との発言も飛び出した。

最後に、池松は「宮本の生き様をたっぷり堪能して下さい」と述べ、「個人的には映画ではあるも、自分の生き恥も含め、宮本の力も借りて、新しい時代に皆様へのプレゼントになればなぁ、ラブレターのような映画になればなぁと思う」と作品への想いを語り、「串カツを食べて帰ります!」と舞台挨拶を締めくくった。(関西ウォーカー・南華凛)

9月9日に大阪舞台挨拶が行われ、池松壮亮が登壇した