AKB48が56枚目となるシングル『サステナブル』をリリースする。今年のAKB48指原莉乃の卒業、4年ぶりの全国ツアー開催など、転換期を示すかのようなトピックも目立った。今、彼女たちの道しるべはどこにあるのか。最新シングルで初のセンターに抜てきされた矢作萌夏、AKB48グループ現総監督の向井地美音柏木由紀横山由依武藤十夢、岡部麟の6名に聞いた。

【写真】AKB48 最新シングルで初センター “スーパールーキー”矢作萌夏

■“スーパールーキー”矢作萌夏は「人との距離の詰め方がエグい」

――矢作さんにお聞きしたいのですが、大きな節目を象徴する最新シングル『サステナブル』でセンターに選ばれた心境はいかがでしたか?

矢作:初めはドッキリかと疑うくらい、ビックリしました(笑)。指原さんの卒業曲でもあった前作から約6ヵ月ぶりで、このタイミングでセンターに選んでいただいて、とても緊張しています。

――先輩たちからみて、矢作さんはどんな印象でしょうか?

向井地:人なつっこいワンちゃんみたいですね(笑)。私たちにもきゅるきゅるきゅる~っと近付いて甘えてきてくれるし、グループ内のみんなに愛されています。

岡部:ひとときも目が離せないほど、手のかかる妹みたい(笑)。でも、けっして悪い意味ではなくて、成長を期待しているからこそ手をかけたくなってしまうんですよね。何か分からないことがあれば先輩たちに質問している姿もよくみかけるし、ちょっと生意気だけど(笑)、かわいらしくて憎めないのが萌ちゃんの魅力かなと思います。

横山:10代にして、自分を持っているのも素敵だなと思います。私は今、自分を探したいなと思って、いろいろな人と話すようにしてるんです。でも、萌ちゃんは「カエルが好き」とか主張がハッキリしているし、やりたいコトもハッキリしているので、日頃からだいぶ刺激をもらっています。

柏木:萌ちゃんはなぜか、気になってしまうんですよね。ときたま、先輩やお仕事でご一緒する方にグイグイいき、ハラハラさせられるときもあるけど(笑)。加入してまもないのに自分の魅力をたくさんアピールできるのはすごいなと思います。

武藤:初めは人見知りの印象だったんです。でも、いざ接してみたら「人との距離の詰め方がエグいな」と思いました(笑)。

――みなさんの声を受けて、本人としてはいかがですか?

矢作:いろいろ遠慮してしまっていた時もあるんですけど、それで先輩たちから学べる機会を逃すのはもったいなと思ってからは遠慮するのをやめました。でも、それで「調子に乗っている」と思われることもあると思うので、そう思われないように振る舞っていきたいなと努力中です。成長途中なので、大目にみてくださったらうれしいです(笑)。

■教習所の卒業以来、柏木由紀が初めて運転したMVのシーンもみどころ

――最新シングル『サステナブル』のMVでは、北海道でロケを敢行しました。撮影での印象的だったできごとを教えてください。

岡部:ゆきりん(柏木)さんの運転シーンは、ぜひ見てほしいです。私とアカリン吉田朱里)さん、みるるん(白間美瑠)さんが同乗したんですけど…

柏木:じつは、4年前に免許を取得していて「いつかお仕事で役立てば」と思っていたんです。でも、教習所を卒業してから初めての運転が、まさか自分たちのMV撮影だとは思っていなくて。メンバーを乗せるのでプレッシャーもあり、ロケ地に早めに着いてひたすら練習していました。撮影中も、麟ちゃんたちから「右に寄っています」とずっと言われ続けてました(笑)。

矢作:MVはこれまでの歴史をたどるような作りになっていて、私は2006年の設定で『会いたかった』のパートに参加したんです。そこでは『会いたかった』のMVの前田(敦子)さんを意識した画角やシチュエーションが用意されていて、偉大な先輩と同じ仕草を求められたのが緊張しました。

――最新シングル『サステナブル』のポイントを教えてください。

岡部:歌声に注目してもらいたいです。今回、作曲や編曲を務める井上ヨシマサさんにレコーディングのディレクションも担当していただき、メンバーそれぞれの“歌声”の魅力がすごく引き出されていると思うので、ぜひ聴き込んでほしいなと思います。

向井地:タイトルを知って感動しました。『サステナブル』自体は聞き覚えがあり、少し考えたら、自分が出演している経済学を扱うラジオ番組(TOKYO FM「ジュグラーの波~澤と美音のまるっと経済学」)で「サスティナビリティ持続可能性)」という言葉を学んでいたことに気が付いて。経済用語と恋愛とAKB48をかけたタイトルって、なんてすごいんだろうと思いました。ファンのみなさんもきっとこれからの私たちに思いを巡らせてもらえると感じています。

矢作:サビにある「自分たちを客観的に振り返っちゃダメなんだ」というフレーズが好きです。まさに私が思っていたことを詞にしてくださって“神!”って思いました!

――さまざまな変化がみられる中で、グループ内の空気感をどう味わっていますか?

矢作:私は今回のシングルでの選抜メンバーでも、グループ内でもいちばんの後輩なので今あるAKB48の雰囲気しか分からないのですが、私たちのイメージって「元気で明るい」ことだと思うんです。個人的には、センターに選んでいただけたのも光栄ですし、元気に笑顔でいることが私にできることかなと思っています。

向井地:今のAKB48に必要なのは「みんなで一丸となって作り上げる」ことだと思っています。選抜総選挙が見送られて寂しい気持ちもあるけど、結果としては全国ツアーなどを通してグループとしてのまとまりを実感できているし、少しずつ目標が実現されていること自体がみんなのモチベーションにもなっています。

柏木:私もだいぶ長くグループにいるんですけど、ようやくメンバーやスタッフさんに思っていることを伝えるようになりました。そうしたら不思議なもので、「自分はAKB48にいるんだ」とより実感できるようにもなって。全国ツアーではそれぞれの意思疎通を図ったり、メンバー同士の距離感もグッと近づけられたり、最近は“青春時代の部活”みたいな空気感が広がっている気もします。

武藤:一人ひとりの“グループ愛”が強くなったとも感じています。全国ツアーの曲順や演出もメンバーそれぞれがじっくりと考えているし、みんながきちんと口に出して意見をいえる環境も整ってきた気がするんです。何かが変わると「前の方がよかった」と思う人たちもいるかもしれないけど、私たちにとって大切なのは“今”だし、目の前の経験はこの先にきっとつながるはずだと信じています。(取材・文/カネコシュウヘイ)

 AKB48の56thシングル『サステナブル』は、9月18日に発売。
 約4年ぶりとなるAKB48単独全国ツアー『AKB48全国ツアー2019~楽しいばかりがAKB!~』を開催中。

AKB48の56枚目シングル『サステナブル』(9月18日発売) (C)AKS