アルバイトというと学生というイメージを持つ方が多いかもしれませんが、主婦やフリーター、留学生など様々な経歴の人が集まっているものです。

 多様な人が集まれば、当然癖の強い人に出会うこともあります。意外にも、「社会人経験者」である人がトラブルを起こしてしまうこともあるそうです。

仕事 パートナー
※画像はイメージです(以下同じ)
 今回話を聞いたのは、都内にあるイタリアンレストランで働く大学生の大村拓也さん(仮名・21歳)。最近店に入ったアルバイトがなかなか曲者だったそうで……。

深刻な人手不足。オーナーが連れてきたのは…

「元々うちの店のアルバイトは学生が多かったんです。1年以上働いている人も多くて、皆仕事を覚えている。豊富な学生人材を抱えて、オーナーシフトには困らなかったみたいです」

 しかし、春になると、4年生は卒業、3年生も就活時期に入ってしまい、やめる人が続出。夏には店が回らない状態になってしまったそう。

「そんな時にオーナーが連れてきたのが、オーナーの知り合いであるという石田さん(仮名・30代)でした。自分で起業するためにお金をためているらしく、元々は広告代理店に勤めていたと言っていました。礼儀正しく爽やかな人で、これは大きな戦力が入ってきてくれたぞ、と思いました。頼れる先輩ができた感じでしたね」

接客への熱い思いに当初は感心

レストラン

 一緒に働き始めた大村さんと石田さん。石田さんはテキパキと学生アルバイトアドバイスをし始めます。

「食器の片付け方や、お客様に対応する時の笑顔とか、イチからアドバイスされました。どれも今まで受けたことのない指摘ばかりだったので、社会人経験者は一味違うなと思いました。お客様を喜ばせたいという接客への熱い思いに感心しましたね」

 しかし1週間ほど経って、大村さんは石田さんに大きな違和感を抱くことになります。

セッティングした箸の角度をミリ単位で訂正された時に、これはおかしいぞと思いました。このあたりから他のアルバイトからも不満が噴出するようになりましたね。うちは高級店ではないので、小さなことにこだわりすぎると店が回らなくなってしまうんです」

「細かな指摘」が徐々にエスカレート

 さらに、石田さんは思わぬ行動に出ます。

「彼は、接客以外の業務を何もしなくなりました。ホールスタッフとはいえ、ドリンクを作ったり、洗い物をしたりするのもアルバイトの仕事です。ドリンクや料理の提供が遅れて、お客様からのクレームが増えました。

 それとなく洗い物をお願いしても、『僕はオーナーから接客業を頼まれているので』の一点張り。挙げ句の果てには、『学生アルバイトたちの仕事が遅い』とまで言うようになりました。他のアルバイトとは違うというプライドがあるのでしょう。『一回社会を経験しているので』というのが彼の常套句でした」

あまりの横暴ぶりにオーナーに助けを…

疲れ
 大村さんを含めたアルバイトたちは石田さんの振る舞いにうんざり。オーナーに直接不満をぶつけました。

「石田さんの振る舞いを知って、オーナーは驚いていました。そもそも石田さんは、オーナーに頼み込んでアルバイトになったみたいなんです。元広告代理店勤務というのは本当みたいですが、聞いたこともない会社でした。僕たちには大手に勤めていたようなことを言ってましたけどね(笑)

 さらに大村さんは、石田さんの「意外な経歴」を知ることになります。

「彼、実は奥さんと離婚協議中みたいなんです。それも彼の浮気が原因。『起業したい』というのも嘘ではないかもしれませんが、本当にそのために会社を辞めたのかはわかりません。小さな子供もいて、色々とお金がかかるのでアルバイトする必要があったというのが本音でしょうね」

態度を改めたのもつかの間…

 後日、石田さんにオーナーは厳しく注意。「次に同じことがあれば辞めてもらう」とまで言ったそうです。

「僕たちアルバイトにも謝罪をしてくれましたが、明らかに不服そうな態度。他のアルバイトから、いまだに洗い物はやりたがらないと聞きました(笑)。このままでは店が回らないので、オーナーも石田さんには辞めてほしいみたいです」

 しかし、相変わらず大村さんの店は人手不足。辞められてしまっても、シフトが埋まらなくなってしまいます。

「きっと石田さんもそれがわかっているので態度を改めないのでしょう。僕ももう辞めてしまいたいのですが、オーナーの気持ちを考えるとなかなか言い出せません…」

「元広告代理店勤務」という経歴が、変なプライドを作ってしまった今回の例。モンスターアルバイト社会人経験の有無は関係ないということでしょうか。

<取材・文/ミノワリク>

【ミノワリク】

bizSPA!取材班の大学生見習いライター。主に最近の大学生事情や、就活など。