米政府が「外国人テロリストから国家を守る」という名目で、入国者のSNS審査を厳格化している。新学期シーズンを迎え、米ハーバード大学の留学生が、SNSの交友関係を理由に一時的に入国を拒まれる事態も起きた。

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 米国務省がビザ申請者に対してSNSアカウント情報提出を義務付けると発表したのは今年6月。ビザ申請フォームが更新されてSNSアカウント情報を入力する欄が新設され、過去5年間にさかのぼって使用したSNSと、それぞれのSNSユーザー名を入力することが義務付けられた。

 無事にビザを取得できたとしても、空港の入国審査でSNSチェックされ、SNS友達の投稿を理由に入国を拒まれたケースもある。

 ハーバード大学の学生新聞Crimsonによると、レバノン在住のパレスチナ人留学生(17)は同大に入学するため渡米し、ボストンの空港から入国しようとしたところ、入国審査で足止めされ、長時間にわたって事情を聴かれた。

 入国管理官はスマートフォンノートPCロックを解除するよう留学生に要求し、5時間にわたって内容を捜索した。その後SNSでの活動について問いただし、友達の中に、米国と対立する政治的見解を投稿している人物が見つかったと告げたという。

 留学生は、自分は政治的内容は投稿していないと訴え、他人の投稿にまで責任は持てないと主張した。しかしビザは取り消され、国外退去させられたという。

 報道によると、この留学生はその後、米国への入国を認められて無事に入学できた。しかしこの問題が発覚したのとほぼ同じ時期に、米国土安全保障省は、米国に入国する外国人SNS使用に関する情報を収集する計画を明らかにした。

 入国者にはビザ申請フォームなどを通じ、使っているSNSをプルダウンメニューの中から選択してユーザー名を記入するよう求めるという。対象にはFacebookInstagramLinkedin、TwitterYouTubeなどの主要SNSが含まれる。

 提出されたSNSの情報は、国土安全保障省の担当官が検証して、米国の治安や国家の安全を危険にさらす人物かどうかの判断に利用する。ただし参照するのは本人が公開している情報のみとし、SNSパスワードまでは収集しないとしている。

 こうした動きに対し、プライバシー侵害や、言論の自由を保障した米国憲法違反を危惧する声も出ている。米人権団体の自由人権協会(ACLU)は、米政府によるSNS監視が強化されれば、間違って捜査対象にされたり、米政府の監視リストに登録されたりする恐れがあるほか、表現活動を委縮させるリスクもあると指摘した。

 世界を震撼させた2001年9月の米同時多発テロから18年。米政府がそこまでして強行するSNS審査は、あのような事態の再来防止に役立つのだろうか。

米国務省によるSNSのアカウント情報提出を義務付け