東京五輪の男女マラソン日本代表を決定する一発勝負のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)が15日に行われ、男女の上位2人が出場権を得た。中国メディア・東方網は16日、男子のレースで話題を集めた設楽悠太選手について「マラソン精神にチャレンジした」と評価する記事を掲載した。

 記事は、序盤から飛ばして大きなリードを奪うも後半失速して14位に終わった設楽選手について「自殺式とも言うべき戦法で、マラソン愛好者の間で最も多くの議論を呼び起こした」と紹介。一部では「見通しが甘い」、「準備不足」といった批判的な声があった一方で、多くの人が「マラソン精神にチャレンジする姿勢に感動を覚えた」と伝えた。

 そして、日本歴代2位のフルマラソン記録を持ち、レース前から大きな期待が寄せられていた設楽選手は、自身でも今回のレースの重要性を誰よりも理解していたとし、事前に「前半から飛ばしてライバルをぶっちぎる」と手の内を明かす戦術を取ったことからは「設楽がこのレースをどう戦うかを熟慮し、十分に準備してきたことの説明になる」と解説した。

 そのうえで、マラソンという競技は選手が持っている身体的能力やレースの経験だけではなく、相手をけん制し、本来の実力を出させないための戦術も不可欠なのだと説明。一方で、レースには様々な条件が複雑に絡み合った運も味方につける必要があることから、レースの結果だけを見てその戦術の良し悪しや成否を判断することはできないのだと論じている。

 「設楽が用意した戦術は決して意味のないものではなかったし、条件が少しでも変わっていればそのまま逃げ切る可能性もあった。結果はあくまで結果で、非常に素晴らしいチャレンジだった」というのが、作者の見解のようだ。
 
 設楽選手の作戦は結果的には「惨敗」という形に終わったが、一方でアフリカ出身選手の天下で高速化するなか、日本勢が上位に食い込むには前半から飛ばす戦い方も必要であることを確かに提起した。まさに「チャレンジ」のレースを展開した設楽選手の気概に、中国のマラソンファンも感慨を覚えたようである。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)

白熱した日本のMGC、設楽悠太の「大勝負」にマラソンの深さを知った=中国メディア