タイ西部の「タイガー・テンプル」から3年前に保護された147頭のトラの半数以上が、保護施設で死んでいたことが明らかになった。人間の飼育下に置かれたトラが免疫力を失くし、ストレスを蓄積したことが死因とみられており物議を醸している。『Bangkok Post』などが伝えた。

タイ西部カンチャナブリーの仏教寺院「Wat Pa luang Ta Bua」はトラと触れ合うことができる「タイガー・テンプル」として人気だったが、2016年5月に動物虐待や違法取引などの疑いでタイ警察や野生動物保護当局による強制捜査が行われた。この捜査で冷凍庫からはトラの赤ちゃん40頭の死骸、さらに瓶20個に詰められたトラの臓器や体の一部が発見され、僧侶らが2頭分のトラの毛皮、瓶詰めにされた700以上のトラの皮、スーツケースに詰められたトラの歯を寺院から持ち出そうとして拘束された。その後寺院からは147頭のトラが保護され、タイ中部ラーチャブリー県にある野生動物保護施設2か所に85頭と62頭に分けて移送されていた。

しかし移送後の約3年間で、うち86頭が死んでいたことが明らかになった。「タイ国立公園野生生物植物保護局(Department of National Parks, Wildlife and Plant Conservation、DNP)」は、保護されたトラは移送前から近親交配による免疫不全、人間の監視のもとで飼育されたことによるストレスなどを抱えており、それが時とともに悪化したことが大きな死因ではないかと指摘している。また147頭のトラのほとんどは極東ロシアから中国の東北部にかけて生息するシベリアトラで、タイでの繁殖には適していなかったことも分かっている。

DNPは病気の症状が現れた個体への治療は行ったと述べているが、『Sky News』はヒトの麻疹(はしか)とよく似たウイルスで感染力の強い犬ジステンパーへの感染が顕著だったこと、さらに『Thai PBS News』では喉頭の筋肉や神経に異常が起こる喉頭麻痺を発症して死に至った個体も多数いたことを伝えている。

これまでに死んだトラの内臓のいくつかはホルマリン漬けにされて保存され、死骸は規定に沿って埋葬されているようだが、詳しい死因についてはタイ国立マヒドン大学の専門家が調査中だという。

シベリアトラは国際自然保護連合が絶滅危惧種に指定しており、ネコ科の中では最大でオスの個体は体長2.5m、体重300kgにも達する。2017年には中国のハルビン市の「東北虎林園(シベリアンタイガーパーク)」で繁殖されているシベリアトラが、観光客に必要以上に餌を与えられて「肥満ネコ」と化したニュースが物議を醸した。専門家によると、飼育環境に置かれたトラは野生の本能を少しずつ失くし、人間がどんなに環境を整え餌を十分に与えてもストレスが蓄積し病気にかかりやすくなるとのことだ。

画像は『Bangkok Post 2019年9月14日付「Half of tigers seized from temple have died」(Bangkok Post file photo)』『Thai PBS News 2019年9月14日付「“เสือโคร่ง” ของกลางป่วยหัดสุนัข-อัมพาตลิ้นกล่องเสียงตาย 86 ตัว」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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