バルセロナとの初戦を迎えるドルトムント 欧州最高の舞台には「魔物が潜んでいる」 

 いよいよ2019-20シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)が開幕する。「DAZN」が全試合を独占放送し、日本人ファンにとっても夜更かしを重ねる戦いが待ち受けているが、今季の“死のグループ”は満場一致でグループF(ドルトムントバルセロナインテル、スラビア・プラハ)だろう。その中にドルトムントも名を連ねている。そして現地時間17日(日本時間18日4時)、ドルトムントはCL初戦にしてバルセロナを本拠地に迎え撃つ。

 試合前夜、ドルトムント中央駅に降り立った。CL開幕直前にしてはやけに閑散としており、街のど真ん中にある大きな広場では帰路につく人々の足取りが目立っていたなか、明るい光を灯すパブがあった。「Brauhaus Wenkers」。ドルトムントサポーターの集うスポーツバーだ。店内に入ると、黄黒のユニフォームを着用するファンこそいなかったものの、少し耳を傾ければ「ロイス」「サンチョ」のワードが聞こえてくる。

 カウンターに腰掛けしばらくビールを嗜んでいると、隣に1人の男性客が座った。私服だったがスマートフォンのケースがドルトムント仕様だったのを確認し、思い切って「ドルトムントサポーターですか?」と声を掛けてみると、「もちろんさ!」と答え、気軽に質問に応じてくれた。38歳のヴィコーさんは20年来のファンとのことで、このスポーツバーには週に2、3度足を運んでいるようだ。

 今季のドルトムントについて尋ねると、「いい感じだよ」と笑顔を浮かべるも、CLについては「残酷なグループに入ってしまったね。バルセロナインテル……本当に厳しい」と両手を上げた。「CLは雰囲気が違うんだ。リーグ戦のようにはいかない。CLには魔物が潜んでいる」と、欧州の舞台ならではの緊張感があることを指摘している。最も好きだった時代について尋ねると、「ユルゲン(・クロップ)のチームだね」と即答した。

「今季のドルトムントはCL制覇を狙えるか?」 次第に熱を帯びて激しい口論へ

「ユルゲンが率いていた時代は、この街には大いなる夢が溢れていた。そして、もちろん君の国のスターも輝いていたよ。あの時、ユルゲンとシンジがいれば、CLも何でも成し遂げられると本気で思っていたよ」と振り返った。日本代表MF香川真司レアル・サラゴサ)は2011-12シーズンでCL初出場を果たしたものの、グループリーグ敗退を余儀なくされていた。それでも、ユルゲン・クロップ監督(リバプール)はその翌年に決勝進出を成し遂げている。

 クロップ時代はCLファイナリストになっただけでなく、ブンデスリーガ連覇も達成するなど黄金期を築いたが、ルシアン・ファブレ監督の現体制も強力なスカッドを形成している。ビールを片手に語り合う3人組にも話を聞き、最初は軽快に英語で答えてくれていたものの、「今季のドルトムントはCL制覇を狙えるか?」と尋ねると意見が分かれたようで、次第にトークは熱を帯び始め、終いには聞き取れないドイツ語で激しい口論を展開していた。

 話を聞いた現地のサポーターたちはこぞってCLを「ドリーム」と表現していた。それだけ、欧州クラブにとってCLは壮大な存在であり、リーグとは異なる興奮や緊張感を抱いている様子が伝わってきた。初戦でバルセロナという厳しい相手を迎えることになるが、開幕屈指のビッグカードから目が離せない。

【一覧】2019-20シーズン「UEFAチャンピオンズリーグ(CL)」グループ分け

グループA
パリ・サンジェルマンフランス
レアル・マドリードスペイン
クラブ・ブルージュ(ベルギー
ガラタサライトルコ

グループB
バイエルン・ミュンヘンドイツ
トットナムイングランド
オリンピアコス(ギリシャ
レッドスター・ベオグラードセルビア

グループC
マンチェスター・シティー(イングランド
シャフタール・ドネツクウクライナ
ディナモ・ザグレブ(クロアチア
アタランタイタリア

【グループD】
ユベントスイタリア
アトレチコ・マドリードスペイン
レーバークーゼン(ドイツ
ロコモティフ・モスクワロシア

【グループE】
リバプールイングランド
ナポリイタリア
ザルツブルクオーストリア
ヘンク(ベルギー

【グループF】
バルセロナスペイン
ドルトムントドイツ
インテル・ミラノイタリア
スラビア・プラハチェコ

【グループG】
ゼニトロシア
ベンフィカポルトガル
リヨンフランス
ライプツィヒドイツ

【グループH】
チェルシーイングランド
アヤックスオランダ
バレンシアスペイン
リール(フランス)(Football ZONE web編集部・城福達也 / Tatsuya Jofuku)

ドルトムントは、チャンピオンズリーグ初戦にしてバルセロナを迎え撃つ【写真:Getty Images】