順風満帆に見える韓国芸能界の闇について考えた前回に続き、今回は、自殺にいたってしまう韓国人のメンタリティについて迫ってみたいと思います(以下、K-POPアナリストの小野田衛さんによる寄稿)。



写真はイメージです(以下同じ)



 なぜ韓国の芸能人は自殺してしまうのか? もっと言ってしまえば、なぜこうも韓国人の自殺は多発してしまうのか?


 韓国はOECD加盟国での自殺率が13年連続で1位、今年は2位。人口10万人あたりの自殺者数(2016年)が、日本16.6人に対して、韓国は25.8人にも上るのです。


日本人からすると、韓国人にはとかくアグレッシブエネルギッシュなイメージ。うつうつとしながら思いつめて死を選ぶような姿が想像しづらいのではないでしょうか。ソウル近郊に住む知人の韓国人カメラマン(46)にそのように伝えると、「何を言っているんですか。韓国人がパワフルなのは酒を飲んでいるときだけですよ」と一笑に付されてしまいました。


◆周りの目を気にし過ぎてしまう気質
「当たり前だけど韓国人にも内向的なオタクはいるし、気を許せる友達がいないと悩んでいる人もいる。自殺にいたる原因は様々だから単純化するのは難しいけど、韓国人の見栄を張る気質が原因のひとつであることは間違いないでしょうね。


 韓国では受験戦争を勝ち抜いて財閥系大企業で出世をするのが一番偉いという価値観がある。これは上の世代が特に顕著です。さらに『男なら結婚して家族を養わなくてはいけない』という強迫観念も社会全体で強い。たとえばマンションの隣人が『あなたの息子さん、今はどこに勤めているの?』みたいなことを平気で聞いてくるんです。
 韓国人はやたら周りの目を気にするところがあるから、それがストレスに繋がっていくんですよね」(前出・韓国人カメラマン)



 しかも、韓国は若者の失業率が極めて高いのです。2017年の調査では20~29歳の失業率が9.8%、大学卒業者の就職率も同年調査で66.2%にとどまっています(日本の大卒就職率は19年調査で97.6%。ただし、その統計方法については疑問の声も多くあがっています)。


 タフでシビアな受験戦争を終えても就職も満足にできないとしたら、若者が社会に絶望するのも納得できる話です。しかし一方、韓国の市街地で工事現場を観察すると、単純労働は中東諸国などからの出稼ぎ外国人に任せているケースも目につきます。


親からすると散々お金を投入して幼少期から塾に通わせ、ようやく子供が大学を出ることができた。それなのにコンビニバイトや工場のライン作業に就くなんて、プライドが許さないのでしょう。子供も子供でそういう親の目や世間の目があるから、日本の若者のように妥協して年収の低い職に就くという発想はなかなか持てない。
 こうなると無職で貯金もないわけだから、結婚なんてできるはずもない。韓国は日本なんて比べものにならない少子化社会※ですからね。まさに悪循環なんです。若者が破れかぶれになるのも自然なことかもしれない」(韓国芸能関係者)


 韓国は超がつく格差社会。財閥系大企業に勤める一部のスーパーエリートと、名門大学を出ても仕事にあぶれるニートの差があまりにも大きすぎてしまうのです。しかし、この二極化は改善されるどころか、ますますひどくなっているのが実情といえるでしょう。


※合計特殊出生率(女性1人が生涯に産む子供の数)韓国:1.052、日本:1.43(2017年、世界銀行データバンク


◆「年を取ったら死んだほうがいい」
 また、儒教社会の韓国では親孝行が最大の美徳であるとされてきました。ですが近年は核家族化が進み、親との同居を嫌がる層が増えています。妻や夫と死別してからの一人きりの暮らし。身体が弱ってからの老人ホーム生活。連絡すらほとんど取らない子供たちとの希薄な関係。そして高齢者の孤独死、自殺──。日本が近年抱えてきた問題に、今、韓国社会も同じように向き合いつつあるのです。



「なにしろ政治家が次々と自殺していくような国ですから。そんな政治家が上に立つ国で、国民の自殺が頻発するのは当たり前ですよ。日本からの影響なのか、ネット上で繋がった自殺サークル社会問題化したこともありますしね。今、韓国の高齢者の間では『年を取ったら死んだほうがいい』という言葉がスローガンのように広がっています。
 若者に希望はない。だからといって老人にも希望はない。ある意味、この国全体が絶望に包まれているのです」(前出・韓国人カメラマン)


 韓国芸能界に話を戻すと、かねてより指摘されてきた「奴隷契約」「枕営業」などの問題は、大手事務所に限っていえば少しずつ改善されてきているようです。しかし自殺にいたる根本的な原因がもっと内面的なところ、あるいは社会全体を覆う空気感にあるのだとしたら、制度面を改善するだけでは何も解決しないのかもしれません。


<文/小野田 衛>
1974年神奈川県生まれ。青山学院大学経営学部卒。共同通信社勤務の父の転勤に伴い、1977年より幼少期を韓国・ソウルで過ごす。大学卒業後、桃園書房勤務を経て、竹書房に入社。男性誌や女性向け書籍の制作を行なうかたわら、韓流関連の単行本や雑誌に携わる。現在は電子書籍配信会社「ブックシェルパ」取締役を務める一方、フリーライターとして活動。K-POPアナリストとして雑誌媒体を中心に執筆活動を続けている。



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