ツイッターなどのSNSには、しばしば芸能人の名をかたった偽アカウントが現れる。2019年9月16日にも人気声優の佐倉綾音さんを名乗るアカウントが現れた。

このアカウントも現在は削除されているが、偽アカウントの見分け方や、なりすます心理には何があるのだろうか。識者の見解を聞きつつその心理を探った。

本人の「SNSやらない」発言も逆手に

佐倉さんと同名の「佐倉綾音」を名乗るアカウント9月16日ツイッターに開設され、「声優の佐倉綾音です。ツイッター始めてみました」などと投稿していた。

しかし、同日中に声優の落合福嗣さんや矢作紗友里さんが佐倉さん本人と連絡を取ったところ、佐倉さんはSNSを開設していないとのことで、なりすましのアカウントであることが明らかになり、17日17時現在このアカウントは削除されている。

芸能人のなりすましアカウントは今までも無数に出現してきたが、声優はしばしばそのそのターゲットになっている。18年10月には野沢雅子さんを名乗ったアカウントが現れ、それ以前にも内田雄馬さん・戸松遥さん・梶裕貴さんらがなりすましアカウントの被害にあっている。偽のアカウントの見分け方や、著名人になりすまししてしまう心理や手口をITジャーナリストの井上トシユキ氏に取材した。

まずツイッターの場合、公式マークの有無が見分け方になる。アカウントにつく青い円で囲まれた「レ点」マークのことである。これがついている著名人のものなら偽アカウントの恐れはないが、公式マークがついていない声優やアイドルアカウントは少なくない。そうなると見分けるのは難しいと井上氏は指摘する。

なりすましは当該の人物を事細かにチェックしているため、プロフィールツイートの内容も巧みになっているという。佐倉さんのなりすましアカウントも、過去に佐倉さん本人がフォトブックで「水着とSNSはやりません」と答えていたのを逆手に取り、

「あんなに頑なにSNSやらないって言ってたんだけどね(笑う顔文字)」

と投稿していた。

巧みに偽装、一見しただけでは判別できず

このような偽アカウントが声優界に現れる理由について、井上氏は「声優ファンのタコツボ化」を指摘した。もともとアイドルや俳優に比べると相対的に、声優のファンは少ないが、一方でファン個人の声優の好き嫌いが強くなり、好きな声優も多いが嫌いな声優もいる、という状況になりがちだという。

また声優の場合は出演作品や性格・趣味についてネットで手軽に情報を集めることができ、身近になったかのような感覚を抱きやすい。現状では多くの声優がSNSを活用する一方、そのアカウントにしばしば公式マークがついていないのも、なりすましが跋扈(ばっこ)する一因になっているかもしれない。

井上氏は、偽のアカウントで芸能人になりすますのは多くの場合、芸能人への愛情をこじらせてやってしまうファンの行為、あるいはアンチの仕業と推測する。特定の人を応援や執着が強くなるあまりに、その人になりきりたい心理や承認欲求が芽生えてしまうという。またアンチユーザーがその人を貶める目的でなりすますケースも考えられるそうだ。

前述のように対象を研究して巧みに偽装されたプロフィールは一見偽者とはわからない。偽者と気づかないファンによって拡散されることで、なりすましの犯人の目的は達成されてしまう。ツイッター社の対策で以前に比べるとなりすましは激減しているとのことだが、未だにこのようなアカウントが現れる。

J-CASTニュース編集部 大宮高史)

なぜ声優やアイドルになりすましてしまうのか(写真はイメージ)