2011年6月に糞便性大腸菌群(イー・コリまたはイー・コライ)に汚染されたハンバーガー用パティを食べた10歳少年(当時1歳11か月)が、今月14日に病院で亡くなっていたことが明らかになった。『Le Parisien』によると、少年は大腸菌への感染をきっかけに身体の80%が麻痺し、回復することがないまま死亡したという。

フランス北部オー=ド=フランス(Hauts-de-France)地方に住むノーラン・モアティエ君(Nolan Moittie)は2011年6月、ドイツスーパーマーケットチェーン「リドル(Lidl)」が販売するハンバーガー用パティを食べた後に体調を崩し、死の淵をさまよい昏睡状態に陥った。その後神経に障がいが出現し身体の80%が麻痺してしまったノーラン君は、自分一人で歩くことや話すこと、食事をすることもできなくなり、精神的にも障がいを抱えるようになった。

同地域では当時、同社が販売するパティを食べた子供約15人が下痢や発熱の後、溶血性貧血と急性腎不全を伴う症候群(HUS)を発症し、一生涯にわたり腎臓機能の障がいを背負うという悲劇をもたらした。その中でもノーラン君は2歳前と幼かったことから症状が最も重く、麻痺により基本的な生活を送ることさえ困難になってしまった。

大手のスーパーが販売するパティが大腸菌に汚染されていたというニュースは当時のフランスで大きく取り上げられたが、8年を経て届いたノーラン君の訃報には「衝撃的」「心が痛む」「避けることができただけに残念」「悲しすぎる」「親にとってもつらいだろう」といった声が寄せられている。

ハンバーガー用パティの製造会社「SEB-CERF」の創設者兼元支配人ガイ・ラモーレット(Guy Lamorlette、78)は2017年、適正な品質管理を怠ったとして懲役3年の有罪判決を受け、一切の商工業的活動への参加を禁じられたほか、罰金約600万円(5万ユーロ)の支払いを求められた。しかし今年2月に行われたヒアリングで、ラモーレットは「パティが汚染されたのは顧客の商品管理や調理の仕方に問題があった。また責任は当時の品質管理マネージャーのローラン・アペレ(Laurent Appere)にある」と主張し、高等裁判所への上訴を検討していることを明かした。ただアペレは訴訟手続き中に心臓発作で死亡しており、初公判に姿を現すことはなかった。アペレの死因については自殺とみる向きもあったようだが、遺族はこれを一蹴している。

一家の弁護士は「ノーラン君は8年間厳しい試練に耐え人間らしい生活もできないまま、14日朝に自宅で心停止に陥り、病院に搬送された後に死亡が確認されました。彼の四肢は変形し、骨が脆くなり、何度手術に耐えてきたことか…。食事をチューブで摂取し、話すことや自分で動くこともできないまま、ノーラン君は死によって苦しみから解放されたのです。ラモーレットは初公判で、ノーラン君を直視することをしませんでした。事故の責任者はこの事実にしっかりと向き合い、罪を償うべきです」と述べている。

画像は『Le Parisien 2019年9月14日付「Le petit Nolan, intoxiqué par un steak haché en 2011, est décédé」(LP/Aurélie Ladet)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)

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