劇場版ガンダム Gのレコンギスタ Ⅰ『行け!コア・ファイター』」の先行上映会9月14日、東京・国立映画アーカイブ長瀬記念ホールOZUで開催された「第41回ぴあフィルムフェスティバル」内で行われた。上映後のトークショーには富野由悠季総監督が登壇し、寄せられた質問に答えた。

2014年に放送された「ガンダム Gのレコンギスタ」は、富野が「∀ガンダム」以来15年ぶりに総監督として手がけた「ガンダム」のテレビアニメシリーズ。リギルドセンチュリーと呼ばれる時代を舞台に、軌道エレベーター「キャピタル・タワー」の守備隊「キャピタル・ガード」の候補生ベルリ・ゼナムが、謎の少女ラライヤ・マンディや宇宙海賊の少女アイーダ・スルガン、そしてモビルスーツG-セルフ」と出会い、地球圏規模の大きな争いへと巻き込まれていく姿を描いた。テレビシリーズの映像に新規カットを追加した劇場版は、全5部作の大長編となる。

映画というメディアについての思いを聞かれた富野監督は「アニメは映画ではないと言われ続けて、この50年過ごしてきました。だから映画界には恨みつらみしかありません。でも、それがあったからここまでやってこられました」と率直な胸のうちを吐露。また、1980年に放送されて物議をかもし、劇場版2部作として公開もされた「伝説巨神イデオン」について話題がおよぶと、富野監督は「作品と心中する覚悟で作りました。劇中の人間がすべて死ぬというのは最終手段で、作家として一番やっちゃいけないんですよ。ただ、惑星間同士の対立をやった時点で全員殺すしかないと思った。だから『イデオン』をやっているときは、これが最後という自殺みたいな感覚がありました。その後のことは考えてなかったし、考えてたら逃げちゃっていたと思います」と回顧し、「『富野由悠季の世界』(展覧会)をやるために見直しましたけど、こんなの俺作れない。あれはまともな神経じゃ作れないですよ」と苦笑いしていた。

劇場版ガンダム Gのレコンギスタ」5部作については、「テレビ版の不足しているところを補って5本の映画にまとめています。なので最後のエンディングテレビ版とまったく一緒だけど、至る道が全然違います」と明かし、「テレビ版では一番肝心なベルリアイーダの話が抜けてしまっていました。一目ぼれした女性だったけど、恋人を殺してしまったという関係で最後まで行ってしまったんですね。姉弟だと自覚したときの反応するシーンがドンと抜けてしまっていたんです」とテレビシリーズでの反省点を語った。さらに「僕は作品を通して世直しをしたい。でも世直しの方法論を示すことはできないんです。だから未来に起こる問題をテーマにしている。宇宙エレベーターの技術的な問題やフォトンバッテリーで表しているエネルギー問題を、そこでやっている劇を通して問題提起しています。それを見た子どもたちが30年後、50年後に答えを出してくれるかもしれないと期待しています」と作品に込めた思いを語り、「今日改めてこの作品を見てもあまり上手じゃない、一般的に伝わるように作られてないと反省はしています。でも、もしこれを見て、5、6人でも伝わる人がいるならば『Gのレコンギスタ』という作品は50年もつと思います。そのうぬぼれがないと作品を作れない。その自負心を持ってやっています」と自信をのぞかせた。

そして「余命の問題もあるので、再来年までには全5部作をやってほしいですね。そして目が黒いうちに次回作にいきたいと思っています」と尽きない意欲を示し、壇上を後にした。

劇場版ガンダム Gのレコンギスタ Ⅰ『行け!コア・ファイター』」は11月29日から公開。

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